京大病院、四国がんセンターなど DCTで治験業務効率化を検証 患者負担軽減で新たな治験モデル構築へ
公開日時 2025/10/24 04:52
京都大学医学部附属病院、国病機構四国がんセンター、新医療リアルワールドデータ研究機構、NTTデータは10月22日、「分散型臨床試験(DCT)」の実現を見据えた治験業務の効率化に関する共同検証を開始すると発表した。治験実施医療機関を京大病院、パートナー医療機関を四国がんセンターと見立てて、NTTデータの治療支援システム「PhambieLINQ」を活用して、両医療機関の診察情報やスケジュールなどのデータ連携、業務標準化の検証を行う。また、全国規模のRWD収集基盤「J-CONNECT」を活用した治験対象患者の抽出などを行い、患者の負担軽減と治験の迅速化を両立する新しい治験モデルの構築を目指す方針だ。
◎京大病院とパートナー医療機関の四国がんセンターで治験業務フローを整備
今回のプロジェクトは、DCTの実現に向けた治験業務の効率化と、治験ネットワークの基盤整備に関する共同検証を2025年10月から2026年3月まで実施するというもの。NTTデータの治験支援システム「PhambieLINQ」と、新医療リアルワールドデータ研究機構の「CyberOncology」を活用して、①システム利用による治験業務の標準化・効率化検証、②医療機関間のデータ連携の有効性検証、③リアルワールドデータ活用による治験ネットワークのフィージビリティ検証-の3テーマで評価を実施する。
治験業務の標準化は、来院日管理機能やvisitチェックシート(来院日ごとの実施事項のチェックリスト)機能の利用に伴う、来院日管理設定ファイルの標準化などを予定する。データ連携については、検査結果や画像情報などの紙資料をPDF化し、京大病院と四国がんセンター間でクラウドを活用した診察情報を共有する連携プロセスを検証する。
このほか、主要な電子カルテと連携し、がん領域を始めとした様々な疾患の臨床データの自動構造化を実現する「CyberOncology」を用い、適格基準に合致する候補患者の検索や、治験の適格基準に合致する候補患者の早期特定を実施。治験期間の短縮化および治験登録患者数の増加の検証、さらにRWDを活用した治験の適格基準に合致する候補患者の早期特定・募集ができる治験ネットワークの実現可能性の検証などを行うことにしている。
◎医療機関同士の連携強化を推進 治験業務の効率化と品質向上を実現
今回のプロジェクトに参加する4者は、検証成果をもとに治験支援システムのさらなる高度化に取り組むほか、医療機関同士の連携強化を推進し、治験業務の効率化と品質向上を実現させ、患者にとって円滑かつ前向きに治験へ参加できる仕組みの実現をめざす。将来的には、全国の医療機関への展開も視野に入れており、日本の創薬開発の加速と医療DXの推進に貢献したい考えだ。