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新薬10成分 4月17日収載へ 7成分で24年度改革によるイノベーション評価 ボイデヤに迅速導入加算

公開日時 2024/04/11 04:53
中医協総会は4月10日、新薬10成分15品目の薬価収載を了承した。収載日は4月17日。イノベーション評価が拡充された24年度薬価制度改革により、7成分で加算率の引き上げなどが行われ、発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬・ボイデヤ錠(一般名:ダニコパン、アレクシオンファーマ)には新設された「迅速導入加算」が初めて適用された。加算率は10%。ただ、ボイデヤは製造原価開示度50%未満ということで加算ゼロとなり、薬価に加算分は反映されなかった。

今回の薬価収載予定品のうち、24年度薬価制度改革によって加算率が引き上げられたり、新たに加算がつくなどしたものは、ボイデヤ錠のほか、▽早老症治療薬・ゾキンヴィカプセル(ロナファルニブ、アンジェス)、▽抗てんかん薬・フィコンパ点滴静注用(ペランパネル水和物、エーザイ)、▽ホモ接合体家族性高コレステロール血症治療薬・エヴキーザ点滴静注液(エビナクマブ、ウルトラジェニクスジャパン)、▽骨髄異形成症候群に伴う貧血治療薬・レブロジル皮下注(ルスパテルセプト、ブリストル・マイヤーズ スクイブ)、▽アトピー性皮膚炎治療薬・イブグリース皮下注(レブリキズマブ、日本イーライリリー)、▽全身型重症筋無力症治療薬・ヒフデュラ配合皮下注(エフガルチギモド アルファ、ボルヒアルロニダーゼ アルファ、アルジェニクスジャパン)――の計7成分(投与経路・薬効分類順)。

◎ゾキンヴィとエヴキーザ 加算率に5%プラスして評価

このうち加算率が引き上げられたのはゾキンヴィとエヴキーザの2成分。ゾキンヴィは希少疾病用医薬品ということで市場性加算(I)に該当し、加算率は15%となった。同剤の場合、患者数が極めて少なく開発が難しいことが想定される中で欧米に遅れることなく承認されたとして、加算率がこれまでより5%プラスされた。エヴキーザは小児加算が10%ついたが、成人向けと小児向けを同時開発したことなどを踏まえ、5%プラスして評価された。

ボイデヤとレブロジルは、有用性系加算に新たに追加された評価項目(評価ポイント)に該当すると判断され、加算率の算出にプラスに働いた。

ボイデヤは迅速導入加算(A=10%)や市場性加算(I)(A=10%)のほか、有用性加算(I)(A=40%)が適用された。同剤は承認審査の過程で、臨床試験での輸血回避等の副次評価項目において改善が示されたことが確認された。このため有用性系加算で新設された評価項目の「臨床試験での重要な副次評価項目において既存の治療方法に比べた改善が示される」に該当すると判断され、加算率の算出に用いられる評価ポイント(1p)が加わった。

レブロジルは有用性加算(I)(A=45%)や市場性加算(I)(A=10%)が適用された。このうち有用性加算について、対象疾患である骨髄異形成症候群に伴う貧血に約9年4カ月間、新規機序の新薬収載がないことから、新設された評価項目の「同じ疾患領域において、新規の作用機序の新薬が長期間収載されていない」に該当すると判断され、評価ポイント(1p)が加わった。

◎フィコンパ点滴静注用、イブグリース、ヒフデュラ 新ルールで新薬創出等加算品に

フィコンパ点滴静注用、イブグリース、ヒフデュラの3成分は、新ルールに基づき新薬創出等加算の該当品目になった。

小児加算が適用されたフィコンパ点滴静注用とイブグリースは、小児加算が適用された品目も新薬創出等加算に該当するとの新ルールが適用された。ヒフデュラは、先行収載品のウィフガートと組成及び効能又は効果が同等であって製造販売業者が同一の場合に新薬創出等加算に該当するとの新ルールにより、新薬創出等加算の該当品目となった。

◎開示度50%未満で加算ゼロ ボイデヤ、ゾキンヴィ、レブロジルに適用

なお、原価計算方式で算定されたが、製造原価開示度50%未満で加算ゼロとなったのは、ボイデヤ、ゾキンヴィ、レブロジル――の3成分あった。

◎ピーク時売上予測300億円以上 アイリーア8mg製剤のみ

ピーク時売上予測が300億円以上の製品は、眼科用VEGF阻害薬・アイリーアの高濃度製剤であるアイリーア8mg硝子体内注射液のみで、予想金額は351億円。ピーク時100億円以上と予想されたのは、イブグリース(266億円)、ヒフデュラ(208億円)、レブロジル(123億円)――の3成分だった。

