“フェス型”イベント「2050 Project」開催 業界や世代、組織の枠を超え 医療・ヘルスケアの将来を選択
公開日時 2026/06/02 04:52

官僚、医療者、弁護士、製薬・ヘルスケア・ベンチャー業界、投資家、メディア、大学関係者、学生など約80人が一堂に会し、2050年を起点に医療・ヘルスケアの“いま”を考える“フェス型”コミュニティ「2050 Project」が5月23日、東京都内で開催された。この日は、医療・ヘルスケア業界の変化や個人のキャリア形成、世代を超えた価値観をテーマに5つのセッションを実施。イベントの目玉である「2050年から逆算して何を選ぶか?」をテーマに参加者全員が発言したグループ討議では、業界や世代、所属組織の枠を超え、未来に向けた自身の選択や課題意識などを共有した。

「2050 Project」は、2050年の社会から逆算し、現在の意思決定やキャリア、事業、社会課題を立場や枠を超えて議論することを目的とした招待制の勉強会。「これまで少人数の対話型勉強会として開催を重ねてきたが、今回はその拡大型イベントとして、“フェス型”の形式を採用した」-今回のイベント運営者の一人である大角知也氏(写真)はこう語る。
当日は、①ヘルスケア業界とビジネス、②60代×20代×ヘルスケア、③女性のヘルスケア業界のキャリア、④官僚・企業セッション、⑤40代以降のヘルスケア業界でのキャリア―など5セッションを実施。各登壇者は、自らの経験や問題意識をもとに、医療・ヘルスケア業界の未来、キャリアの選択、世代間の価値観の違い、女性のキャリア形成、官民連携の可能性などについて熱く語った。このセッションを受けてグループ討議を行い、その内容は、それぞれの立場で感じる社会変化を悲観的に捉えるのではなく、「自分たちの時代を自分たちでつくる」という前向きなメッセージや自身の働き方や価値観を共有するものだった。
◎「知る」だけでなく「考え、動き出す」場に

イベントの開催趣旨について大角氏に聞いた。「特徴は、単なる講演会ではなく、参加者自身が未来を考え、言語化する時間を設けた点にある。参加者は各セッションを通じて、ヘルスケア業界の歴史と未来、ビジネスの最前線、多様なキャリアの意思決定、次世代や女性のリアルな視点などを受け取りながら、自らのキャリアや社会との関わり方を考えて欲しい」と語ってくれた。また、“フェス型イベント”の目玉に据えたグループワークでは、「2050年から逆算して、何を選ぶか?」をテーマに、「短時間であっても自己紹介や感想共有にとどまらず、テーマ討議に時間を使う方針を確認していた。 参加者は、業界や世代、所属組織の枠を超えて、未来に向けた自身の選択や課題意識を共有できた」と意義を強調した。
◎大学生や子ども連れも参加 温かい雰囲気のフェスに
参加者の多様性もイベントの大きな特徴だった。会場には、日本の行政施策と日々格闘する官僚や、患者ニーズの多様化に奮闘する医師、看護師、薬剤師。さらにはヘルスケア業界の第一線で活躍するビジネスパーソン、ベンチャーやスタートアップの創業者や投資家だけでなく、社会保障や公衆衛生学などを学ぶ大学生や子連れの参加者の姿もあり、専門性の高いテーマを扱いながらも、会場全体には硬さだけではない温かい雰囲気が生まれた。
運営メンバーには、学生メンバーとして松本綾香氏が準備。伊藤歩夢氏、大浦空氏が当日に参加。社会人メンバーとして、徳本進之介氏、吉原博紀氏、岩月英隆氏、平出勝彦氏、大角知也氏らが企画・運営を担った。準備段階から、司会進行、受付、タイムキーパー、グループワーク、事後発信などの役割分担を明確化し、参加者が安心して対話できる場づくりを進めた。
今回のイベントについて大角氏は、「深く語り、未来の日本をデザインしていきたい」と主張する。2050年という遠い未来を単なる理想論として扱うのではなく、現在のキャリア、事業、社会課題、ヘルスケアのあり方を見直すための視点として位置づける。
ヘルスケア業界は、少子高齢化、医療財政、医療DX、AI、データ活用、患者中心の医療、地域包括ケアなど、多くの構造変化に直面しているが、一方で、個人のキャリアもまた、終身雇用や単線的な昇進モデルを前提としない社会構造に変化してきた。今回のフェスでは、こうした変化を悲観的に捉えるのではなく、「自分たちの時代を自分たちでつくる」という前向きな姿勢が共有された。今後も2050 Projectは定期開催を予定しており、ヘルスケア、キャリア、教育、地域、テクノロジーなどを横断しながら、未来を考える場づくりを続けていく方針だ。