【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

協和発酵キリン株式会社 営業本部 千葉埼玉支店 千葉第1営業所 石丸 健太郎 氏

公開日時 2018/05/31 00:00

価値をカタチに変えるストーリーが大切

地域貢献と経済的価値の両立念頭に

 

協和発酵キリンの石丸健太郎さん(39歳)は、大学、基幹病院に加え、中小医療機関も担当し、変わりゆく地域医療の中で、地域医療への貢献と経済的価値をいかに両立させた活動にするかに取り組む日々を送る。2011年当時、担当していた福島県いわき市で東日本大震災を体験。奮闘する医療従事者の姿を見たことがMRとしての姿勢を再考するきっかけとなり、いまの活動の基本となった。社会貢献、地域医療貢献と唱えるだけでなく、価値をカタチにして創出するためのストーリーが大切だと強調する。(インタビュアー 酒田 浩)

 

東日本大震災、奮闘する医療者
医療者の一員としてのMR像模索

 

――コンテストに出場した経緯は。

 

石丸氏 大学病院の薬剤部の先生から勧められたのが、最初のきっかけだった。当時の所長、チームリーダーとも相談した。小論文やプレゼン動画と提出課題は大変だとは思ったが、日常業務とは別に、将来を見据えたMRのあり方を考える機会は大切だと考え、その自分の意見がどこまで通用するのかという気持ちも芽生えた。他の出場者の考えを学んでみたいということもあった。

 

 

――決選出場者の8人のうちの1人になった。

 

石丸氏 プレゼンはトップバッターだったし、とても緊張した。普段と違い一定のストーリーではなく、自分の考えを、限られた時間で伝えることがいかに難しいことか。分かったことは、普段の活動と考え方がそのまま出るということ。日ごろの活動が大事だと痛感した。出場者、そして審査員の医療従事者の方、患者さんとの交流は、医療への真剣さに改めて触れる機会となり、刺激を受け、今後のモチベーションになった。

 

 

――コンテストでの薬剤師との面談のロールプレイの課題は、妊婦の患者さんへの処方について。なかなか判断に迷う内容だった。

 

石丸氏 実は、その2週間前に、同じような質問をいただいたことがあった。血小板が減少する疾患を抱えた患者さんで、血小板を増やす薬剤の処方が必要になった。しかし、妊婦への使用経験が少なく、リスクが高い。会社からも全面的なバックアップを受け、症例報告や文献を情報として提供した。実際のケースでは、結果的に医師の判断で薬剤を処方し、出血傾向を抑えつつ、無事出産されたと聞き、とても嬉しい経験となった。

 

 

――コンテストのプレゼンでは、地域で「顔の見える関係づくり」を支援することが大事だと主張された。体験に基づく主張か。

 

石丸氏 東日本大震災での体験が背景にある。当時、福島県いわき市で透析施設をメインで担当していた。大きな激しい揺れの後、これは異常事態だ、なんとかしないと、と思い、自転車で周辺施設を周ると、透析施設では水漏れがひどく、モップで水を吸い出したりしていた。幸いにして院内で患者さんが被害に遭われることはなかったが、医療従事者の方々は、家族にも連絡が取れない中で、患者さんの治療に専念されていた。

 

その患者さんを絶対に救うという姿勢に触れ、私は、この一員になるにはMRとしてどうしたらよいのか、MRに何ができるのかという思いに駆られた。他方、日ごろの活動では、腎臓内科の先生と面会している際、よく開業医の先生から、透析が必要な患者さんについて相談する電話がかかってくる場面を目にしていた。

 

ここで、患者さんのために地域の医療をより良いものにするには、医療従事者同士の顔が見える関係づくりが必要で、そこはMRが支援できるのではないかと考えた。地域や制度の中で、利害や人間関係は複雑で、この間をつなぐ仕事は人間でなければできないと。コンテストのテーマが「人工知能(AI)に立ち向かえ! MR減少時代に生き残れるか」だったので、AIには難しく、人間であるMRならでは取り組みとして「顔の見える関係づくり」を支援する必要性を主張した。

 

それは今も変わらない。顔の見える関係があってこそ、地域の医療はより良い方向に動くと実感している。

 

 

――現在の担当エリアでも生かせているか。

 

石丸氏 大学病院、基幹病院だけでなく、中小医療機関も含めエリアを担当しているのは、会社としても今後の地域医療連携の重要性を見据え、そこに貢献できる活動が必要と考えてのことだ。2018年度診療報酬改定への対応は、医療側にとって大きな課題でもある。その課題をいかに捉え、提案していくのかは、当然、私にも求められる。