4月17日付で収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)。投与経路・薬効分類順。

ゾキンヴィカプセル50mg、同カプセル75mg(ロナファルニブ、アンジェス)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー
薬価:50mg1カプセル 91,796.40円
75mg1カプセル 136,544.00円
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数6人、販売金額7.0億円

加算:
有用性加算(I)(A=45%):「本剤はファルネシルトランスフェラーゼ阻害作用を有する新規作用機序医薬品であること、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチーは標準治療法が確立されていない致死的な疾患であり、本剤はこれらの疾患に対して臨床試験成績等から有効性が期待されたこと等から、有用性加算(I)(A=45%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=15%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。患者数が極めて少なく開発が難しいと想定される中で、欧米に遅れることなく開発・承認されたこと等を踏まえ、加算率は15%が妥当である」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロジェロイド・ラミノパチー(PL)は、それぞれが大変希少な致死性の遺伝的早老症。いずれの病型とも深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症などの早老症状が現れ、動脈硬化性疾患により若年期に死亡するとされ、HGPSの平均年齢は14.5歳と報告されている。

本剤はHGPSやプロセシング不全性のPLの小児及び若年成人において、核膜の構造・機能を損なうファルネシル化された変異タンパク質(核の不安定化と早期老化を惹起)の蓄積を阻害する。なお、この日の中医協総会で、14日間の処方日数制限の対象外とすることも了承された。

ボイデヤ錠50mg(ダニコパン、アレクシオンファーマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:発作性夜間ヘモグロビン尿症
薬価:50mg1錠  2,259.20円
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数61人、販売金額5.3億円

加算:
有用性加算(I)(A=40%):「既存の薬剤とは異なる作用点を有すること、臨床試験において既存治療で十分な効果が認められない患者を対象に、プラセボ群(既存治療のみ)に対する本剤群(既存治療+本剤)の優越性が検証され、輸血回避等の副次評価項目においても改善が示されたと審査報告書で評価されていること等から、有用性加算(I)(A=40%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
迅速導入加算(A=10%):「本剤は国際共同治験により開発され、優先審査の対象であり、かつ本邦における承認申請は欧米において最も早い承認申請から6か月以内及び承認は欧米より早いことから、加算の要件を満たす。国際共同治験における日本人症例数が比較的多いことを踏まえ、加算率は10%が妥当である」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

補体D因子阻害薬。補体第二経路の律速段階である補体B因子の開裂を触媒する補体D因子のセリンプロテアーゼ活性を阻害し、補体第二経路の活性化及びC3フラグメントの沈着を抑制する。

用法・用量は、「通常、成人には、補体(C5)阻害剤との併用において、ダニコパンとして1回150mgを1日3回食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、1回200mgまで増量することができる」。

現在、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対する治療薬として、C5に対するヒト化モノクローナル抗体(C5阻害薬)であるエクリズマブ及びラブリズマブが使用されているが、C5阻害薬が投与された一部の患者ではC3を介した血管外溶血が認められており、PNHの治療上の課題となっている。PNHに対する治療薬として、C3阻害薬・ペグセタコプランが23年3月に承認されている。

▽①ターゼナカプセル0.1mg、②同カプセル0.25mg、③同カプセル1mg(タラゾパリブトシル酸塩、ファイザー)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:
①②BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん
②③がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん
薬価:
0.1mg1カプセル 3,920.70円
0.25mg1カプセル 9,576.00円(1日薬価:19,152.00円)
1mg1カプセル 21,547.10円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数682人、販売金額30億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

DNA修復で重要な役割を果たしているPARP1とPARP2の阻害薬。PARPとDNAの複合体の解離を阻害することにより、DNA複製の過程で二本鎖切断を生じさせる。BRCA遺伝子の変異等の相同組換え修復関連遺伝子の変異等により、相同組換え修復機能を欠損した腫瘍細胞では、本薬の投与により生じた二本鎖切断が修復されずに蓄積し、細胞死が誘導されることで腫瘍の増殖が抑制されると考えられている。

用法・用量は、去勢抵抗性前立腺がんに対しては、「エンザルタミドとの併用において、通常、成人にはタラゾパリブとして1日1回0.5mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。乳がんに対しては「通常、成人にはタラゾパリブとして1日1回1mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

ラパリムス顆粒0.2%(シロリムス、ノーベルファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:下記の難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形:リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症、血管内皮腫、房状血管腫、静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群、混合型脈管奇形、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
薬価:0.2%1g  3,010.20円(1日薬価:3,010.20円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数928人、販売金額5.1億円

