中医協 26年度改定で意見書提出 物価・賃金対応は一致 支払側はメリハリ 診療側は真水で大幅プラス
公開日時 2025/12/15 04:53

中医協は12月12日の総会で、26年度診療報酬改定にむけた意見書を取りまとめ、厚労省の江浪武志大臣官房審議官に手渡した。意見書では、社保審の医療保険部会・医療部会が取りまとめた「改定の基本方針」に基づき、物価賃金や人手不足等の医療環境を取り巻く環境変化への対応などで診療・支払の各側で一致を見た。一方、各側で意見の相違がみられた項目は両論併記とした。支払側は医療経済実態調査の結果を踏まえて、施設間格差や病院機能等に応じたメリハリの効いた改定を行うよう求めた。診療側は「真水」による思い切った対応を求め、加えて、病院、診療所、薬局の分断を回避し、医療提供体制全体を俯瞰した改定率を決定するよう政府側に求めた。
意見書では、26年度診療報酬改定にあたり、物価や賃金動向に対応した改定が必要とし、医療機能の特性を踏まえた的確な対応や、2040年頃を見据え、少子高齢化・人口減少による人口構造の変化や医療資源の逼迫といったさまざまな課題に対応していくことが求められると強調した。一方で各側の意見が割れた部分については双方の意見を併記した。
◎支払側 基本診療料の単純な一律引上げは「妥当ではない」
支払側は医療経済実態調査の結果から、「病院経営を安定化や、医療機関に勤務する方々の賃金を引き上げる必要性は理解できる」と指摘。一方で、「病院と診療所・薬局の経営状況には格差があるほか、病院の中でも機能別や同じ機能の中でも施設間での格差があることを強く認識すべき」と強調し、「基本診療料の単純な一律引上げは、患者負担と保険料負担の上昇に直結するだけでなく、医療機関・薬局の経営格差や真の地域貢献度が反映されないため妥当ではない」と牽制した。
◎診療側 「経営基盤の強化を図るための大幅なプラス改定」求める
これに対し診療側は、次期改定においては、「いわゆる“真水”による思い切った対応が必要であり、賃金上昇と物価高騰、高齢化、医療の高度化・技術革新に対応し、経営基盤の強化を図るための大幅なプラス改定が求められる」と主張。さらに、物価・人件費等の高騰の影響を受けて、医療機関における諸費用や歯科材料等の価格が上昇しているほか、薬局では医薬品供給不足や管理コストが負担増になっていると指摘。「自助努力では到底対応できない状況に陥っている」として、医療提供体制全体を俯瞰して改定率を決定する必要があると強調した。
◎改定率めぐる政府内の調整 いよいよ佳境に
この日の中医協で26年度診療報酬改定に向けた意見書が上野厚労相に提出されたことから、今後は政府内で改定率をめぐる調整が活発化する。高市早苗首相も、次期診療報酬改定について、財務・厚労両大臣に、「賃上げ、物価高を適切に反映させ、経営の改善や現場で働く幅広い方々の賃上げに確実につながる的確な対応を行う」よう直接指示しており、本体プラス改定の素地はできあがっている。改定率をめぐる政府内の調整は、いよいよ佳境を迎える。