 

 

――地域医療貢献とはいえ、自社の利益との間に思い悩むMRは少なくない。

 

石丸氏 地域医療貢献だけでなく、自社製品を通じて自社の利益も両立する提案の難しさは、私も痛感しているところ。キリングループでは「新・キリン・グループ・ビジョン2021」で「CSV」(Creating Shared Valueの略)を経営の根幹に位置付けており、社会課題への取り組みによる「社会的価値の創造」と「経済的価値の創造」の両立により、企業価値向上を実現することを掲げている。これをいかに活動に落とし込むかである。弊社にとっては、患者さんの利益が第一であることが前提になる。

 

医療費の高騰が社会課題となっている中では、製薬企業のMRに求められることも変化していると考えている。先ほど挙げた、診療報酬改定でも対応が迫られている。

 

診療報酬改定は、現場が抱える課題に対する道しるべだと見ている。そこに提示されている方向に医療を持っていかないと、課題の解決にならない。しかし、改定に対応した医療を行うためには医療現場には様々な課題が発生する。マンパワーが足りない、必要なノウハウ・ツールがない、患者さんの負担が増えるかもしれないといったことだが、医療機関、医療従事者の先生方は、なんとかして患者さんに良い医療を提供したいと頑張っていらっしゃる。そうした社会的課題に対し、製薬企業として自社製品を通じ、医療機関、医療従事者の先生方にいかにアプローチするか、ということも問われる。

 

 

やりきる力はチームで育む
周りを巻き込むストーリー必要

 

――その点、営業所では「やりきる」が方針だとか。松本営業所長は、石丸さんに対し「関係部署との連携や事前準備をしっかり行っていることは、私も含め他のメンバーが見習うべき点だと感じている」とのこと。

 

石丸氏 やりきるとはいえ、できなかったことの方が多いのが実際だ。しかし、諦めたら、そこで終わり。なぜできなかったのかを、チームで検証して、社会貢献、医療貢献という初心を確認しながら、取り組んでいくしかないと思う。

 

また、会社の先輩からの助言をもとに心がけているのは、「周りを巻き込む」ということです。取り組みの目的、これを行うことで得られることを明確にしなければ、周りは納得しない。グループの「CSV」を念頭に、地域に我々はいかなる価値を提供するのか、その価値をいかにカタチにしていくのか、患者さんに、医療従事者に、我々に何をもたらすのか、そのストーリーを周囲に分かりやすく提示することが大切だと思っている。

 

――2020年。どんなMRになっていたいか。

 

石丸氏 まずは、いま取り組んでいる「やりきる」をカタチに残したい。そのためには、いまの地域医療の環境変化に伴うニーズをいち早くキャッチしなければならない。そのためには課題を捉えるヒアリング能力をより高めなければならない。それを高めるには、知識の習得も怠ることはできない。MRが、どんな社会的価値と経済的価値を創造できるのか、ますます問われるし、私にも問われると感じている。

 

 

石丸さんの上司
協和発酵キリン 千葉第1営業所所長・松本直人氏からのコメント

 

石丸さんとは半年のお付き合いになりますが、高い専門知識を活かし、日々課題に取り組んでいる姿が印象的です。特に、営業所方針である「やりきる」を行動に移すため、関係部署との連携や事前準備をしっかり行っていることは、私も含め他のメンバーが見習うべき点だと感じております。昨今、医療環境の変化は著しいですが、この時だからこそ我々も変化が必要です。当社が掲げる「私たちの志」にある「たった一度の、命と歩く。」――この想いを形に変え、多くのノウハウを駆使して、人々の健康・地域医療に貢献してほしいと期待しています。

 


石丸健太郎さん:2005年4月、キリンビール(医薬カンパニー:当時)入社。福島県郡山市でMRをスタートし、07年~12年まで同県いわき市。主に透析領域を担当した。12年10月~15年4月まで東京都の渋谷営業所に配属、現在に至る。大切にしていることは「仕事を通じ社会貢献すること」。インタビュー前に、入社志望動機を読み返してみたところ「同じことが書いてあった(笑)」。「環境は大きく変わっても、その中でどう貢献するのかを考え続ければいい」と話す。

 

関連ファイル

関連するファイルはありません。

ボタン追加
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(3)

1 2 3 4 5
悪い   良い
プリント用ロゴ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー