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住友ファーマ 24年度にコア営業利益黒字化へ 国内はトレリーフ、エクア特許切れで厳しく

公開日時 2024/05/15 04:51
住友ファーマは5月14日、2024年度(25年3月期)にコア営業利益を黒字化させ、25年度(26年3月期)には最終黒字も実現させると発表した。23年度(24年3月期)は、“ラツーダクリフ”の影響に加え、成長戦略のカギを握る北米基幹3製品(オルゴビクス、マイフェンブリー、ジェムテサ)が想定ほど伸長せず、さらにマイフェンブリーや開発中止などで総額1809億円の減損損失を計上するなどして、コア営業損失1330億円、営業損失3549億円、親会社帰属当期損失3150億円の大幅赤字となった。24年度は、6月に経営陣を刷新して北米事業の進捗管理と全社的なコスト管理を徹底し、コア営業利益10億円を目指す。

24年度の連結業績予想は、売上は前年度比7.5%増の3380億円、コア営業利益10億円、営業利益0円、親会社帰属当期損失160億円――とした。同社にとって24年度のコア営業利益の黒字化は必達目標となる。

◎24年度研究開発費 409億円減の500億円に

コア営業利益は23年度から1340億円伸ばす必要があり、具体的には販管費・研究開発費の合理化で約1080億円を捻出し、北米基幹3製品の市場浸透を加速させて3製品合計で約240億円の利益を生み出す。

このうち販管費は、北米での23年度以降の人員削減(人員数:23年度期初2200人→23年度期末1200人→24年度1100人)を中心に、24年度は前年度から674億円削減する計画。研究開発費は409億円減の500億円を投じる計画を立てた。

野村博代表取締役社長はこの日の決算説明会で、研究開発投資について、「各領域でメリハリの効いた投資配分を行うとともに、グローバルで新たなオペレーションモデルを確立する」と説明。改めて27年度までの承認取得・上市が期待できるがん領域2品目(TP-3654、DSP-5336)の臨床開発に注力するほか、24年度中の国内申請を目指すパーキンソン病を対象疾患とする再生・細胞医療プログラムの着実な臨床開発を進める考えを示した。開発パイプラインの絞り込みにより、臨床段階及び臨床研究段階の開発品目数は24年1月31日時点の計22品目が5月14日時点で17品目になった。

◎24年度の北米基幹3製品 合計で2億9300万ドル増収計画 利益で約240億円に

24年度のコア営業利益の黒字化と25年度以降の持続成長のカギを握る北米基幹3製品の24年度売上予想は、経口前立腺がん治療薬・オルゴビクスは1億800万ドル増の4億ドル、子宮筋腫・子宮内膜症治療薬・マイフェンブリーは6000万ドル増の1億2400万ドル、過活動膀胱治療薬・ジェムテサは1億2500万ドル増の3億8000万ドル――とした。3製品合計で2億9300万ドルの増収を見込むが、同社は第三者評価も入れ、手堅い売上予想だとしている。同社によると、3製品の増収により得られる利益は約240億円になる。

北米市場での認知度向上への施策も明示し、オルゴビクスは1月のメディケアパートDの薬剤給付制度変更(高額医療費の自己負担撤廃など)を患者や医療関係者に訴求するほか、米国NCCNガイドラインの2月改訂で一部の併用療法の推奨オプションにオルゴビクスも位置づけられたことを追い風にプロモーションを強化する。マイフェンブリーは、散漫だった情報活動を産婦人科医をしっかりカバーできるように見直す。ジェムテサはプライマリー施設担当の営業担当者を増員するなどしてシェア拡大を図る。

◎国内事業厳しく 24年度予想は12.5%減収 25年度はエクメットも特許切れ

一方、国内事業は厳しさが増しそうだ。23年度は、売上は37.6%減の1147億円、コアセグメント利益は31.6%減の134億円だった。売上は、前年度に248億円の売上があったトルリシティの販売提携が22年12月で終了したことや薬価改定影響のほか、国内連結子会社2社を譲渡したことが影響した。利益面は、子会社2社がグループ傘下から外れたことで販管費は減少したものの、減収による売上総利益の減少影響が大きかった。

24年度の売上は12.5%減の1003億円と予想した。2型糖尿病治療薬・ツイミーグは約2.5倍の113億円、ラツーダは10.8%増の130億円を見込む一方、抗パーキンソン病薬・トレリーフは6月に後発品が参入する影響で86.4%減の21億円と予想。さらにDPP-4阻害薬・エクアに12月に後発品が参入することを想定して、エクア・エクメットの合計で14.1%減の263億円になると予想した。

エクメットには「25年6月に後発品が参入する見込み」(同社広報部)としており、同社にとって最主力品のエクア・エクメットも25年度に特許切れを迎える。

◎木村専務執行役員 「事業改革やスリム化が直接、人員削減を意味しているわけではない」

6月に社長に就任予定の木村徹代表取締役専務執行役員は同日の説明会で、国内事業の展望と人員削減の可能性を聞かれ、「日本の売上は、一旦は下がると考えている。製品導入にも非常に力を入れているが、なかなか難しいのが現状」と指摘した。今後も製品導入活動に注力しつつ、国内営業の機動力を高める施策にも取り組む意向を示し、「事業改革やスリム化が直接、人員削減を意味しているわけではないということは理解いただきたい」と強調した。ただ、今後の国内売上や製品導入の動向次第では「(国内営業体制の)サイズそのものをスリムにする」ことも視野に、あらゆる選択肢の中から検討していく構えもみせた。

なお、北米事業では、23年2月に特許切れしたラツーダの23年度売上が14億1800万ドル減の4700万ドルとなった影響が大きく、同事業の23年度売上は13億2400万ドル減の11億ドルにほぼ半減した。北米の人員数も23年期初の2300人から2回のリストラを経て同年期末には1200人にほぼ半減させたが、基幹3製品の営業活動に支障がない範囲・対象で削減したとしている。

【23年度連結業績 (前年同期比) 24年度予想(前年同期比)】
売上高 3145億5800万円(43.4%減) 3380億円(7.5%増)
コア営業利益 ▲1329億7800万円(-) 10億円(-)
営業利益 ▲3548億5900万円(-) 0億円(-)
親会社帰属純利益 ▲3149億6900万円(-) ▲160億円(-)

【23年度の国内主要製品売上高(前年同期実績) 24年度予想、億円】
エクア・エクメット 306(336) 263
トレリーフ 155(167) 21
ラツーダ 117(96) 130
メトグルコ 73(77) 74
ツイミーグ 46(22) 113
ロナセンテープ 38(29) 44
オーソライズドジェネリック品 97(92) 111
トルリシティ -(248) -
*トルリシティ以外は仕切価ベース。トルリシティは薬価ベース。
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