厚科審制度部会 全ての薬剤師・薬局を「かかりつけ薬剤師・薬局」に位置付け 薬機法改正

公開日時 2018/12/17 03:51
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厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は12月14日、焦点となった薬剤師・薬局について、「調剤時のみならず、薬剤の服用期間を通じて、必要な服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行う義務があることを明確化すべき」と結論付けた。次期通常国会への提出を見込む改正医薬品医療機器等法(薬機法)に明記する。少子高齢化が到来し、地域包括ケアシステムの構築が求められるなかで、最低限の“かかりつけ”機能有することをすべての薬局に義務付け、すべての薬局をかかりつけ薬局・薬剤師へと変革させる狙いが込められている。

地域包括ケアシステムが進展するなかで、かかりつけ薬剤師の担う役割は変革のときを迎えている。“処方箋枚数”の増加に伴って成長を続けてきた保険薬局が、いわゆる調剤バッシングを受けるなかで、薬剤師の担うべき職能を明確にし、今後の方向性を明確に位置付けるのが今回の薬機法改正だ。高齢化が進展する地域のなかで、重複投薬や相互作用を確認し、医薬品適正使用を推進する観点からも薬剤師・薬局の担うべき役割は大きくなっている。特に、在宅医療などで、「医療・介護・保健・福祉」に携わる薬局への期待は大きい。一方で、患者にとってメリットを実感できないなどの批判が制度部会の場でも、露わとなっていた。

厚労省は、薬剤師・薬局がOTCや健康食品を含め、医薬品の一元的な把握をし、かかりつけ医、かかりつけ歯科医などと連携し、地域住民に貢献する絵を描いた。政府の諮問会議が策定した新改革工程表でも、かかりつけ機能を担う薬局を2022年度までに60%とする政府目標を盛り込んでおり、19年度に見込まれる薬機法改正、20年度の調剤報酬改定など、すべての政策がかかりつけ薬剤師の普及にアクセルを踏み込んだものとなる。

◎服薬状況や指導内容の記録も義務付け


継続的な薬学的管理・指導を効果的に実施できるよう、服薬状況や指導内容を記録することも義務付けた。“記録”することに焦点を置くため、運用段階では調剤録だけでなく、薬歴への記載も検討することとなりそうだ。また、かかりつけ医などとの連携も必要になるなかで、服薬状況などの情報を適切な頻度で提供するよう、努力義務も盛り込んだほか、薬剤師が自己研鑽に努め、専門性を高める重要性も指摘した。

◎特定機能を薬機法上に位置付け 地域住民に機能を明示

そのうえで、現行の「薬局開設許可」に加えて、特定の機能をもつ保険薬局を薬機法上明確にし、名称の表示を可能にする。イメージは、高度医療の提供や技術開発、研修を実施する能力を兼ね備えた病院として医療法上に位置付けられる“特定機能病院”の薬局版。これまで薬局はひとつのカテゴリーしかなく、地域住民や患者にとって、薬局の機能を認識することが難しかった。地域住民に広く薬局機能を知らせるとともに、地域の医療計画などにも活用してもらうことで、薬局の機能分化・強化を促す考え。

具体的には、▽在宅医療への対応や、入退院時などで他の医療機関、薬局などとの服薬情報の一元的・継続的な情報連携で役割を担う薬局、▽がんなど、医療機関と連携し、より丁寧な薬学管理や高い専門性を求められる特殊な調剤に対応できる薬局―をあげた。

◎遠隔服薬指導を全国へ 適切なルール設置も

規制改革が求められてきた、遠隔服薬指導については、これまで特区に限って運用されてきたが、全国へと解禁することも明確になった。一方で、「対面服薬指導業務の例外」に位置付けた。具体的な内容は、かかりつけ薬剤師に限定することや、品質確保などを視野に、適切なルールを設定する。現行の薬機法では、薬局や患者宅でしか調剤や服薬指導を行えないが、オンライン診療との整合性も図り、職場などを含めることも明記された(関連記事)。

このほか、対人業務を充実させる一方、対物業務の効率化を進める観点から、調剤機器や情報技術の活用などを含めた業務効率化、医療用麻薬の薬局間譲渡を一定条件の下で、事前に譲渡できるよう合理化することなども盛り込まれた。

◎調剤報酬・診療報酬で薬剤師「適切に評価を」


厚労省はこの日の制度部会に、「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を支援するための医薬分業の今後の在り方について」と題した医薬分業のとりまとめ案も提示し、了承された。現行の医薬分業について、政策誘導による“形式的”な分業と指摘。「多くの薬剤師・薬局において本来の機能を果たせておらず、医薬分業のメリットを患者も他の職種も実感できていない」などの指摘を明記した。

厚労省は、2014年度にかかりつけ薬剤師をビジョンで示し、同年度に調剤報酬でかかりつけ薬剤師指導料が新設。これ以降、一貫した施策を敷いてきた。取りまとめのなかでも、「患者のための薬局ビジョンに掲げた医薬分業のあるべき姿に向けて、診療報酬・調剤報酬において医療機関の薬剤師や薬局薬剤師を適切に評価することが期待される」と踏み込んだ。

◎日薬・乾委員「全ての薬剤師はしっかり業務」 会場は冷ややか

これに対し、乾英夫委員(日本薬剤師会副会長)は、「今回の議論の取りまとめ(報告書)は法改正につなげるためで、調剤報酬改定のためではない」などと反発。さらに、医薬分業で果たしてきたメリットを記載するよう求めた。

これに対し、山口育子委員(認定 NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長)は、「薬剤師がこれまで当たり前のこと、本来の役割を果たせていないことが問題になっている」と反論するなど、多くの委員が反論。薬剤師としての職能を果たしている薬局とそうでない薬局の“二極化論”に話が及んだ。山口委員は、「二極化している中で、一生懸命やっているや薬局は少ない。問題となっている薬局は自覚していないことが多く、認識してもらうことが必要だ」と述べた。

乾委員は、「見えているか、見えていないかで、全ての薬剤師はしっかり業務をやっている」と述べた。会場に冷ややかな空気が流れるなかで、中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「これだけ議論を重ねてきたのに、本当にそうだと思っているのか。皆は実体験を踏まえて発言している」と指摘。これに対し、乾委員は、「私の思いが強く出てしまったのかもしれないが、できていない薬局があるのであれば、それについてはしっかりと変えていかなければいけない」と述べ、議論は収束した。

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