LifeScan Japan 生成AI活用の次世代営業支援システム導入で「業務効率向上率50%」 面談前準備で成果
公開日時 2025/07/30 04:51

血糖自己測定器の製造販売を手掛けるLifeScan Japanは7月29日のプレスセミナーで、今年4月に導入した次世代営業支援システム「MAIA Japan System」の活用率がリリース後2か月で97%、業務効率向上率が50%に達したと報告した。同システムは生成AIを使って営業担当者の日常業務や育成などをサポートする機能を有している。同社の保有する過去9年分の成功事例4000件のデータを解析し、顧客対応の重要なポイントや業務を成功に導くヒントを、営業担当者が入力する質問に応じてレコメンドを表示させる。西川勇人代表取締役社長(写真左)は、「MAIAの導入により活動量が増えたことで新規口座を前年比2.5倍に増やすことができた」と強調した。
次世代営業支援システム「MAIA Japan System」(MAIA=Multifunctional AI Assistant)は、同社がこれまで社内に蓄積した血糖自己測定器の営業における成功ストーリー約4000件をデータ化し、加えて、製品関連資料や各種規制(ルール関連)、過去のトレーニング資料を大規模言語モデルベース(GPT-4o Claud3.7 Sonnet)で解析することで、営業担当者が求める顧客対応の重要なポイントを表示できるようにした。またMAIAは、PC、スマホ、タブレット端末のいずれにも対応できることから、営業担当者は、面談前準備や、訪問直前の確認、さらには新人の育成トレーニングなどのユースケースに対応できるように設定されている。
◎ナレッジシェアの文化が今回のMAIA導入に結びついた
MAIAを説明したコマーシャルエデュケーションの裏田亜里紗マネジャー(写真右)は、「競合製品をどのように切り替えたのかで成功ストーリーを文書化して、気軽に社員全員に共有する風土が根付いていた」と語り、過去から現在におよびナレッジシェアの文化が今回のMAIA導入に結びついたと明かしてくれた。
また、裏田マネジャーは血糖測定器営業の難しさに触れ、「患者の生活スタイルや症状に対する理解が不可欠なのに加えて、医師、薬剤師、臨床検査技師、栄養士など多職種への情報提供が強く求められる」と強調。「医薬品における医師の処方権と違って、様々な院内ステークホルダーとの信頼関係の構築が求められる」と述べ、MAIAの機能にも顧客との関係性との融合に関する要素を反映していると強調した。成果について裏田マネジャーは、「現時点で面談前準備の時間短縮や営業担当者の営業戦略立案のサポートに役立っている」と指摘。25年12月までの短期目標として、データベースの拡充や、新たに各チームに設置したアンバサダーを通じて成功事例の共有と活用促進を図る方針を明らかにした。
一方、医療機器の営業ということで、製薬企業のMR経験者以外に、自動車や半導体など異業種からの転職者も多く、「営業育成の課題解決にもMAIAを役立てたい」(裏田マネジャー)という。このため、これまで4年を要していた目標スキル到達年数を、中途社員に対しては効率的な育成を前提に、日常的な相談パートナーとなるシステムを導入することで、「営業研修期間を従来の50%に短縮したい」と成果の実現に期待感を示した。
◎西川社長「新規の採用口座が昨年と比べると2.5倍で進捗している」
西川勇人代表取締役社長は、MAIA導入の意義について、「営業担当者が面談前に準備する時間が短縮課することで、逆にアプローチする工数や打ち手が増えてくる」と述べながら、「できるだけ業務効率を半減させたいと考えている」と強調した。また、導入の成果については、「KPIの推移をみると、実は新規の採用口座が昨年と比べると2.5倍で進捗している」と明かし、「おそらく活動の量も増え、活動の質も上がっていることの表れ」と評価した。