厚労省・大西経済課長 GE推進で産業も医療者も行動変容「市場、仕事の仕方も大きく変わる」 日薬連・説明会で
公開日時 2015/10/28 03:52
厚生労働省医政局経済課の大西友弘経済課長は10月27日、後発医薬品80%目標が示される中で、「医薬品産業、例えば新薬メーカー、ジェネリックメーカー、医薬品卸、さらに医師も医療者も患者も行動変容する」との認識を示した。その上で、「速やかに行われることで、(超高齢化社会が到来する)2025年問題の頃には、いまとはだいぶ違う医薬品市場になる。それに伴って皆さんの仕事の仕方にも大きく変化があるかもしれない」と強調した。東京都内で日本製薬団体連合会(日薬連)主催の「GEロードマップ推進のための課題と対応に関する説明会」で挨拶する中で自身の見解を示した。
大西課長は、数のパワーで日本を牽引してきた団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、現在の社会情勢は、医薬品産業にとどまらず、全産業全業種が“変革期”にあるとの認識を示した。その上で、日本が約60年間堅持してきた国民皆保険も「人口構造の大きな変化、経済、財政の問題など、国民皆保険を堅持する上で、脅威となりうる要素がある。国民皆保険をどう守っていくのか、というのは大きな文脈の中で重要。その中にジェネリックがある」との考えを表明。医療保険財政や医療費抑制の観点だけではないと強調した。
厚労省が9月4日に公表した医薬品産業強化総合戦略について、後発医薬品の浸透は「新薬開発を新薬メーカーに促していくということにもなる」と指摘。「疾病構造がライフスタイルの変化に伴い、変わっていく中で大きな課題になってくる。新薬の開発についても色々取り組んでいかなければならない」と述べ、“行動変容”を求めた。
◎情報提供体制構築に課題も
この日の説明会では、厚労省医政局経済課の増川直樹後発医薬品使用促進専門官が2014年度ロードマップ検討事業報告書の内容を紹介した。後発医薬品の使用促進に際しては、安定供給、品質に対する信頼性の確保、情報提供が重視されている。特に、医療機関・保険薬局が後発医薬品メーカーに望むこととして、トップにあたるのが「供給停止をしないこと」となっている。安定供給については、2014年度に品切れが発生したのが18社、46品目だったが、このうち87.0%に当たる40品目が情報提供を行うなど迅速な対応をしていた。
医療機関・保険薬局が入手した情報としては、「生物学的同等性試験、溶出試験データ」、「安定性試験データ」と並び、「副作用データ」も高率となっている。日本ジェネリック製薬協会(JGA)がジェネリック医薬品情報提供システムを構築するなど、情報提供体制の整備も進められているところだ。日薬連GEロードマップ対応プロジェクトの北村光司リーダー(共和薬品)は、課題として会員会社以外の「加入が少なく、情報の一元化が達成されていない」と指摘。会員以外の会社からは、別組織からの情報提供ができないとの声があることや、品切れ情報の提供に同意しないとシステムを活用できないなどの課題があると指摘した。また、厚労省は品切れ発生時の対応や回収実績など、「安定供給体制等を指標とした製造販売業社に関する情報提供項目」をまとめているが、項目を知らない企業も27社(回答188社中、14.4%)あることも紹介された。