厚生労働省は2月10日、インフルエンザ定点当たり報告数（1月30日～2月5日）が全国で12.66になったと発表した。流行の拡大は3年ぶり。ただ、インフルエンザが流行しなかった直近2年間を含む過去10年間で最も遅い流行トレンドとなる。前週より報告数が増加した都道府県は41。報告数でみると、沖縄県（47.18）、福井県（35.46）、大阪府（29.91）、京都府（27.02）、福岡県（24.30）、石川県（22.92）、宮崎県（22.33）、奈良県（19.42）、佐賀県（18.92）、兵庫県（16.96）の順。新型コロナがピークアウトに向かい、病床利用率が緩和される一方、医療現場はインフルエンザの流行トレンドが緩やかに上昇し始めたことで慎重に動向を見守っており、抗インフルエンザウイルス薬の確保、供給などに警戒感も示されている。

国立感染症研究所が2月10日に公表した流行レベルマップによると、定点医療機関の報告をもとに定点以外を含む全国の医療機関を受診した患者数を推計すると約35.9万人（95%信頼区間：32.8～38.9万人）で、前週の推計値（約30.1万人）よりも増加した。年齢別では、0～4歳が約5.6万人、5～9歳が約12.4万人、10～14歳が約7.4万人、15～19歳が約2.2万人、20代が約1.6万人、30代が約2.8万人、40代が約2.2万人、50代が約0.8万人、60代が約0.5万人、70歳以上が約0.4万人となっている。これまでの累積の推計受診者数は約155.4万人となった。

◎警報レベルを超えた保健所地域は50か所　注意報レベルを超えた保健所地域は190か所

全国の保健所地域で、警報レベルを超えた保健所地域は50か所、注意報レベルを超えた保健所地域は190か所あった。

◎通常流通用抗インフルエンザウイルス薬の供給状況

インフルエンザ薬の供給・確保に医療現場の関心が高まっている。厚労省は「通常流通用抗インフルエンザウイルス薬の供給状況（12月分）」について1月16日付で都道府県に通知した。通知によると、卸売業者から医療機関への供給量（12月５日～１月１日）は、タミフル約16.9万人分（カプセル約11.6万人、ドライシロップ約5.1万人分）、リレンザ約1.9万人分、ラピアクタ約0.9万人分、イナビル約11.4万人分（吸入粉末剤 約11.3万人分、吸入懸濁用約0.1万人分）、ゾフルーザ 約11.1万人分、オセルタミビル約12.6万人分（カプセル約8.9万人分、ドライシロップ約3.7万人分）。

◎メーカー・卸売業者の保有量（１月１日時点）

メーカー・卸売業者の保有量（１月１日時点）は、タミフル約433万人分（カプセル約235万人分、ドライシロップ約198万人分）、リレンザ約236万人分、ラピアクタ約12万人分、ゾフルーザ約114万人分、イナビル約1235万人分（吸入粉末剤約1218万人分、吸入懸濁用約17万人分）、オセルタミビル約116万人分（カプセル約80万人分、ドライシロップ 約37万人分）。

◎行政備蓄用抗インフルエンザウイルス薬　22年12月末までに約3864万人分確保

行政備蓄用抗インフルエンザウイルス薬については、2022年12月末までに約3864万人分を確保した。内訳は、タミフル（カプセル）・ 国備蓄約355万人分、県備蓄約827万人分の計約1182万人分。タミフルドライシロップ・国備蓄約228万人分、県備蓄約299万人分の計約527万人分。リレンザ・国備蓄約230万人分、県備蓄約462万人分の計約692万人分。イナビル・国備蓄約732万人分、県備蓄約424万人分の計約1156万人分。ラピアクタ・国備蓄約88万人分、県備蓄約101万人分の計約189万人分。オセルタミビル（タミフル原液）・国備蓄約118万人分の計約118万人分。

なお、厚労省は「抗インフルエンザウイルス薬等の安定供給」について昨年12月15日付で都道府県に対し、「医療機関等は注文をする際には、備蓄目的での注文は控え、インフルエンザ流行状況や前年度使用実績等を踏まえた注文量となるよう配慮すること」と通知している。また、卸売販売業者が注文を受ける際の留意点として、「流行時に追加注文を受ける際には、前回注文により納入された医療機関等在庫を確認した上で、インフルエンザの流行状況を踏まえた患者数等の動向等を勘案した必要量の供給を随時行い、抗インフルエンザウイルス薬等の偏在が起こらないよう配慮する」とした。さらに、「前年に実績のない医療機関等からの新規注文については、全体の注文量の状況を踏まえて調整する必要があるものの、新規開業の医療機関等が不利とならないよう最大限配慮する」とも指摘している。