欧州・CHMP タブネオスの承認取消を勧告 「ベネフィットがリスクを上回ることが証明されていない」
公開日時 2026/06/30 04:51
キッセイ薬品は6月29日、タブネオス(一般名:アバコパン)の臨床試験データのレビューを行っていた欧州医薬品委員会(CHMP)が、欧州連合(EU)における製造販売承認の取り消しを勧告したと発表した。承認の根拠となった国際共同第3相ADVOCATE試験について、CHMPは「GCPの原則に違反して実施された」と指摘。審査時に提出された試験データは「不正確かつ誤解を招くもの」だったとし、「本剤のベネフィットがリスクを上回ることが証明されていない」と結論付けた。CHMPの今回の見解は欧州委員会(EC)に提出されており、今後、ECによる最終決定が下される見込み。
欧州医薬品庁(EMA)は1月30日、同試験データの整合性に疑義が生じたことを受け、CHMPによるレビューを開始したと公表していた。その結果がまとまり、6月26日付(現地時間)で公表された。
CHMPは見解の中で、新規患者へのタブネオス投与開始を推奨せず、既存患者については適切な代替薬への切り替えを求めた。また、タブネオスは薬剤性肝障害(DILI)および胆管消失症候群(VBDS)のリスク増加と関連し、死亡に至るケースもあるため、治療を受けている患者の肝機能は、治療が完全に中止されるまで綿密にモニタリングする必要があるとした。
タブネオスをめぐっては、米国でも承認撤回提案がなされ、現在、公聴会の手続きが進められている。米FDAの公開文書によると、「ADVOCATE試験において、盲検化されていない担当者が、当初の解析では有効性を支持しない結果であることを知った上で中央判定委員会に再判定を依頼し、薬剤が有効であるように見せた」ことなどを理由に、同剤は「有効性が示されていない」、「承認申請書類に重要な事実に反した記載が含まれている」と指摘されている。
日本では、製造販売元のキッセイ薬品がCHMPの見解を厚労省及びPMDAに報告し、「日本における対応について協議中」だとしている。
タブネオスの米国承認は、創製元の米ケモセントリクス社(現アムジェン)が取得した。米国以外の国・地域は、提携先のビフォー・フレゼニウス・メディカル・ケア・リーナル・ファーマ社(VFMRP社、現CSLビフォー社)が展開している。VFMRP社から日本国内の事業化サブライセンスを受けたキッセイ薬品は、ADVOCATE試験結果などをもとに日本で承認申請し、21年9月に顕微鏡的多発血管炎(MPA)及び多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の効能・効果で承認を取得した。