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三重大病院汚職事件で元教授に有罪判決 懲役2年6月、執行猶予4年 無罪主張認めず 津地裁

公開日時 2023/01/19 14:55
三重大学医学部附属病院への医薬品や医療機器の納入に便宜を図る見返りに、現金を受け取ったなどとして、第三者供賄と詐欺の罪に問われた同病院臨床麻酔部元教授・亀井政孝被告の判決公判が1月19日、津地裁であり、柴田誠裁判長は懲役2年6月、執行猶予4年(求刑:懲役4年)を言い渡した。

◎寄附金獲得のため「なりふり構わず処方量の増大に突き進んだ。異常というほかない」柴田裁判長

柴田裁判長は判決理由で、「寄附金を獲得するためになりふり構わず処方量の増大に突き進んだことは異常というほかなく、職務の公正さや社会の信頼を害した程度は大きいと言わざるを得ない」と指摘。無理な処方増大が「使用されずに廃棄される医薬品が大量に生じる歪みを発生させ、診療報酬の搾取につながった」と非難した。

同事件では、三重大病院臨床麻酔部元教授の亀井政孝被告が、医薬品や医療機器の納入に便宜を図る見返りに、小野薬品と日本光電に現金計400万円を提供させたとして、第三者供賄罪に問われたほか、小野薬品の抗不整脈薬・オノアクトを投与したように装い、診療報酬を詐取したとする詐欺罪でも起訴されていた。

◎争点は“寄附金の対価性”の認定 

亀井被告はこれまでの裁判で、日本光電に200万円を振り込ませたとする第三者供賄罪は認めていたものの、小野薬品を巡る第三者供賄罪は、「オノアクトの効能に着目して積極的に使用していく方針を採用した」などと主張。詐欺罪とともに無罪を主張し、寄附金の対価性が認定されるかどうかが争点となっていた。

◎当時のMRの証言と週報の記載「寄付と処方が密接に関連付けられた」

同日の判決で津地裁は、▽被告人が臨床麻酔部教授に就任して以降、同部におけるオノアクトの処方量が急増したこと、▽小野薬品の当時のMRの証言から、被告人が「寄付金が必要だ頼むよ」、「最初に世話になったところは忘れないよ」などと供述したこと、▽MRが作成した週報に「講演会活動を通じ、三重大で“OAをもっと出すための相談”が行えた。そのもっとを(原文ママ)今後具体化していく段階に今後していこうとなり、(中略)OAが臨床上役立つところを具体化して三重大の症例数を基に積み上げていく、とのやりとりをしていく」などと記載されていた―などと指摘。「200万円の寄附とオノアクトの処方が密接に関連付けられていた」として“寄附の対価性”が存在すると判断した。

亀井被告の主任弁護人は閉廷後、記者団の取材に対し、「弁護人としては不当な判決だ。(控訴については)被告人と相談し、適切に判断する」とコメントした。

三重大付属病院(津市)を巡る一連の汚職事件をめぐっては、これまでに逮捕・起訴された8人のうち、すでに7人の公判が津地裁で開かれ、執行猶予付きの有罪判決が出ていた。
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