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薬食審・第二部会 新薬8製品を審議、承認了承 メルクセローノの抗PD-L1抗体など

公開日時 2017/09/11 03:52

厚労省の薬食審医薬品第二部会は9月8日、新薬8製品の承認の可否を審議し、全て承認を了承した。この中には、メルクセローノの抗PD-L1抗体でメルケル細胞がんを適応とするバベンチオ点滴静注(一般名:アベルマブ(遺伝子組換え))、全てのジェノタイプのC型肝炎を適応とするアッヴィのマヴィレット配合錠(グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル)がある。同省は1か月程度で承認する見込み

【審議品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)

シダキュアスギ花粉舌下錠2000JAU、同5000JAU(一般名なし、鳥居薬品):「スギ花粉症(減感作療法)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
 
同社には舌下液の製剤があるが、冷蔵保存が必要。今回了承された舌下錠は、1回あたりの投与成分量が多く、室温保存が可能。12歳以上の患者を対象にしていた舌下液の製剤と比べ、より低年齢での投与も可能。同省担当官によると、対象年齢は添付文書で縛らないという。
 
1日1回1錠。舌下に1分間保持したあと、飲み込む。その後5分間はうがいや飲食を控える。舌下液の製剤と同様に3年程度の継続した投与が必要だとしている。海外承認なし。
 
ベンリスタ点滴静注用120mg、同400mg、同皮下注200mgオートインジェクター、同皮下注200mgシリンジ(ベリムマブ(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン):「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
 
承認されれば、全身性エリテマトーデス(SLE)を適応とする抗体医薬は国内で初めて。SLE患者に過剰発現し、疾患の活動に重要な役割を果たしているとみられる可溶性Bリンパ球刺激因子(BLyS)を標的とする。ステロイドなど標準療法との併用が想定されるという。海外では、点滴静注用製剤は欧米など65か国で承認済。皮下注製剤は米国で承認済。
 
ジーンプラバ点滴静注625mg(ベズロトクスマブ(遺伝子組換え)、MSD):「クロストリジウム・ディフィシル感染症の再発抑制」を効能・効果とする新有効性含有医薬品。再審査期間8年。
 
クロストリジウム・ディフィシルは抗菌薬投与後の下痢症の原因菌として挙げられる主な菌種で、致死的な重症に至る例もある。一度再発すると、その後の再発率は大きく増加するとされ、特に重症な基礎疾患や免疫力が低下している患者で再発しやすく、そのような再発リスクの高い患者が投与対象になると想定される。同剤は、毒素のトキシンBのヒト細胞への結合を阻害することでトキシン活性を中和し、再発を抑制するとされる。海外では、欧米など32か国で承認済(2017年5月時点)。
 
マヴィレット配合錠(グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル):「C型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分医薬品、新医療用配合剤。再審査期間8年。
 
全てのジェノタイプを対象とする。グレカプレビルはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、ピブレンタスビルはNS5A阻害薬で、C型肝炎ウイルスの複製を阻害し、ウイルスの増殖を抑えるという。1回3錠を1日1回、食後に投与。投与期間は、ジェノタイプ1と2のC型慢性肝炎は8週間。ジェノタイプ1と2のC型代償性肝硬変、ジェノタイプ1と2以外のC型慢性肝炎、C型代償性肝硬変は12週間。優先審査された。海外では欧米で承認済。
 
エイフスチラ静注用250、同500、同1000、同1500、同2000、同2500、同3000(ロノクトコグアルファ(遺伝子組換え)、CSLベーリング):「血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外では欧米で承認済。
 
ダラザレックス点滴静注100mg、同400mg(ダラツムマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
同剤は、骨髄腫の細胞表面に過剰発現しているシグナル伝達分子CD38に結合し、腫瘍細胞死に導くことに加え、患者の免疫機能の活性化により腫瘍細胞を攻撃する新たな作用を持つとされる。レナリドミド及びデキサメタゾとの3剤併用、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンと3剤併用する。海外では欧米など45の国、地域で承認済(2017年5月時点)。
 
バベンチオ点滴静注200mg(アベルマブ(遺伝子組換え)、メルクセローノ):「根治切除不能なメルケル細胞がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
抗PD-L1抗体。メルケル細胞がんは、悪性度の高い皮膚がんの一種で、国内患者数は75人と推定される希少がん。ファイザーと共同開発したもので、承認されれば、同がんを適応とする治療薬は国内初となる。最適使用推進ガイドラインの対象医薬品。海外では米国のみで承認済(2017年5月時点)。
 
アラグリオ顆粒剤分包1.5g(アミノレブリン酸塩酸塩、SBIファーマ):「筋層非浸潤性膀胱がんの経尿道的膀胱腫瘍切除時における腫瘍組織の可視化」を効能・効果とする新効能・新用量・剤形追加医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
手術開始前に経口投与し、腫瘍組織と正常組織と色で識別し、腫瘍のみを切除できるようにするもの。中外製薬が3月、同剤の国内独占販売権を取得したと発表した。当該適応での海外承認はない。
 
なお、SBIファーマは2013年に、悪性神経膠腫の腫瘍摘出術において腫瘍組織を可視化する体内診断薬としてアラグリオ内用剤1.5gの承認を取得、薬価収載している。
 
抗PD-1抗体オプジーボに胃がんの適応追加 3次治療に
 
【報告品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
報告品目は、PMDAの審査段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断されたもの。1か月程度で承認される見込み。
 
リツキシマブBS点滴静注100mg「KHK」、同500mg「KHK」(リツキシマブ(遺伝子組み換え)[リツキシマブ後続1]、サンド):「CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、免疫抑制下のCD20陽性のB細胞リンパ増殖性疾患、ヴェゲナ肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎」を効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし。
 
承認されれば、リツキサンのバイオ後続品は国内では初めてとなる。協和発酵キリンが販売、マーケティング活動を行うことになっている。海外では欧州で承認済。
 
ジカディアカプセル150mg(セリチニブ、ノバルティスファーマ):「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新効能医薬品。「クリゾチニブに抵抗性又は不耐容」でない患者にも使えるようにするもの。再審査期間は残余(2026年3月27日まで)。海外では、当該適応で欧米で承認済(2017年6月時点)。
 
オプジーボ点滴静注20mg、同100mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「がん化学療法後に増悪した治療切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果に追加する新効能医薬品。再審査期間は残余(2021年10月16日まで)。
 
抗PD-1抗体。2つ以上の化学療法歴を有する患者を対象にする3次治療の用いる薬剤として添付文書にも明記する予定という。優先審査された。最適使用推進ガイドラインの対象品目。海外では当該適応の承認はない(2017年5月時点)。
 
2製品の適応追加、公知申請を了承
 
部会では、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で追加適応症について公知申請が妥当と判断された2製品の公知申請を了承した。
 
FDGスキャン注(一般名:フルデオキシグルコース(18F)、日本メジフィジックス):予定適応「大型血管炎の診断における炎症部位の可視化」
 
ベルケイド注射用3mg(一般名:ボルテゾミブ、ヤンセンファーマ):予定適応「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」
 
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