薬食審・第二部会 新薬5製品の承認了承 オプジーボに固定用量

公開日時 2018/08/06 03:51
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厚労省の薬食審医薬品第二部会は8月3日、新薬5製品の承認の可否を審議し、全て承認することを了承した。この中には日本イーライリリーの乳がん治療薬で2番手のCDK4/6阻害薬となるベージニオ錠(一般名:アベマシクリブ)のほか、免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ(ニボルマブ)の240mg固定用量の追加や、オプジーボと別の免疫チェックポイント阻害薬ヤーボイ(イピリムマブ)との腎細胞がんに対する併用療法が含まれる。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
ベージニオ錠50mg、同錠100mg、同錠150mg(アベマシクリブ、日本イーライリリー):「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害薬。CDK4/6は細胞周期の調節に主要な役割を果たしており、細胞増殖を引き起こすが、同剤はCDK4/6を選択的に阻害して細胞周期の進行を停止させ、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。正式承認されれば、ファイザーの乳がん治療薬イブランスカプセルに続く、2剤目のCDK4/6阻害薬となる。

ベージニオ錠、イブランスカプセルとも内分泌療法剤と併用して用いるが、ベージニオ錠は通常、1回150mgを1日2回経口投与で用いる。イブランスカプセルは通常、1日1回125mgを3週連続投与して1週間休薬することを1サイクルとして用いる。

海外で2018年4月現在、ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2陰性の乳がんに関する効能・効果で米国で承認済。

オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、同点滴静注240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫及び悪性黒色腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品・剤形追加に係る医薬品。いずれも希少疾病用医薬品。再審査期間は悪性胸膜中皮腫が10年、悪性黒色腫が残余期間(2024年7月3日)。

抗PD-1抗体。PD-1の細胞外領域に結合し、PD-1とPD-L1との結合を阻害することで、がん抗原特異的なT細胞の活性化とがん細胞に対する細胞傷害活性を増強し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

悪性胸膜中皮腫は新効能となる。悪性黒色腫はこれまでの「根治切除不能な悪性黒色腫」から「根治切除不能な」を削除し、悪性黒色腫の術後補助療法にも使えるようにする。

同剤は現在、体重あたりで投与用量を決めている。今回、240mg製剤を追加し、▽悪性黒色腫(術後補助療法含む)▽切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▽根治切除不能又は転移性の腎細胞がん▽再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫▽再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん▽がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発胃がん▽がん化学療法後に増悪した切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫――といった既承認もしくはこの日の部会で承認が了承された効能について、固定用量で使えるようにする。

なお、悪性黒色腫術後補助療法と悪性胸膜中皮腫以外の効能に関する用法・用量追加は報告品目扱いとする。これらに伴って最適使用推進ガイドラインを改訂する。

海外で2018年4月現在、悪性胸膜中皮腫に対するオプジーボ単独投与が承認されている国・地域はない。悪性黒色腫の術後補助療法におけるオプジーボ単独投与は2か国で承認済。オプジーボ固定用量の用法・用量は、米欧で承認済。

ヤーボイ点滴静注240mg(イピリムマブ(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ):「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は5年10か月。優先審査品目。

抗CTLA-4抗体。T細胞に発現している負(T細胞の活性化を抑制的に調節)の補助刺激受容体であるCTLA-4と、抗原提示細胞に発現しているCD80及びCD86分子との結合を阻害し、腫瘍に対するT細胞の免疫反応を亢進させることなどにより腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

ヤーボイとは作用機序の異なる免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボと併用して、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに使えるようにする。

海外で2018年4月現在、腎細胞がんに対するヤーボイとオプジーボの併用療法は米国で承認済。

ビーリンサイト点滴静注用35μg(ブリナツモマブ(遺伝子組換え)、アステラス・アムジェン・バイオファーマ):「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。

T細胞誘導(BiTE)抗体製剤。BiTE抗体は、生体に備わっている免疫システムががん細胞を察知して標的とするのを助けることによって抗がん作用を発揮する。この抗体は、T細胞とがん細胞が架橋するように設計された修飾抗体であり、T細胞を標的細胞の近くに誘導し、T細胞を介した殺作用によりがん細胞をアポトーシスに導くとされる。

臨床上の位置づけは、再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病に対する治療選択肢のひとつとなる。海外で2018年4月現在、この適応で米欧を含む56か国で承認済。

