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経口抗凝固薬 「重大な副作用」に「脾破裂に至る脾臓出血」を追記 添付文書改訂

公開日時 2025/11/27 04:50
ワーファリンやリクシアナなどの経口抗凝固薬について、「重大な副作用」の「出血」の項に、「脾破裂に至る脾臓出血」を追記する添付文書改訂が行われた。がん免疫療法薬・テセントリクの「重大な副作用」に「溶血性貧血」を追記することも行われた。テセントリクと国内の溶血性貧血関連症例との因果関係が否定できない症例が11例確認された。

このほか、オンデキサ、セレザイム、ボセンタン水和物、トスフロキサシントシル酸塩水和物(経口剤)、ゾルゲンスマ――の添付文書が改訂された。

添付文書の改訂指示のあった医薬品及び再生医療等製品は次の通り。

▽経口抗凝固薬
アピキサバン(製品名:エリキュース錠、ブリストル・マイヤーズ スクイブ)
エドキサバントシル酸塩水和物(製品名:リクシアナ錠、同OD錠、第一三共)
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(製品名:プラザキサカプセル、日本ベーリンガーインゲルハイム)
リバーロキサバン(製品名:イグザレルト錠、同OD錠、同細粒分包、同ドライシロップ小児用、バイエル薬品 等)
ワルファリンカリウム(製品名:ワーファリン錠、同顆粒、エーザイ 等)

改訂概要:「重大な副作用」の「出血」の項に、「脾破裂に至る脾臓出血」を追記する。

改訂理由:経口抗凝固薬の脾破裂リスクについて、国内外症例、WHO個別症例安全性報告グローバルデータベース(VigiBase)を用いた不均衡分析結果を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、次の内容を踏まえ、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

▽国内外症例及び文献報告において、複数の経口抗凝固薬(アピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン、ワルファリン)で脾破裂との因果関係が否定できない症例が認められていること。
▽経口抗凝固薬による脾破裂の機序は明確にはなっていないが、文献において、経口抗凝固薬の投与下において脾臓における止血機構に変化が生じ、脾臓出血をきたすことにより脾破裂に至るものと推察されている。推察されている機序を考慮すると、脾破裂は、経口抗凝固薬クラスにおいて潜在的なリスクになり得ると考えること。
▽VigiBaseを用いた不均衡分析において、経口抗凝固薬5成分全てについて「脾破裂」に関連する副作用報告数が、データベース全体から予測される値より統計学的に有意に高かったこと。

脾破裂関連症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない国内症例は、ワルファリンカリウムで4例。死亡0例。ワルファリン以外の成分で事象との因果関係が否定できない症例は0例。
医薬品と事象との因果関係が否定できない海外症例は、ダビガトランで4例、リバーロキサバンで2例。因果関係が否定できない死亡は各0例。これら2成分以外の成分で事象との因果関係が否定できない症例は0例。

アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)(製品名:オンデキサ静注用、アストラゼネカ)

改訂概要:「重要な基本的注意」の項に、シミュレーションの結果に基づき、本剤投与終了4時間後の時点で、直接作用型第Xa因子阻害剤又は低分子ヘパリンによる本来の抗凝固作用が期待できる旨を追記する。「相互作用」の「併用注意(併用に注意すること)」の項に、シミュレーションの結果に基づき、低分子ヘパリンの抗凝固活性は本剤投与終了4時間後には本剤の影響を受けないと推定されている旨を追記する。また、未分画ヘパリンの薬理作用(抗凝固活性)に対する本剤の影響を評価する試験は実施していない旨を追記する。

改訂理由:承認取得者より提出された薬物動態/薬力学モデルを用いたシミュレーションの結果を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、モデル及びシミュレーション結果に特段の問題は認められず、本シミュレーション結果に基づく情報提供は臨床上有用と判断されたことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

アテゾリズマブ(遺伝子組換え)(製品名:テセントリク点滴静注、中外製薬)

改訂概要:「重大な副作用」の項に「溶血性貧血」を追記する。

改訂理由:溶血性貧血関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と溶血性貧血との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

溶血性貧血関連症例の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は11例。死亡0例。

イミグルセラーゼ(遺伝子組換え)(製品名:セレザイム静注用、サノフィ)

改訂概要:「重大な副作用」の項に「Infusion reaction」を追記する。 なお、当該追記に伴い、「重要な基本的注意」の項における過敏症が発現した場合の注意喚起にもinfusion reactionを追記する。

改訂理由:注入に伴う反応症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤とInfusion reaction との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

注入に伴う反応の症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない国内症例は1例。死亡0例。事象との因果関係が否定できない海外症例は7例。死亡0例。

ボセンタン水和物(製品名:トラクリア錠、同小児用分散錠、ヤンセンファーマ 等)

改訂概要:「重大な副作用」の項に「自己免疫性肝炎」を追記する。なお、当該追記に伴い、「警告」及び「用法及び用量に関連する注意」の項における肝機能障害に関連する注意事項に自己免疫性肝炎を追記する記載整備を行う。

改訂理由:自己免疫性肝炎症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と自己免疫性肝炎との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

自己免疫性肝炎症例の集積状況:国内症例0例。医薬品と事象との因果関係が否定できない海外症例は12例。因果関係が否定できない死亡は0例。

トスフロキサシントシル酸塩水和物(経口剤)(製品名:オゼックス錠、同細粒小児用、同錠小児用、富士フイルム富山化学/トスキサシン錠、ヴィアトリス製薬 等)

改訂概要:「重大な副作用」の項の「急性腎障害、間質性腎炎、腎性尿崩症」に「尿路結石」を追記し、また、結晶尿を伴う急性腎障害に関する注意を追記する。

改訂理由:尿路結石症例及び結晶尿を伴う急性腎障害関連症例を評価した。症例の因果関係評価及び使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と尿路結石及び結晶尿を伴う急性腎障害との因果関係が否定できない症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

尿路結石の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は4例。死亡0例。
結晶尿を伴う急性腎障害関連症例の国内症例の集積状況:医薬品と事象との因果関係が否定できない症例は7例。死亡0例。

オナセムノゲン アベパルボベク(製品名:ゾルゲンスマ点滴静注、ノバルティスファーマ)

改訂概要:「重要な基本的注意」の項における心筋トロポニンI測定に関する記載を改訂する。

改訂理由:本品投与後における心筋トロポニンIの上昇と心毒性との関連性を評価した。心筋トロポニンIのモニタリング規定の見直しに係る使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した。次の点を踏まえると、定期的な心筋トロポニンIの測定に係る規定を維持する合理性は高くはないと考えられたことから、心筋トロポニンIの測定期間及び測定頻度に係る現行の規定を削除の上、本品投与後に心筋トロポニンIの上昇が認められる時期を考慮し、本品の投与前と本品の投与後概ね1カ月間以内に心筋トロポニンIを測定するよう、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。

▽心筋トロポニンIは上昇することがあるが軽度であり、心筋トロポニンIの上昇を契機として、心機能の低下が確認された症例は認められなかったこと。
▽本品投与後に心筋トロポニンIの上昇が認められており、心筋の損傷が生じていることが示唆され、また、本品の非臨床試験及び臨床試験で認められた心毒性リスクは否定されていないこと。
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