加算:有用性加算(II)(A=15%):「国内のガイドラインにおいて本剤を用いた治療法が優先的に考慮されると記載されていること、適応疾患の治療法が確立していないこと等から、有用性加算(II)(A=15%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

mTOR阻害薬。PI3K/AKT/mTOR経路を抑制することにより、脈管腫瘍及び脈管奇形に有効性を示すと考えられている。脈管腫瘍及び脈管奇形の病因は明確ではないが、PI3K/AKT/mTOR経路の異常活性により、血管内皮細胞、リンパ管内皮細胞等の異常増殖を起こすことが原因の一つと考えられている。

フィコンパ点滴静注用2mg(ペランパネル水和物、エーザイ)
薬効分類:113 抗てんかん剤(注射薬)
効能・効果:一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するペランパネル経口製剤の代替療法。・てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、・他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法
薬価:2mg1瓶 1,962円(1日薬価:3,630円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数1.6万人、販売金額1.3億円

加算:小児加算(A=5%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。国内臨床試験に小児被験者が組み入れられなかったことを踏まえ、加算率は5%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:小児加算適用)
費用対効果評価:該当しない

AMPA型グルタミン酸受容体拮抗薬。点滴静注製剤の効能・効果は、既承認の経口製剤と同様で、一時的に経口投与ができない患者におけるペランパネル経口製剤の代替療法の位置付けとなる。用法・用量は、①ペランパネルの経口投与から切り替える場合②ペランパネルの経口投与に先立ち投与する場合―に分けて設定されており、いずれも1日1回点滴静脈内投与する。

てんかん患者が手術時など一時的に経口で薬剤を服用できない場合に、投与中断による発作リスクが懸念されるため、経口投与以外の治療を継続することが望ましいとされている。

アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mL(アフリベルセプト(遺伝子組換え)、バイエル薬品)
薬効分類:131 眼科用剤(注射薬)
効能・効果:中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫
薬価:8mg0.07mL1瓶 181,763円(1日薬価:1,805円)
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数4.3万人、販売金額351億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

眼科用VEGF阻害薬で、既承認のアイリーア硝子体内注射液40mg/mL(以下、「既存製剤」)の高濃度製剤。

高濃度製剤の用法・用量は、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」(nAMD)、「糖尿病黄斑浮腫」(DME)とも同じ。具体的には、導入期は8mg(0.07mL)を4週ごとに1回、通常、連続3回硝子体内投与する(症状により投与回数を適宜減じる)。その後の維持期は通常、16週ごとに1回硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節できるが、8週以上あける必要がある。

なお、既存製剤もnAMDとDMEの適応を持ち、導入期は2mg(0.05mL)を1か月ごとに1回、nAMDは連続3回、DMEは連続5回、硝子体内投与する。その後の維持期はnAMD、DMEともに、通常2か月ごとに1回、硝子体内投与する。高濃度製剤は既存製剤に比べ、投与間隔の延長と年間の投与回数の減少につながり、患者負担の軽減が期待される。

エヴキーザ点滴静注液345mg(エビナクマブ(遺伝子組換え)、ウルトラジェニクスジャパン)
薬効分類:218 高脂血症用剤(注射薬)
効能・効果:ホモ接合体家族性高コレステロール血症
薬価:345mg2.3mL1瓶 1,409,928円(1日薬価:50,355円)
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数106人、販売金額58億円

加算:
有用性加算(I)(A=40%):「既存の薬剤とは異なる新規の薬理作用を有し、また、最大耐用量の脂質低下療法で効果不十分な患者に対して臨床試験で有効性及び安全性が確認されたことから、有用性加算(I)(A=40%)を適用することが適当と判断した」
小児加算(A=10%):「本剤は小児に係る用法・用量が含まれていること等から、加算の要件に該当する。臨床試験における日本人小児被験者数を踏まえると、限定的な評価とすべきである一方、幼少期から心血管リスクが高く早期の治療介入が必要とされるものの、低年齢の小児患者に対して適応を有する既承認薬が存在しなかった疾患に対して、本剤は5歳以上の小児患者を対象として承認されたことを踏まえると、加算率は10%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

抗ANGPTL3モノクローナル抗体。アンジオポエチン様タンパク(ANGPTL3)に結合し、ANGPTL3によるリポタンパクリパーゼ(LPL)及び血管内皮由来リパーゼ(EL)阻害活性を抑制し、LDL受容体非依存的にLDL-C低下作用を示すと考えられている。LDL受容体が活性をほとんど示さないホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)患者に対して有効な新規作用機序の薬剤として期待されている。