オデフシィ配合錠(リルピビリン塩酸塩/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩、ヤンセンファーマ):「HIV-1感染症」を効能・効果とする新有効成分含有・新医療用配合剤。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余期間(2026年6月16日)。希少疾病用医薬品。

3成分配合錠で、1日1回1錠で内服できるよう設計した。いずれも既承認の成分。リルピビリンは非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)で、HIV-1感染症治療薬として広く使われている。エムトリシタビンとテノホビルアラフェナミドはともに核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)で、2成分の併用はHIV-1 感染症の治療に広く使用されている。なお、テノホビルアラフェナミドは他のメーカーの承認品目で、ヤンセンが今回、新たに開発したことから、申請区分に新有効成分含有医薬品も含まれる。

臨床上の位置づけは、キードラッグ及びバックボーンを含む抗HIV薬であり、他のHIV薬の併用を必要としない。抗HIV治療ガイドライン(18年3月版)で推奨されている他のHIV治療薬と同様、治療選択肢のひとつとなる。

海外で2016年3月現在、欧米を含む35以上の国・地域で承認済。

■AZのタグリッソ、非小細胞肺がんの1次治療可能に

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

タグリッソ錠40mg、同錠80mg(オシメルチニブメシル酸塩、アストラゼネカ):非小細胞肺がんにおいて1次治療を可能にする新効能医薬品。優先審査。再審査期間は残余(2024年3月27日まで)。

現行は、EGFR阻害薬に抵抗性のある患者に対し使用する薬剤だったが、効能・効果からその部分を削除し「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」に改める。

トルツ皮下注80mgシリンジ、同皮下注80mgオートインジェクター(イキセキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症において、効果不十分な場合の用法・用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余(2024年7月3日まで)。

現行の用法・用量で12週以降は4週間隔投与としているところを、効果不十分な場合は2週間隔投与も可能にする。

トラスツズマブBS点滴静注用60mg「第一三共」、同点滴静注用150mg「第一三共」(トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]、第一三共):「HER2過剰発現が確認された乳がん」「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし。

先行品はハーセプチン(中外製薬)。乳がんの用法・用量において、先行品にある2回目以降3週間間隔とする「B法」はなく、1週間間隔の「A法」だけ。ハーセプチンのバイオ後続品は3月に承認された日本化薬の製品に続くものになるが、日本化薬の製品は胃がん適応のみ。

ポテリジオ点滴静注20mg(モガムリズマブ(遺伝子組換え)、協和発酵キリン):現在の効能・効果である「CCR4陽性の皮膚T細胞性リンパ腫」からCCR4陽性の制限を外す、新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2024年3月16日まで)。

バリキサ錠450mg、同ドライシロップ5000mg(バルガンシクロビル塩酸塩、田辺三菱製薬):「臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」に小児の用法・用量とドライシロップ剤を追加する新用量・剤形追加医薬品。再審査期間なし。ドライシロップ剤は、既承認の錠剤と同様に、「サイトメガロウイルス感染症」の初期治療、維持治療、「臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」の成人の用法・用量も含む。

この適応追加は、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当と判断され、2月の医薬品第二部会で公知申請することが了承されていたもの。了承時点で保険適用されている。

■MSDのMRSA治療薬キュビシン 再審査期間を2年間延長 小児適応追加の試験実施で

この日の部会では、MSDのMRSA治療薬キュビシン静注用350mgについて、小児の用法・用量を新たに設定するための試験を行うことになったため、再審査期間(8年)を2年延長し、2021年6月30までとすることが報告された。同省は小児適応の開発促進のため、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合、再審査期間を10年を超えない範囲で延長できるとの運用をしている。

■抗がん剤テモダール 再発・難治性ユーイング肉腫の適応追加、公知申請を了承

部会では、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当と判断されたMSDの抗がん剤テモダールカプセル、同点滴静注用への「再発・難治性ユーイング肉腫」の適応追加について公知申請することを了承した。この時点で同適応に対し保険適用となった。

テモダールは現在、脳腫瘍の一種の悪性神経膠腫の治療薬。ユーイング肉腫は小児の骨腫瘍では最も多い骨肉腫に次いで多いといわれる。厚労省の検討委によると、「再発・難治性の治療として標準的なレジメンは確立していない。国内外の臨床試験成績や国際的な教科書及び診療ガイドラインへの記載から、再発・難治性のユーイング肉腫に対して本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用したときの有効性は示されている」と判断した。

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