日本ジェネリック製薬協会（GE薬協）の高田浩樹会長（高田製薬代表取締役社長）は３月29日に開いた会見で、協会としての安定供給に対する取組みとして、「アンケートを取ったり、情報分析をしたりしてどう対策が取れるか、時間がかかっているが、いま業界全体として取り組んでいる」と述べた。各社で増産に取り組む中で、将来的にはGE薬協会員企業の数社が増産に取り組んでおり、将来的に約135億錠の増産が可能になることなども報告された。一方で、中医協や厚労省の検討会では、各社の取組みが問われている状況にあるが、この日の会見でも自ら、業界としての取組みについて言及することはなかった。

◎中長期的には沢井製薬30億錠など　中沢流通適正化委員長「増産は各社にお任せの状況」

安定確保に向けたGE薬協の取組みについて、中沢敏之流通適正化委員会委員長は、「2023年までの取り組みとしては、各社の増産は各社にお任せの状況になっている」と話した。流通適正化委員会が23年のアンケート調査を通じ、各社の取組みを調査した結果も紹介。「ある会社の大量製造中止品目があったため、23年は製造中止がすごく多かった」と説明した。このほか、各社で包装の集約化が進んでいたことがわかったとして、「製造の効率化が垣間見られる」などと話した。

さらに、中長期的な取組みとして、大規模投資による工場建設を進めていると説明。沢井製薬（約30億錠）、トラストファーマテック（約30億錠）、東和薬品（約35億錠）、キョーリン製薬グループ工場（約20億錠）、日新製薬（約10億錠）、ダイト（約10億錠）の増産を計画しており、全体で約135億錠の増加が見込まれると説明。将来的には約15％製造量が増えることを目指しているとした。「しばらくかかるかと思うが、動き出すとかなりの製造量になると思う」と述べた。

◎高田会長「増産体制促すことは協会にしかできないこと」

一方で、中医協や検討会などで、業界としての安定供給に対する姿勢が再三にわたり質されているものの、安定供給に対する業界としての取組みについて自ら言及することはこの日もなかった。

業界としての姿勢を問われた高田会長は、「少しでも多くの情報を共有し、実際にどういうものが足りないのか、どういう理由で供給不安が長引いているのか、そういったことをしっかりとアンケートを取ったり、情報分析をしたりして、それに対してどう対策がとれるのか、いつまでに回復するのかというスピード感が問われていると思う。時間はかかってしまっているが、いま業界全体としてそういうことに取り組んでいる」と説明した。また、「今やジェネリック医薬品だけの課題ではないということで、日薬連と連携して、分析の取り組みを今進めているところだ」と説明した。

アンケート実施後の実効性については、「後発品の企業指標による情報開示が24年度から始まる。その中に、当然安定供給への貢献という指標も入っている。今や全体として供給不安の解消あるいは増産を図っていくというフェーズに入っている。各社が自分のところは関係ないということではなく、指標も参考にしながら増産を図っていくということにつなげていきたいというのがまず一つあるかと思う。各社にそういった体制を促していくということは、協会でしかできないと思うのでやっていきたい」と話した。

◎24年度薬価改定の検証「まとめた考え方はない」も「協会として積極的に参画」

2024年度診療報酬改定答申書附帯意見に、「後発医薬品の企業指標の導入や今後の情報公表も踏まえた医薬品の安定供給に対する影響等について、製薬業界の協力を得つつ分析・検証等を行うともにこうした課題に対する製薬業界としての対応を踏まえながら、薬価における評価の在り方について引き続き検討すること」が盛り込まれた。これに対する業界としての姿勢を問われ、「特に協会としてその効果検証についての対応ということをまとめた考え方はない」と述べ、「企業指標について各社がしっかりと参考に取り組んでいくことの一つの大きな転換になるものだと理解をしている。効果について検討することについて協会としては積極的に参画していきたい」と話すにとどめた。

後発品の企業指標導入に伴う、企業情報の可視化については、会員各社に広く呼びかけ、業界団体として各社の公開情報を集約しやすく示すなど、当局とも協議を重ねながら全体最適に貢献していきたいとしている。