あすか製薬HD 大規模買付行為等の情報提供をダルトンが拒否と公表 「生成AIで収集すべき」メールで返信
公開日時 2025/09/03 04:51
あすか製薬ホールディングス(HD)は9月2日、米投資ファンド・ダルトンから同社株券等の大規模買付行為等に係る「情報リスト」への回答を事実上拒否する電子(返信)メールを受け取ったと発表した。その上でダルトンらに対し情報提供を再要請した。ダルトンらは同社の議決権比率30%取得を目指し、同社株式の買付を進める意向を示している。このためあすか製薬HDは8月29日付で、投資家の判断と当社取締役会の評価・検討等のために必要な情報リストの提供をダルトンらに要請。これに対しダルトンは、「質問事項の一部はインターネットを通じて得られる。生成AIで収集すべき」などと反論し、事実上回答を拒否するメールを返信してきたという。
◎あすか製薬HDが返信メールを公開 表題に「I HATE TO WASTE MONEY」(無駄遣いが大嫌い)
あすか製薬HDがこの日公開した電子(返信)メールは、ダルトンのチーフ・インベストメント・オフィサーのJames B. Rosenwald Ⅲ氏から、山口惣大代表取締役社長に宛てられたもの。メールは全文英語表記で、表題には「I HATE TO WASTE MONEY」(無駄遣いが大嫌い)と記載されている。
◎「指先で簡単にアクセスできる公開情報を無視するのは愚かなこと」と返信メールに記載 ダルトン
電子(返信)メールの本文には、「情報リストに記載された質問事項の一部は、インターネットを通じて十分得られるものであり、生成AI(Chat GPTまたはPerplexity)を活用して情報取集すべきであって、情報リストのやり取りは無駄な手続」との内容を記載。さらに、「指先で簡単にアクセスできる公開情報を無視するのは愚かなことだ。日本はAIの活用が少し遅れているかもしれないが、貴殿におかれては、あすか製薬のすべての取締役および役員に、我々に情報リストでたずねた各質問の答えを得るため、Chat GPTやPerplexityのアプリをダウンロードさせてください。これで時間とお金を節約できます」とも記載している。
◎あすか製薬HD 「機関投資家の議決権行使基準に照らして不適切な対応といわざるを得ない」
これに対しあすか製薬HDは、「電子(返信)メールは、英語で記載されている上、当社株主及び当社取締役会の判断に必要な情報の提供という本対応方針の趣旨を軽視し、当社が送付した情報リストに対して、実質的に回答を拒否しているとも判断し得る」と非難。同社の「対応方針」(7月1日付)に定める手続を遵守せずに大規模買付行為等を実行しようとする可能性がある」との懸念を表明した。
さらに、ダルトンらが事実上回答を拒否していることは、「機関投資家の議決権行使基準に照らして不適切な対応といわざるを得ない」と指摘。ダルトンらが対応方針に定める手続を遵守しないまま、大規模買付行為等を実行する場合には、「当社株主の皆様が強い強圧性に晒される可能性がある」として、「情報リスト」に回答を行うようダルトンらに改めて要請した。