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24年度診療報酬改定 賃上げ対応で入院基本料、初・再診料、調剤基本料を引上げへ 中医協総会

公開日時 2024/01/29 05:29
中医協総会は1月26日、2024年度診療報酬改定の焦点である40歳未満の勤務医師、薬局の勤務薬剤師や事務職員らの賃上げを目的に、入院基本料、初・再診料、調剤基本料を引上げることを決めた。診療報酬改定率では、「0.28%程度」に相当する。支払側は、加算での評価を求めてきたが、制度設計の難しさに理解を表明。あわせて行われる基本料の要件見直しを通じた「医療の質向上」に期待感を示し、最終的に合意した。同日の総会では、看護職員や病院薬剤師など医療関係者の賃上げに向けて、対象職員の給与総額と、基本料の算定回数に基づく評価料を新設することも診療・支払各側が了承した。

医療従事者の賃上げをめぐっては、昨年末の武見厚労相と鈴木財務相の大臣折衝で、改定率+0.88%のうちに、「40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分(+0.28%程度)」を含むほか、「看護職員、病院薬剤師やその他の医療関係職種について、24年度にベア+2.5%、25年度にベア+2.0%を実施していくための特例的な対応」として+0.61%が措置することが合意されていた。
 
◎入院基本料は栄養管理体制の基準明確化、調剤基本料は地域支援体制加算の要件強化など盛り込む

厚労省はこの日示した個別改定項目(短冊)の中で、「40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分(+0.28%程度)」について、入院基本料、初・再診料、調剤基本料を引上げる方針を示した。

あわせて、入院基本料では栄養管理体制の基準の明確化、人生の最終段階における適切な意思決定支援の指針作成を要件化することなどを盛り込んだ。初・再診料については、「外来診療において標準的な感染防止対策を日常的に講じることが必要となっていること」も踏まえた対応とした。

調剤基本料については、「地域の医薬品供給拠点としての役割を担い、地域医療に貢献する薬局の整備を進めていくこと、職員の賃上げを実施すること等の観点から、夜間・休日対応を含めた、薬局における体制に係る調剤基本料等の評価を見直す」と明記。地域支援体制加算の要件強化することなども盛り込んだ。

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「基本料に溶け込ませることに関しては、一律的な基本料の底上げとなり、病院と診療所の経営格差、職員配置の違いを反映できないこと、さらに患者の受けたサービスの対価として、最も基礎的な重大案件であり、データに基づき、時間をかけて議論を作る必要があると申し上げたところだ。この認識については、現在いささかも変わっていない」と強調。「本来、加算のような別途評価が望ましいと考えている。なぜ加算では駄目で基本料に溶け込ませなければいけないのか」と事務局を質した。

厚労省保険局の眞鍋馨医療課長は、看護職員や病院勤務薬剤師は「医療機関に直接雇用されていることが基本。職員の勤務状況に応じて賃上げに必要に行う方が適切と考え、加算を提案した」と説明。一方で、40歳未満の勤務医や薬局の勤務薬剤師、事務職については、「勤務実態が他の医療関係職種とは若干異なる実情があるのではないかと考えている。例えば、若手の勤務医師は例えば大学の医局の人事などで、毎年、あるいは非常に短期間で勤務機関が変わるなどの実態もある。また事務職員についても雇用せず、派遣や委託で契約されている場合も多いと認識している」として、「いわゆる医療機関が直接の賃上げを担保しづらいという状況にあるのではないかと推察している」と述べた。

検査や歯科技工などは多くが外注であることにも触れ、「医療を取り巻く産業も、賃上げを行える環境を整えるという必要がある。広く算定されている基本料等に上乗せすることによる対応が適切ではないかということで提案させていただいた」と説明した。

◎支払側・松本委員 基本料の要件見直しで「医療の質向上」に期待

これに対し、支払側の松本委員は、「若手勤務医の勤務実態、あるいは契約形態、あるいは派遣の事務職員や委託先を考慮した制度設計を限られた時間の中で行うことが非常に難しいということは理解した」と述べた。そのうえで、「今回、賃上げだけではなく、入院基本料における栄養管理、ACP対応、身体拘束の最小化、初・再診療においては日常的な感染防止対策の底上げ、調剤基本料においては医薬品供給拠点としては薬局の役割強化など、全ての患者にとって医療の質に向上すると期待する要素も盛り込まれている」と期待感を示し、「賃上げの質に関わる取り組みについて、最大限の実態把握と効果の検証を行い、対応が不十分な場合は見直すということを前提として事務局案を了承する」と述べた。

また、「今後の議論として、病院と診療所のコスト構造の違い等を踏まえ、初・再診料等のあり方について踏み込んだ検討を行うことも必要と考えている。一方で、歯科の初・再診料については、感染対策を理由とした引き上げが繰り返されておりますので、これ以上の引き上げは容認できかねる」とも述べた。

◎40歳未満の勤務医など「賃上げの計画と実績」の報告も焦点に

短冊の議論に先立って行われた賃上げについての議論では、「賃上げの計画と実績」について医療機関などに報告を求めることも焦点となった。

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「最終的に賃上げに係る評価の効果が把握できればよいので、できるだけ簡素な仕組みとすることが重要だ。特に40歳未満への勤務医師や事務職員等は、前年度と比べてどの程度賃上げがなされているのかを比較することが不可能な場合もあり得る。賃上げに係る評価による収入と賃上げに係る支出の総額を把握できればそれで十分」と主張した。

一方、支払側の松本委員は「少なくとも評価料を算定する医療機関については、評価料の対象となる職種と同様に、賃上げの計画と実績を求めるべき」と反発。支払側の眞田享委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)は、「国民および保険料を負担する立場からは、その効果検証がしっかりと行われることが大前提だ。処遇改善に充当されているのかどうか、よくわからないまま負担が増えることは、患者保険にとって納得感がない」と強調するなど、支払側からは検証の必要性を指摘する声が相次いだ。

診療側の長島委員は再度、「把握等に様々な困難さがあり、収入と支出の総額を把握するのが限界だ。それ以上の細かい実績や計画は到底困難である現状をぜひご理解いただきたい」と訴えた。これに対し、支払側の松本委員は、医師の働き方改革が推進され、時間外労働なども減少する中で、「トータル(総額)をどう認識するかは非常に難しい。基本給など、ベースになる部分だけは報告していただかないと、実績の把握は難しい」と指摘した。診療側の長島委員は、「勤務医の働き方が非常に変わるということ、事務職も委託や派遣の形態が多く、医療機関でコントロールできない実情がある。そこのところの困難さというのをぜひご理解いただきたい」と改めて訴えた。

◎看護職員、病院薬剤師のベアの「0.61%」 評価料新設を診療・支払各側が了承

「看護職員、病院薬剤師やその他の医療関係職種について、24年度にベア+2.5%、25年度にベア+2.0%を実施していくための特例的な対応」(+0.61%)についても議論がなされた。厚労省は、看護職員や病院薬剤師など医療関係職種の賃上げに向け、対象職員の給与総額と、基本料の算定回数等に基づく評価料を設けることを提案し、診療・支払各側が了承した。

“2.3%”のベア実現に必要な点数のシミュレーションによると、在宅患者訪問診療料を算定していない診療所で賃上げに必要な点数は初診料等で6点(中央値)、再診料等で2点(中央値)。賃金が十分に増えていない診療所の中で、在宅患者訪問診療料を一定以上(年間算定回数365回以上)算定している診療所では賃上げ実現に必要な点数は、在宅患者訪問診療料(同一建物居住者以外)で28点(中央値)、在宅患者訪問診療料(同一建物居住者)では7点(中央値)。一方、病院については、賃上げに必要な点数を「1~150点」にわけ、病院ごとに点数を設定したところ、バラつきが最小限に抑えられることが報告されている。

◎初・再診料は8段階、訪問看護管理療養費は18段階の加算でシミュレーション

この日の総会では、賃金のアップ率が1.2%に達しない医療機関、薬局などに対し、追加的な加算取得で、「1.2%」に達するのに必要な点数について、診療報酬調査専門組織(入院・外来医療等の調査・評価分科会)で議論されたシミュレーション結果が示された。具体的には、医療機関で「初診料・訪問診療料」(8~64点)、「再診料」(1~8点)の8段階とした。シミュレーションでは、多くの医療機関が追加の評価1(再診料に対して1点、初診料・訪問診療料に対して8点)を選択する結果となった。訪問看護管理療養費については、追加の評価を18段階(10円~500円)でシミュレーション。多くの施設が追加の評価12(200円)~14(300円)を選択する結果となった。

診療側の長島委員は、「賃金増率が小さい医療機関に対する追加的な評価については、各医療機関が自院の経営状況や患者さんの受療行動に与える影響なども踏まえながら、必要な点数を柔軟に選択できるようにしていくことが重要」との考えを示した。一方、賃金増率の高い医療機関に対しては、非常勤職員数を把握できていないことなどを指摘。賃上げの対象から外れた職種に対しても医療機関では対応が必要なことなどから、「シミュレーションの結果で2.3%を超えたからといって、直ちにもらいすぎと判断すべきではない」とも述べた。

支払側の松本委員は、「外来の簡素な制度設計という考え方には反するが、賃上げを確実に実施するという政府方針の下、患者への負担も十分に考慮しつつ、賃金増値1.2%分を上限とするということで理解する」と述べた。そのうえで、外来では初診で一律6点、さらに追加加算の64点を選ぶと最大70点、患者負担では最大210円増となるとして、「患者への丁寧な周知をお願いしたい」と厚労省に求めた。また、「今回の賃上げ対応の背景として、医療機関の裁量で価格が決められないことがあるとすれば、自由診療で一定の収入を得ている医療機関は追加的な評価の対象から除外することが適当」とも述べた。

診療側の長島委員も、患者説明のために医療現場に大きな負担がかかるとして、「一義的には国の方でしっかりと国民と患者さんの皆様にわかりやすく周知いただくとこれが極めて重要」と指摘した。

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