ノバルティスは12月15日、完全子会社化を目指していた眼科領域のアルコン社の発行済み株式の23％に当たる未保有株式分について１株あたり168ドル相当で取得することでにアルコン社と同意したことを発表した。

◎買収額はファイザーによるワイス買収に次ぐ規模

ノバルティスのアルコン社買収総額は約520億ドルとなり、近年のメガファーマの買収としては昨年のメルクによるシェリング・プラウ買収の約411億ドルを超え、ファイザーによるワイス買収額の約680億ドルに次ぐ規模となる。
ノバルティスとしては特許切れが間近に迫るブロックバスターのアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬・ディオバンを売上減を補てんする一環として、手堅い眼科領域でシェアの高いアルコン社のアイケア事業を先進国のみならず新興国でも強化していく構え。

ノバルティスは08年、アルコン社の発行済株式77％を保有していたネスレAGから発行済株式25％分を110億ドルで買収。この際にネスレ社の残る保有分を10年１月から2011年7月までの間に283億ドルで買収するオプション契約を締結しており、10年１月早々にオプション行使とアルコン社の完全子会社化を宣言。８月にはオプションに基づく買収を完了していた。

しかし、オプション行使宣言直後にノバルティスが提示したアルコン株式１株当たりノバルティス株2.8株を割り当てるとしていた残る23％の株主への買収提案について、当時のノバルティスの株価から算出した価値がネスレからの取得金額から算出した1株当たり平均168ドルを下回るとして、アルコンの独立取締役委員会がこれと同等にするよう求めていた。

今回の発行済株式の23％分の買収については、ノバルティスが当初提案したアルコン株式１株当たりノバルティス株2.8株の割り当てを基本としながら、市場株価の動向が金額ベースで1株当たり168ドルを下回る場合はその差額を現金支給し、逆に市場価格が168ドルを上回る場合は、株式割り当て割合を調整することで決着した。