日本フォーミュラリ学会・今井理事長 骨太方針「全国展開」で診療報酬上の評価見えた DPC係数活用も
公開日時 2025/11/25 04:53

日本フォーミュラリ学会の今井博久理事長は11月22日、神戸市で開催された「第35回日本医療薬学会年会」のシンポジウムに登壇し、地域フォーミュラリを実施する地域が準備中を含めて約50地区に及ぶと報告した。また、政府が6月に閣議決定した骨太方針2025に「全国展開」と記載され、26年度から実行する方向が明示されたことに、「診療報酬上で評価する以外に方法はない」と強調。「例えば、DPC係数の活用、医療機関における地域フォーミュラリ処方促進加算などで評価されるかもしれない」と期待を込めた。また、実施要件の留意事項として、推奨薬に先発品(先行品)は入らないとしながらも、「最近は先発品企業の“オプション”(特定の状況で使用される医薬品)へのアプローチが目立っている」と明かした。
◎地域フォーミュラリの状況 実施25地区、準備中23地区 現時点で「約50地区」に拡大
今井理事長は地域フォーミュラリの実施状況について、実施25地区、準備中23地区の合計48地区に及ぶと報告。ただ、現在進行形で準備委員会を設置した地域もあり、現時点で「約50地区」に拡大していると報告した。
◎DPC係数の活用、医療機関における地域フォーミュラリ処方促進加算などに期待寄せる
この背景として今井理事長は、2023年7月7日発出の厚労省課長通知「フォーミュラリの運用について」と、25年6月13日に閣議決定した「骨太方針2025」の2つの事象があると指摘。特に、骨太方針2025には「地域フォーミュラリの全国展開」という文言が明記され、2026年度から実行すると記載されたことが追い風になっていると強調した。また、「私見としては診療報酬の評価を見込んでいる」と述べ、DPC係数の活用や医療機関における地域フォーミュラリ処方促進加算などに期待を寄せ、「いずれにせよ着実に普及浸透して行くだろう」と語った。
◎地域フォーミュラリ委員会の運営「民間企業に運営などを委託しない」 日調撤退踏まえ
地域フォーミュラリの「実施要件」にも触れた。地域フォーミュラリ委員会の運営についてはCOIを開示するほか、「民間企業に運営などを委託しない」ことも明記した。今井理事長は、日本調剤の医薬品情報WEBプラットフォーム「FINDAT」が事業撤退することになったことをあげながら、「民間企業を入れることに馴染まないかなと思う」と指摘。「運営委員会は地域の医師会、薬剤師会、病院薬剤師、保健所、行政などで地域をどう守るか、安定供給していくか、災害時にどうするかなどでやっていくべき。民間企業への丸投げは違う」とクギを刺した。
◎推奨薬とオプション 先発品企業からの「オプション」へのアプローチが最近増えている
また「推奨薬」については、「有効性・安全性および経済性に優れている」と定義し、対象となるのは後発医薬品(バイオシミラー)であり。「先発医薬品(先行品)は推奨薬にならない」と規定。一方で、ある特定の状況では使用される医薬品を「オプション」とし、ここは先発医薬品、後発医薬品いずれも定義されるとした。今井理事長は、「専門医から一覧表を見た時に違和感がある」と指摘を受けたことを紹介。特定の状況で使用される医薬品を推奨薬とは別にオプションとして掲載することになった経緯を紹介した。また今井理事長は、「オプションの方に入れたい」という先発品企業からのアプローチが最近増えていると明かした。
◎「処方制限」の誤解「医師は自由に処方できる」
地域フォーミュラリを議論する際に、よくある誤解として「処方制限」に対する見解を示した。今井理事長は、「医師は自由に処方できなくなるだろうという指摘を受けるが、あくまで推奨する医薬品リストであり、医師は自由に処方できる」と強調。実際に従来から処方している医薬品と地域フォーミュラリの医薬品は殆ど乖離しておらず、EBMに則って有効性、安全性、経済性の観点から「総合的に推奨される医薬品」であり、「標準的な薬物治療が可能で、非専門医にとっても有益で、診療所と病院でシームレスな薬物治療ができる」と説明した。