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塩野義製薬・手代木社長 通期営業利益予想を上方修正 JTグループのM&A以外に複数ディールが進行中

公開日時 2025/10/28 04:50
塩野義製薬の手代木功代表取締役会長兼社長CEOは10月27日の2025年度第2四半期(中間期)決算記者会見で、通期の営業利益予想を100億円上方修正すると発表した。通期の売上予想は300億円下方修正し、5000億円(前期比14.1%増)とするものの、営業利益予想は100億円上方修正し1850億円(18.1%増)とする。営業利益の上振れについて手代木社長は、JTグループ医薬品事業のM&A以外に、複数のディールが進行中であると指摘。「下期に向けてかなり大きな事業開発活動を行っている。控えめに見積もっても100億円以上の営業利益の増につながる」と強調した。

「前向きにお金を使ってモノを買いに行く。あるいはいろんなモノを買いに行くというM&Aの関係でこのぐらいはいくかなと考えているのが、今回の上方修正だ」-。手代木社長はこう強調する。

同社の25年度中間期業績は、売上高が前年同期比0.5%減の2130億円、営業利益が1.4%減の748億円と微減収・営業減益で着地した。手代木社長は、「取り組みについては非常に大きな手応えを感じている」と強調。①HIV事業の強い成長、②欧米での新規抗菌薬・セフィデロコルの顕著な成長、③鳥居薬品の完全子会社化(25年9月)の順調な進展、④欧米におけるエンシトレルビル(国内販売名:ゾコーバ)の曝露後予防での承認申請受理(欧州では治療でも申請受理)―を列挙した。

HIV事業については、ヴィーブ社の抗HIV薬「Dovato」、「Cabenuva」、「Apretude」などの販売が好調に推移していることから、塩野義製薬のHIVフランチャイズ・ロイヤリティー収入は5.2%増の1258億円となった。一方、欧米のセフィデロコルが成長をけん引している海外子会社/輸出の売上高は8.1%増の306億円となった。

◎トータル微減収は、国内医療用医薬品の売上高22.8%減

それでもトータルで微減収となったのは、国内医療用医薬品の売上高が22.8%減の368億円と不振だったため。製品別内訳を見ると、急性呼吸器感染症薬(経口新型コロナ治療薬・ゾコーバ、抗インフル薬:ゾフルーザ・ラピアクタ)の売上は65.1%減の87億円にとどまり、上期予想の310億円を大幅に下回る結果となった。

また、24年12月発売のオレキシン系の不眠症治療薬・クービビックの売上は上期予想の12億円に対し、4億円の実績にとどまった。オピオイド誘発性便秘症治療薬・スインプロイクは23.9%増の29億円となったものの、上期予想の39億円にはとどかなかった。25年9月に完全子会社化した鳥居薬品の売上は、55億円寄与し、上期予想の30億円を上回った。

◎手代木社長「グッドニュースは、鳥居薬品が非常に堅調だ」

手代木社長は、「グッドニュースとしては、鳥居薬品が非常に堅調だ。呼吸器感染症薬にコミットし続けるが、どうしても“流行り”、“流行らない”がある中で、QOL疾患としてのクービビック、スインプロイクあるいは鳥居薬品が下支えをしてくれることによって安定的な国内売上を達成するということに非常に大きく前進したと思っている」とコメントした。

通期の連結売上高予想は、300億円下方修正し、5000億円とした。このうち、海外子会社/輸出の売上高予想は61億円引き上げ610億円、HIVフランチャイズを含むロイヤリティー収入予想は36億円引き上げ2615億円とした。

一方、国内医療用医薬品(9月に鳥居薬品完全子会社化、25年12月にJT医薬事業吸収)の売上高予想については、395億円下方修正し1435億円とした。マイナス395億円の内訳は、急性呼吸器感染症薬がマイナス298億円、クービビックがマイナス68億円、スインプロイクがマイナス16億円、鳥居薬品がプラス82億円などとなっている。

◎ゾコーバの営業活動 ハイリスク患者に対して重症化を防ぐための活動を強化

下期のゾコーバの営業活動について手代木社長は、25年9月に発行された「5学会による新型コロナウイルス感染症診療の指針」で、重症化予防の治療選択肢としてゾコーバも推奨されたことを踏まえ、早期診断・早期治療が必要なハイリスク患者に対して、重症化を防ぐための活動を強化する考えを強調した。大型化を目指すクービビックについては、「先行2剤と比べて、私どものデータでは最初の1年の売上はほぼ同じぐらいだと思っているので、25年12月1日から4週間処方になるのをきっかけに攻めに転じたいと思っている」と述べた。

鳥居薬品の完全子会社化により獲得したアトピー性皮膚炎(AD)治療薬・コレクチム、AD・尋常性乾癬治療薬・ブイタマーについては、「もちろん伸びているが、私ども元々リンデロンがあり、皮膚科領域で全くストレンジャーではないので、両社力を合わせて今後も伸ばしていけるだろう」とコメントした。

【連結業績(前年同期比)25年度予想(前期比)】
売上高 2129億6500万円(0.5%減)5000億円(14.1%増)←修正前5300億円
営業利益 747億7100万円(1.4%減)1850億円(18.1%増)←修正前1750億円
税引前利益 983億8400万円(4.9%増)2320億円(15.6%増)←修正前2220億円
親会社所有者帰属純利益 835億4200万円(0.5%増)1880億円(10.3%増)←修正前1800億円

【国内主要製品売上高(前年同期実績)25年度予想、億円】
国内医療用医薬品 368(477)1435←修正前1830
急性呼吸器感染症薬(ゾコーバ、ゾフルーザ、ラピアクタ)87(249)560←修正前858
クービビック 4(―)25←修正前93
スインプロイク 29(24)65←修正前81
オキシコンチン類 23(21)53←修正前56
その他 225(184)732←修正前742
鳥居薬品 55(―)412←修正前330

海外子会社/輸出 306(283)610←修正前549
Shionogi Inc.(米国)136(112)272←修正前226
Shionogi B.V.(欧州)98(83)193←修正前169
塩野義有限公司(中国)30(42)59←修正前70

ロイヤリティー収入 1293(1215)2615←修正前2579
うちHIVフランチャイズ 1258(1196)2450←修正前2448
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