厚労省 後発品使用促進で新たに「金額シェアで29年度末までに65%以上」を副次目標に
公開日時 2024/03/15 04:50
厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は3月14日の社会保障審議会医療保険部会に後発医薬品使用促進の新たな目標として、「後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」を副次目標に据えることを示した。現行の数量シェア目標の「医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを29年度末までに全ての都道府県で 80%以上」は後発品の“主目標”として維持する。
◎後発品の金額シェア BSの使用促進、選定療養導入踏まえ「医療費の適正化を不断に進める」
新たに後発品の金額シェアを目標に据えたことについて同省は、「バイオシミラーの使用促進や長期収載品の選定療養等により、後発品の使用促進による医療費の適正化を不断に進めていく観点から、新たに金額ベースで副次目標を設定する」としている。後発品の金額シェアは56.7%(23年薬価調査ベース)で、29年度末に65%以上に引き上げることを目標に据えた。22年の52.2%から伸びているが、バイオシミラーへの置換え増加や大型後発品の上市が影響と指摘。「後発医薬品やバイオシミラーの上市のタイミング、長期収載品との薬価差の状況等の影響を受けることに留意が必要」としている。
金額シェアの達成にバイオシミラーの使用促進がカギを握る中で、バイオシミラーの使用促進の目標に据えた「29 年度末までに、バイオシミラーが 80% 以上を占める成分数が全体の成分数の 60% 以上」を副次目標に据えた。あわせて、薬効分類別に数量シェア・金額シェアを見える化。「その他の抗腫瘍薬」や「抗パーキンソン病薬」などの薬効では、金額ベースでの置換え余地があることも示した。見える化により、取り組むべき領域を明確にし、使用促進を図る考え。
都道府県別にみても、後発医薬品の使用浸透は進んでいるものの、バイオシミラーの使用割合が低い都道府県があると指摘。都道府県に対して、金額ベースの使用割合を薬効分類別に示すなど、必要なデータの提供を行い、医療費適正化の取組みを推進できるよう支援する考えも示した。
◎現行の「全都道府県80%以上」は主目標に 29都県で達成
目標を据え置き、“主目標”に据えた数量シェアだが、23年薬価調査ベースでは80.2%。ただし、21年度 NDB データによると80%目標を達成しているのは29都県で、さらなる浸透を進める考え。
都道府県での使用促進を進める観点から、第4期医療費適正化基本方針でも目標を位置付け、差額通知の実施など保険者による後発医薬品の使用促進の取組みの支援やフォーミュラリを周知などの取り組みの必要性を指摘した。
◎限定出荷品を除いた数量シェア・金額シェアを参考値に 安定供給に配慮も
なお、後発品の供給不安が続いていることから、限定出荷等となっている品目を含む成分を除いた数量シェア・金額シェアを参考として示すことで、後発医薬品の安定供給の状況に
応じた使用促進を図っていくとしている。