ヘルスケア産業プラットフォーム 物価上昇踏まえた薬価・材料価格等の引上げを 厚労省に要請
公開日時 2025/12/03 04:48

医薬関連労組で構成するヘルスケア産業プラットフォームは12月2日、2026年度薬価改定に向けた要請書を厚労省医政局の安中健医薬産業振興・医療情報企画課長に手渡した。物価上昇を踏まえた公定価格(薬価・材料価格・技術料)の引上げや、中間年改定廃止を含めた薬価・材料価格制度の抜本的見直しを要望した。イノベーションの評価や持続可能な流通制度の実現も合わせて求めた。
要請書では、度重なる薬価や材料価格の引き下げに物価高騰の影響が加わることで、サプライチェーン全体が疲弊し、企業経営悪化に伴うリストラや労働条件の悪化を背景とした人材流出が増加していると強調。「人材面から安定供給基盤・創薬基盤を失いかねない危機に直面している」と指摘した。その上で、安定供給体制の確保やイノベーション創出国としての基盤再構築には「労務費や原材料費、エネルギー価格の高騰を踏まえた公定価格の見直しと各製品の価値を無視した価格の下落につながる薬価・材料価格制度の抜本的な見直しが必要不可欠だ」と訴えた。
その上で、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針2025)」を踏まえ、労務費や原材料費、エネルギー価格等の上昇を踏まえた公定価格(薬価・材料価格、技術料)の引き上げを要望した。また、物価上昇を価格に反映する仕組みの創設や、不採算品再算定の計算式や対象範囲の見直し、基礎的医薬品の年数要件の撤廃なども求めた。
ヘルスケア産業プラットフォームは要請後に記者団の取材に応え、「インフレ基調の中でどういった薬価改定のあり方をしていくのかは議論が必要だ」と安中課長が述べたと説明。25年度補正予算では医薬品卸への支援が補正予算に盛り込まれるなど、安定供給を支える現場の窮状に対する認識を共有しつつ、改定に向けて、「バランスを取りながら議論を深めていかなくてはならない」との考えを示したことを明かした。