用法・用量は、「通常、エビナクマブ(遺伝子組換え)として15mg/kgを4週に1回、60分以上かけて点滴静注する」。

レブロジル皮下注用25mg、同皮下注用75mg(ルスパテルセプト(遺伝子組換え)、ブリストル マイヤーズ スクイブ)
薬効分類:339 その他の血液・体液用薬(注射薬)
効能・効果:骨髄異形成症候群に伴う貧血
薬価:25mg1瓶 184,552円
75mg1瓶 551,000円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.7千人、販売金額123億円

加算:
有用性加算(I)(A=45%):「本剤はTGF-βシグナル伝達阻害による赤血球成熟促進作用を有する新規作用機序医薬品であること、本剤の対象疾患において約9年4か月間、新規の作用機序の新薬収載がないこと、既存の治療方法で効果が不十分な患者群に対し効果が認められたこと等から、有用性加算(I)(A=45%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当する(H1)

トランスフォーミング増殖因子-β(TGF‒β)阻害薬。TGF-βスーパーファミリーと結合し、アクチビン受容体を介した下流のシグナル伝達経路を阻害することで、造血幹細胞から赤血球への分化過程の後期段階における分化を促進し、成熟した赤血球数の増加を誘導すると考えられている。

用法・用量は、「通常、成人にはルスパテルセプト(遺伝子組換え)として1回1.0mg/kgを3週間間隔で皮下投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1回1.75mg/kgを超えないこと」。

本剤の投与対象である低リスク骨髄異形成症候群(MDS)患者では、貧血等の血球減少症への対応が主たる治療目標となっており、治療選択肢として赤血球輸血やダルベポエチンアルファなどがある。MDSの疾患の経過とともに約80~90%の患者で貧血を発症する。貧血を呈するMDS患者の多くは、正常な赤血球の循環量を確保するために定期的に輸血が必要となる。しかし、頻繁な輸血によって鉄過剰症、輸血反応、輸血血液からの感染など多くのリスクにさらされ、輸血の負荷が高くなると低リスクMDS患者の生存率を低下させることが報告されている。

イブグリース皮下注250mgシリンジ、同皮下注250mgオートインジェクター(レブリキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー)
薬効分類:449 その他のアレルギー用薬(注射薬)
効能・効果:既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎
薬価:250mg2mL1キット 61,520円(1日薬価:4,394円)
250mg2mL1筒 61,520円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.4万人、販売金額266億円

加算:小児加算(A=5%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組み入れ数等を踏まえ、加算率は5%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:小児加算適用)
費用対効果評価:該当しない

IL-13に対して高親和性に結合するIgG4 モノクローナル抗体。IL-13と結合し、IL-4Rα及びIL-13Rα1から構成されるIL-13受容体複合体を介したIL-13シグナル伝達を阻害する。サイトカインであるIL-13はアトピー性皮膚炎において重要で、皮膚の2型炎症を引き起こし、皮膚バリア障害、痒み、皮膚の肥厚化および感染を引き起こすとされている。

用法・用量は、「通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、レブリキズマブ(遺伝子組換え)として初回及び2週後に1回500mg、4週以降、1回250mgを2週間隔で皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、4週以降、1回250mgを4週間隔で皮下投与することができる」。

ヒフデュラ配合皮下注(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、アルジェニクスジャパン)
薬効分類:639 その他の生物学的製剤(注射薬)
効能・効果:全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
薬価:5.6mL1瓶 604,569円(1日薬価:86,367円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.9千人、販売金額208億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当する(先行収載品と組成及び効能又は効果が同等であって、製造販売業者が同一)
費用対効果評価:該当しない

エフガルチギモド アルファ(国内製品名:ウィフガート)は胎児性Fc受容体(FcRn)を標的とするアミノ酸残基を改変したヒトIgG1抗体Fcフラグメントで、FcRnを介したIgG抗体のリサイクル経路を阻害し、病原性IgG自己抗体を含むIgG濃度を低下させることにより、全身型重症筋無力症(gMG)に対する治療効果を示すと考えられている。既承認のウィフガートは点滴静注製剤。

新有効成分のボルヒアルロニダーゼ アルファは結合組織におけるヒアルロン酸を加水分解する酵素で、皮下組織における薬液の浸透性を増加させる。これにより両成分を含有するヒフデュラは皮下投与で用いることができ、医療従事者や患者の利便性の向上が期待される。

ヒフデュラの用法・用量は、通常、成人には本剤1回5.6mLを1週間間隔で4回皮下投与し、これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、ウィフガートは1回10mg/kgを1週間間隔で4回1時間かけて点滴静注し、これを1サイクルとして投与を繰り返す。

【訂正】下線部の数値に誤りがありました。訂正します。(4月11日11時20分)
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