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厚労省・城課長 バイオシミラー推進策は技術力向上が目的 骨太方針の焦点に

公開日時 2017/05/22 03:51

厚生労働省保険局総務課の城克文課長は5月20日、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会(沖縄県名護市)で講演し、バイオシミラー推進策は医療費抑制効果ではなく、医薬品産業としての技術力向上を目的としていることを明らかにした。医療費抑制効果を目的とする後発医薬品の推進策とは切り分けることが必要との考えを示した。バイオシミラー推進策については、今年6月にも策定される骨太方針の一つの焦点となっている。

昨年12月に4大臣で合意された「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」では、「我が国の製薬産業について、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換するため、革新的バイオ医薬品及びバイオシミラーの研究開発支援方策等の拡充を検討する」ことが盛り込まれている。

城課長は、「バイオシミラーは安いという価値を求めているかどうかはわからない。バイオ医薬品の産業として創薬をしていくために、シミラーから入って技術力をつけてくれと言っているように見える」と述べた。今後日本市場が再生医療や核酸医薬に参入することを見据え、その入り口としてバイオシミラーを活用してもらうことで、医薬品産業全体の底上げも期待されるところだ。

バイオシミラーの推進策が重視される中で、「診療報酬改定の財源を探している。この夏にどうするかはわからないが、バイオの先行品とシミラー、価格差がつかないと使用推進が進まないということだと下げようという話になる」と指摘。後発医薬品と異なる価値が重要との考えを示した。また、バイオシミラーでの代替についての議論があることについて触れ、「早く結論をつけてほしい。行政が決めることではない」と述べ、医療現場からのエビデンスの創出を求めた。


◎後発医薬品 80%目標後の過飽和時代「対策をシビアに考えてほしい」


一方で、後発医薬品については、医療財源効果が期待され、医療保険を含めた様々な使用促進策を背景に使用促進が進んできた。ただ、薬価制度抜本改革に向けた基本方針では、後発医薬品の”競争支援”ではなく、”競争促進”が盛り込まれた。城課長は、後発医薬品の市場浸透が進む中で、18年度診療報酬改定に向けた議論の俎上に、初収載のさらなる価格引下げや、後発医薬品調剤体制加算の見直しなどががあがる可能性に言及。後発医薬品が産業として成長するために、どこに付加価値を見出すかが重要だと指摘した。


城課長は、「ジェネリック企業への老婆心」と断った上で、後発医薬品80%目標達成後の“過飽和”の時代を見据え、「投資をいかに回収し、対策をとるかは、かなりシビアに考えてほしい」と述べた。投資回収に向けて海外展開なども視野に入れる企業もあるが、「当面はいいと思うが、その先どうなるか。個社によって、弱点、強み、弱み、規模が違う。どう対応するかを考えてほしい」との考えを表明。合併や企業数の減少などを施策で誘導するのではなく、「現場のニーズに対応してどういう事業展開をしていくのか」と述べ、企業の立ち位置を知った上で、80%後の姿を見据えた経営戦略を立案することを求めた。


また、「安定供給や品質の確保は、医薬品供給の主体としては当たり前の話だ。これをまだ頑張らないといけないのはいい加減どうか」と疑問を投げかけた。安定供給が難しい場合には収載しないルールがあることも紹介し、「もっと徹底することになるかもしれない」との見方も示した。

 

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