NEC 国内初の生成AI搭載・電子カルテシステム 4月販売 紹介状や退院サマリなど医療文書を自動生成
公開日時 2024/03/19 04:51
NECは3月18日、国内初となる生成AI搭載の電子カルテシステム「MegaOak/iS」の販売を4月から実施すると発表した。医師の働き方改革を睨んだもので、第一弾として、電子カルテに記載の診療情報をもとに、診療情報提供書(紹介状)と退院サマリに活用できる文章案を自動生成する。2028年度までに医療機関100施設での利用を目指す。また、生成できる文書の種類を増やし、医師だけでなくすべての医療従事者の業務負担軽減に貢献したい考えだ。
同社は4月から実施する「医師の働き方改革」により、勤務医および医療現場の業務効率化を支援する目的で、生成AI搭載の電子カルテシステムを開発した。「MegaOak/iS AIメディカルアシスト」の機能は、電子カルテに記載した診療情報を経過・検査・処方などに分類・時系列に整理し、重要なキーワードをピックアップした上で、キーワードをもとに要約文章を生成する。一連の処理はクラウド上で行う。
◎実証実験 要約文書の新規作成 作業時間を平均47%削減 文書表現や正確性も高評価
生成AI搭載の電子カルテシステム販売に先駆け、東北大学病院、橋本市民病院と電子カルテなどの情報をもとに医療文書を自動作成する実証実験を行った。その結果、紹介状や退院サマリなどに記載する要約文章を新規に作成する場合と比較して、作成時間を平均47%削減できた。また、文章の表現や正確性についても高い評価を受けた。同社によると、「これにより医師は、膨大な電子カルテの記録から必要な情報を収集する作業を大幅に軽減し、生成された要約文章を参考にしながら各文書を効率的に作成できる可能性があることを確認した」としている。
「MegaOak/iS」パッケージの標準価格は7200万円~(税抜)。「MegaOak/iS AIメディカルアシスト」オプション機能利用料は5万円~(月額、税抜)。利用には初期費用がかかる場合がある。同社としては、生成できる文書の種類を増やし、医師だけでなくすべての医療従事者の業務負担軽減に貢献する方針。また将来的には、最適なタイミングで文書を自動生成しプッシュ型で提案するなど、AIと電子カルテシステムをシームレスに連携し、医療DXによる医療従事者の働き方改革をアシストしたいと強調した。