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医療経済実態調査で見解表明 診療側「賃上げと人材確保は急務」 支払側「経営は総じて堅調」

公開日時 2023/12/04 04:51
中医協総会は12月1日、医療経済実態調査の結果について、診療・支払各側から見解を聴取した。各側の見解はコロナ補助金を含むか否かで異なり、「医療機関等はコロナ前と比較しても厳しい経営を強いられている」と訴える診療側と、「経営は総じて堅調」とする支払側で真っ向から見方が分かれた。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「診療報酬という公定価格で運営する医療機関等にとって、賃上げや人材確保を継続的かつ安定的に行い、物価高騰にも対応するためには十分な原資が必要であり、そのためには、2024年度診療報酬改定が担う役割は非常に重要」と主張した。

◎診療側・長島委員「コロナ補助金は一過性の収益」 次期改定はこれら影響を除いて行うべき

診療側の長島委員は、「コロナ禍における診療報酬上の特例やコロナ補助金は一過性の収益であり、これまでの感染対策経費の増加、追加的人員の確保などの診療体制の整備に活用しており、また、全ての医療機関が特例補助金の対象となっているわけではない」と説明。「24年度診療報酬改定の議論は、これらの影響を除いて行うことが大前提」と主張した。

コロナ補助金を除く22年度の損益率を見ると、一般病院の7割弱、一般診療所の約3割が赤字だったと説明。「物価高騰、賃金上昇が続く中、現状コロナ特例は大幅に縮小されてきており、今後、特例が廃止となり、さらに収益が下がることがあれば、赤字施設の割合がさらに増え、地域の医療提供体制が維持できなくなる。そもそも、経営基盤が脆弱な診療所では倒産が相次ぐ恐れがある」と指摘した。

◎人材確保の原資担保が「急務」 メディカルスタッフの流出に危機感

物価高騰の影響の大きさも指摘。水道・光熱費が大きく伸びたほか、「紹介手数料も大きく上昇している。これは医療業界における人材確保の厳しさの表れ」と指摘。メディカルスタッフ(看護職員、看護補助職員、医療技術員)の平均給与は、病院、診療所ともに増加傾向を示したが、「他産業の賃上げが進む中、医療従事者の賃金を引き上げ、サービスを提供する人材を確保していくための原資を確実に担保することは、従業員が他産業へ流出し、人材確保が厳しくなっている折も踏まえれば急務」と主張した。

高額と指摘された診療所の院長給与については、平均値(2653万円)に比べて中央値(2160万円)は約500万円低く、最頻値(1000~1500万円)が平均値の半分程度だったと説明。「これら3つの値の乖離が大きい理由は、自由診療の比率が高いと思われる診療所など一部の高額のデータが平均値を押し上げる一方、分布は低額な方に、偏っているためだ。実態を正確に把握するためには、平均値ではなく中央値と、最頻値を重視するべき」と述べた。

長島委員は、「今回の医療経済実態調査結果から、医療機関等はコロナ前と比較しても厳しい経営を強いられていることが明らかとなった。コロナ禍における医療費減少を十分に補填する間もなく、医療機関等は医療従事者の賃上げや、物価高騰への対応を求められており、非常に厳しい状況にある」と説明。「特に患者さんへ、質の高い医療を継続的に提供するためには、医療従事者に対する賃上げと、その人材確保が急務だ。診療報酬という公定価格で運営する医療機関等にとって、賃上げや人材確保を継続的かつ安定的に行い、物価高騰にも対応するためには十分な原資が必要であり、そのためには、24年度診療報酬改定が担う役割は非常に重要だ」と強調した。

◎診療側・森委員 「小規模薬局の経営基盤は極めて脆弱」

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から回復しつつある一方、物価高騰や賃金上昇への対応のため、対前年比は減少傾向にあり、厳しい経営状況が続いている」と指摘した。特に、「1店舗」および「2~5店舗」の施設での損益差額の悪化が目立つとして、「小規模薬局の経営基盤は極めて脆弱であり、このままの状況が続けば、今後の地域の医薬品供給に支障をきたすことになる」と危機感を示した。医薬品の供給不足にも触れ、「賃上げへの対応、地域への医薬品の提供体制がしっかりと確保できるよう、対応していただきたい」と述べた。

◎支払側・松本委員「コロナ補助金を含めた収支で判断することが妥当」 厚労省推計を批判

一方、支払側は、コロナ補助金や特例を含めて検討する必要性を強調した。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「コロナ補助金を含めた収支で判断することが妥当。例えば、病床確保料やワクチン接種料は、通常診療を一部控えることによる減収の補填であり、保障であり、他の補助金も設備・資材を追加購入するための支援ということで、いずれも収支均衡の考え方に基づくものだ。これは、コロナ医療に伴うかかり増し経費に充当する診療報酬の臨時・特例措置にも共通する考え方だ」と述べた。

コロナ特例や補助金を含めると、22年度は一般病院全体で1.8%の黒字。一般診療所では、個人で31.5%、医療法人で9.7%の黒字とした。保険薬局については全体で5.5%の黒字とした。このほか、純資産比率や流動比率(=流動資産/流動負債)などを示し、「経営的にはある程度余裕度が上がっているというふうに受け止めるべきではないか」と述べた。

また、厚労省がコロナ特例や補助金を除いた推計値を示したことについて、「診療報酬改定に関する議論は医療経済実態調査のデータに基づくべきだと改めて強く主張する」と述べた。推計方法や推計内容に疑問を示し、「推計データを用いるようであれば、医療費の短期予測の方法や、医療保険財政の見通しなど、様々な要素について、適切な議論と手続きを経るべきであることを改めて強く指摘する」と述べた。

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