自民党医療委 地域フォーミュラリの全国展開へ会議費・分析費の支援、国の参考成分リスト公表で後押し
公開日時 2025/12/09 04:51

自民党社会保障制度調査会医療委員会(後藤茂之委員長)は12月8日、医療保険制度改革について厚労省保険局から報告を受けた。地域フォーミュラリ推進に向け、「2026年度中に各都道府県において地域フォーミュラリを策定する場を設けることを目指す」として全国展開を進めることを明確にした。具体的には、大阪府の取組みを参考にしつつ、「地域での速やかな合意形成・活動に必要な会議費・使用状況等分析費用等の支援」等を行う。リスト策定の負担が指摘される中で、国が全国の地域フォーミュラリを分析の上検討し、参考となる具体的な薬効群の成分リストを作成・公表する方針も打ち出した。
◎国 生活習慣病など後発品をレセプトデータの分析 都道府県と共有へ
厚労省は地域フォーミュラリの全国展開に向けて、都道府県・市町村に加え、国や保険者の関与も打ち出した。地域フォーミュラリは三師会の合意形成に時間がかかることや、薬剤リスト作成の活動費やマンパワー不足、作成した薬剤リストが現場に浸透しない、データ収集が困難で効果検証できないなど、立ち上げから運営に至る各段階に課題が指摘されている。
このため、厚労省は、国が三師会に地域フォーミュラリ促進への協力を依頼するほか、薬剤リスト作成時に活用するデータについても、「国が、生活習慣病薬等の後発医薬品の成分別使用割合をレセプトデータで把握・分析し、都道府県に共有」する。また、薬剤リストの作成に負担がかかることが指摘される中で、「国が、全国の地域フォーミュラリを分析の上検討し、参考となる具体的な薬効群の成分リストを作成・公表する」ことも打ち出した。活動費が懸念される中で、都道府県が国の支出委任事業である後発医薬品安心使用促進事業、保険者努力支援制度などの活用を想定し、会議運営を支援する考えも示した。
◎保険者にインセンティブ 「評価」にも継続的な関与を求める
保険者の関与が限定的であることも指摘される中で、「保険者に対して、地域フォーミュラリへの参画を促すインセンティブを設ける」ことで、保険者が地域フォーミュラリの策定だけでなく、「評価」にも継続的に関与することも視野に入れる。これにより、医療費適正化効果の実効性を高めることも期待される。
地域フォーミュラリをめぐっては、導入した山形県酒田市で後発品への置換えなどによる医療費適正化効果が報告されている。一方で、全国の策定件数(策定中を含む)は18件、1件以上策定している都道府県数は12府県と、普及状況が限定的で、「全国展開」の必要性を指摘する声があがっていた。今年6月の自民・公明・維新の3党合意、さらに骨太方針2025で「地域フォーミュラリの全国展開」が明記されており、11月26日に開かれた自民・維新の社会保障制度改革協議体でも報告されていた。