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23年国内医療用薬市場 初の11兆円台 抗腫瘍剤市場が2桁成長、勢い回復 1000億円超に7製品

公開日時 2024/02/27 04:52
IQVIAは2月26日、2023年の国内医療用医薬品市場が前年比3.1%増の11兆2806億円(薬価ベース)となり、初めて11兆円台に乗ったと発表した。最大市場の抗腫瘍剤市場が前年比10.5%増と2ケタ成長したことや、ラゲブリオが前年から2.5倍の1280億円を売り上げたことなどが国内市場の拡大につながった。7製品で売上1000億円を超えた。ただ、23年第4四半期にはラゲブリオを含む新型コロナ治療薬の売上が急減したほか、24年度薬価改定(改定率▲0.97%、医療費ベース)なども控えており、国内市場が24年も11兆円台となるかは不透明な状況だ。

文末の「関連ファイル」に、23年の市場規模や売上上位10製品の売上データに加え、売上上位製品の四半期ごとの売上推移をまとめた資料を掲載しました(ミクスOnlineの有料会員のみ閲覧できます。無料トライアルはこちら)。

IQVIAの市場データは、医薬品卸と医療機関との間で発生する売上データがソースとなっている。このため、同データには政府一括購入対象の新型コロナのワクチンや治療薬は含まれない。公定薬価がつき、通常の流通が開始された時点から同データに反映される。

◎病院、開業医、調剤薬局の3市場全て成長 2年連続

2度目の診療報酬改定のない、いわゆる中間年改定となった23年度改定では、改定対象は「平均乖離率の0.625倍(乖離率4.375%)超」の約1万3400品目が該当した。一方で、物価高騰やイノベーションへの配慮から、不採算品再算定や新薬創出等加算の加算額を上乗せする臨時・特例的な措置も講じられた。

このような外部環境の中、国内市場は23年も成長。これで3年連続で市場拡大した。新型コロナ以前の19年の10兆6256億円と比べても約6500億円の拡大となる。

23年を市場別に見てみると、100床以上の病院市場は前年比4.1%増の5兆2871億円(1億円未満切捨て)で、特に抗腫瘍剤の伸長の加速が同市場をけん引した。100床未満の開業医市場は1.6%増の2兆1022億円となった。前年は新型コロナの大流行により市場は4%強伸びた。23年はその反動により成長が鈍化したもの、プラス成長を果たした。主に調剤薬局で構成する「薬局その他」市場は2.6%増の3兆8912億円だった。3市場ともプラス成長は2年連続となる。

◎抗腫瘍剤市場の成長率 22年までコロナ禍の健診・受診見送りで1桁台 23年は10.5%増

23年の市場成長の主な要因は、抗腫瘍剤市場の2桁成長、経口新型コロナ治療薬・ラゲブリオの急伸、売上上位10製品中9製品で増収――などとなる。

抗腫瘍剤市場を見ると、同市場は10.5%増の1兆9368億円となった。20年の新型コロナの感染拡大以降、健診や受診見送りにより前年比1桁台の成長にとどまっていたが、23年は2桁成長となった。IQVIAは「(抗腫瘍剤市場の)勢いが回復した」と見ており、「24年に2兆円台に到達する見込み」と分析している。

◎売上1位オプジーボは9%増 2位キイトルーダは24%増と追い上げ

抗腫瘍剤市場の製品売上を見てみると、薬効内売上1位で、全製品の中でも1位のがん免疫療法薬・オプジーボは9.0%増の1661億円だった。薬効内2位で全製品でも2位のがん免疫療法薬・キイトルーダは24.2%増の1593億円で、1位との差が縮まってきた。消化器系のがんを中心に処方を伸ばしていたオプジーボに対し、キイトルーダは非小細胞肺がんで処方を伸ばしつつ、22年9月に取得した▽進行又は再発の子宮頸がん、▽ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法――の適応追加もあって大きく成長した。

薬効内3位で、全製品では6位のがん免疫療法薬・イミフィンジは115.5%の大幅増を記録し、1097億円を売り上げた。IQVIAは、イミフィンジは22年12月に胆道がんと肝細胞がんの適応追加を受けて急成長したとしている。

薬効内4位で、全製品では7位の抗がん剤・タグリッソは0.6%減の1087億円だった。23年6月1日に特例拡大再算定により薬価が10.5%引き下げられたことが主な減収理由となる。全製品における売上上位10製品の中でタグリッソは唯一の減収となった。

◎ラゲブリオ 年間売上1000億円超えも、第4四半期は前同比64%の大幅減

ラゲブリオの売上は156.5%増の1280億円で、全製品の売上ランキングで一気に4位に入った。ただ、年間売上ではブロックバスター入りを果たしたが、四半期ごとの売上推移をみると、処方が落ち着きを見せ始めたことがわかる。

ラゲブリオをはじめとする新型コロナ治療薬は、23年夏の感染拡大“第9波”により、重症化する患者は減少したものの新規患者は急増して、処方が急伸。23年第3四半期(7~9月)の売上上位10製品の中にラゲブリオ、ベクルリー、ゾコーバの新型コロナ3製品がランクインし、ラゲブリオは売上1位に立った(詳細記事はこちら

しかし、IQVIAがこの日に発表した第4四半期(10~12月)の市場データを見ると、ラゲブリオは前年同期比64.1%の大幅減となったほか、第4四半期の売上上位10製品から新型コロナ治療薬は全て姿を消した。新型コロナ治療薬市場は落ち着きを見せ始めているうえ、新型コロナの医療費に係る公費負担は24年3月末で終了することになっており、24年は新型コロナ治療薬の売上がより一層減少する可能性が高そうだ。国内市場全体も、新型コロナ治療薬の縮小や24年度薬価改定により、24年は再び10兆円台になる可能性がある。

◎1000億円超 オプジーボ、キイトルーダ、リクシアナ、ラゲブリオ、タケキャブ、イミフィンジ、タグリッソ

23年の売上上位10製品をみると、1位はオプジーボ(売上1661億8100万円、前年比9.0%増)、2位はキイトルーダ(1593億1400万円、24.2%増)、3位は抗凝固薬・リクシアナ(1315億4700万円、12.9%増)、4位はラゲブリオ(1280億1600万円、156.5%増)、5位は抗潰瘍薬・タケキャブ(1155億5600万円、3.3%増)、6位はイミフィンジ(1097億9300万円、115.5%増)、7位はタグリッソ(1087億4000万円、0.6%減)、8位は加齢黄斑変性症治療薬・アイリーア(888億円、1.6%増)、9位は糖尿病や慢性腎臓病(CKD)などの適応を持つフォシーガ(821億7600万円、37.8%増)、10位はがん免疫療法薬・テセントリク(812億9100万円、7.8%増)――で、売上1000億円以上のブロックバスターが7製品となった。

今回新たにトップ10入りしたのはラゲブリオ、イミフィンジ、フォシーガ、テセントリク――の4製品。このうちフォシーガについて、IQVIAは「糖尿病に加え、慢性心不全、慢性腎臓病への適応拡大による伸長が継続」していると分析した。一方で、今回トップ10圏外となったのは、ベクルリー(前年5位)、アジルバ(同7位)、サムスカ(同9位)、アバスチン(同10位)――だった。

◎薬効別売上 トップ3変わらず 全身性抗ウイルス薬が4位に

売上上位5薬効をみると、トップ3は前年と変わらず、1位は抗腫瘍剤(1兆9368億円、10.5%増)、2位は糖尿病治療剤(7146億円、6.8%増)、3位は免疫抑制剤(6109億円、8.4%増)――だった。

4位は前年7位の全身性抗ウイルス剤で、前年比42.7%増の4815億円となった。高成長の理由は新型コロナ治療薬の市場拡大とインフルエンザ治療薬の伸長となる。インフルエンザ治療薬のイナビルとゾフルーザは、前年にインフルエンザが流行しなかったとはいえ、23年はともに前年比1000%超の伸び率を記録した。

5位は前年と変わらず抗血栓症薬(4325億円、0.6%増)だった。

◎企業売上ランキング(販促会社ベース) 中外製薬が3年連続首位

企業売上ランキングを見てみる。「販促会社ベース」(販促会社が2社以上の場合、製造承認を持っているなどオリジネーターにより近い製薬企業に売上を計上して集計したもの)では、中外製薬が3年連続で1位となった。売上は5460億円、前年比3.7%増だった。

中外製薬では、バイオシミラーが参入しているアバスチンは25.5%の減収だったが、テセントリクや血友病治療薬・ヘムライブラなどの新薬群が好調だった。なお、中外製薬が2月1日に発表した23年の国内製品商品売上は14.8%の減収だったが、これは新型コロナ治療薬・ロナプリーブの政府納入の大幅減が理由となる。一方で、IQVIAの売上データには新型コロナ治療薬・ワクチンなどの政府購入分は含まれていないため、企業決算における売上や伸び率と異なる。

◎前年比10%超の高成長 第一三共、MSD、サノフィの3社

2位は前年3位のアストラゼネカ(4960億円、8.2%増)だった。全製品における売上上位10製品のうちイミフィンジ、タグリッソ、フォシーガの3製品が同社製品であるほか、高カリウム血症薬・ロケルマも40.9%増と好調なことが企業売上ランキングを一つ上げた理由となる。3位は前年4位の第一三共(4706億円、12.0%増)で、リクシアナ、疼痛薬・タリージェ、ADC・エンハーツなどの主力品の伸長が成長に貢献した。

売上上位20社中、前年比10%超の高成長を記録したのは第一三共、4位のMSD(4668億円、25.0%増、前年6位)、16位のサノフィ(2259億円、11.9%増、18位)の3社だった。MSDはラゲブリオやキイトルーダなどが成長に貢献。サノフィはアトピー性皮膚炎などに用いるデュピクセントが30.1%増となったほか、多発性骨髄腫治療薬・サークリサ、抗リウマチ薬・ケブザラなども貢献した。一方、売上上位20社のうち前年比10%超の減収となったのは19位の田辺三菱製薬(1934億円、11.0%減、16位)の1社だった。
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