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第一三共 中計見直し がん事業強化策を加速 国内MRは2200人堅持 早期退職募集せず

公開日時 2018/11/01 03:51

第一三共は10月31日、国内外の収益環境の悪化を踏まえて第4期中期経営計画を見直し、抗がん剤への研究開発投資を大幅に増強、がん事業の強化策を加速させると発表した。当初計画では売上1兆1000億円(18年度予想9100億円)、営業利益1650億円(同780億円)を2020年度に達成するとしていたが、この達成時期を2年先送りする。18年度~22年度までの5年間の研究開発投資を2000億円積み増して計1兆1000億円を投じ、これまで以上にがん領域に重点投資する。国際戦略品で成長ドライバーとして期待する開発中の新規抗がん剤「DS-8201」の転移性乳がんに対する承認申請を1年前倒しし、19年度に行うことも検討する。国内最多水準のMR体制については、眞鍋淳社長(写真)は同日の会見で、がん領域へのシフトを将来課題に挙げつつ、早期退職者募集は「いまの時点ではない」と明言、現在の2200人体制を堅持する姿勢を示した。

がん領域の売上目標 22年度1500億円

同社は5月、これまでの中計(16年度~20年度)について、疼痛薬ミロガバリンのフェーズ3失敗や制吐剤配合麻薬性鎮痛剤として開発していたCL-108の商業化権返還などで米国疼痛事業の売上目標の1000億円以上が達成困難になり、日本での薬価制度抜本改革による事業環境の悪化から、見直す方針を示していた。眞鍋社長はこの日、「20年度目標の営業利益1650億円の達成は困難と判断した」と表明、18年度から22年度までとする新中計と、新たな計数目標を明らかにした。20年度の売上高目標は当初から1400億円引き下げ9600億円、営業利益はおよそ半減の800億円とし、当初の20年度目標は22年度の達成を目指すことにした。

戦略目標には▽抗凝固薬エドキサバンの成長▽日本No.1カンパニーとしての成長▽米国事業の拡大▽がん事業の立ち上げ・確立▽先進的医薬品の継続的創出▽利益創出力の強化――を掲げ、がん領域の投資を加速・増強することを、将来の売上収益の伸長を中核に据えた。研究開発投資に積み増しする2000億円はがん領域に投入、既存の9000億円も今以上にがん領域に傾斜配分する。「DS-8201」など同社が成長ドライバーと位置付ける抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズに優先投資する方針を示した。

それにより、がん領域の売上収益を、20年度400億円から22年度1500億円にすることを目指す。この中では、抗HER2抗体薬物複合体「DS-8201」(目標適応:乳がん、胃がん、大腸がん、非小細胞肺がんなど)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)、骨病変治療薬ランマーク(製品名)などの寄与を想定する。

25年度には、「DS-8201」を筆頭に、HER3に対するADCの「U3-1402」(目標適応:乳がん、非小細胞肺がん)などにより、売上収益5000億円を見込む。

がん事業への投資拡大のため、がん事業以外への投資は抑制し、経費削減の推進のほか、詳細は今後検討するが、現行フランチャイズを含むノンコア資産の売却を施策に盛り込んだ。

眞鍋社長 国内営業体制は「非常に効率的」 がん領域の販売体制は今後検討

この中で、国内最多水準のMR体制に対する施策が注目されたが眞鍋社長は、同日の会見で「(本体には)約2200名のMRがいるが、現在のポートフォリオ、MR1人当たりの売上を見ても、非常に効率的に営業活動が行われている。そのおかげで国内医療用医薬品売上ナンバーワンをとれている」との認識を示し、現行の2200人体制を堅持する考えを示した。

その上で「(製品ポートフォリオが今後)がんにシフトしていく中では販売体制は変わっていく。MSLを含めたメディカルアフェアーズへの移行はある。現行製品群がいつまで特許があり、がんの製品がいつ頃出てくるのか、そのタイミングを見計らって、MR数(見直し)やMSLの強化をやっていきたい」と述べたが、早期退職者募集については「いまの時点ではない」と明言した。

18年度第2四半期  国内医療用薬5.4%減収 オルメテックの後発品侵食、ネキシウムの特例拡大再算定が影

第一三共は10月31日、2019年3月期第2四半期(4~9月)の決算を発表し、国内医療用薬売上高は2437億円、前年同期より5.4%減となった。抗凝固薬リクシアナは好調に推移しているが、最主力品の抗潰瘍薬ネキシウムの特定拡大再算定適用による16.1%の薬価引き下げや降圧薬オルメテックへの後発品の侵食が大きく影響した。

リクシアナのシェアは30.7%とトップに肉薄。勢いは加速しているため通期売上計画は60億円引き上げ、600億円とした。それらに伴い、通期の国内医療用薬売上予想を150億円上乗せし5130億円に修正したが、前年度より5.0%減となる見込み。

第一三共エスファは、オルメサルタンなどのAGを中心に伸長し、売上高は265億円、53.1%増だった。通期予想は開示していない。

【連結実績 (前年同期比) 18年度通期予想(前年同期比)】

売上高 4468億5000万円(4.8%減) 9100億円(5.2%減)
営業利益 579億8400万円(18.9%増) 780億円(2.3%増)
親会社帰属純利益 440億1400万円(28.4%増) 550億円(8.8%減)
 
【グローバル主要製品売上(前年同期実績) 18年度通期予想、億円】
エドキサバン 541(329) 1110←修正前1050
オルメサルタン 535(828) 970←修正前1000
プラスグレル 135(188) 非開示
 
【国内主要製品売上(前年同期実績) 18年度通期予想、億円】
ネキシウム 386(447) 760
リクシアナ 301(197) 600←修正前540
メマリー 252(245) 510
ロキソニン 156(189) 310
プラリア 130(109) 270
テネリア 126(132) 270
イナビル 1(11) 190
オルメテック 79(319) 140←修正前190
ランマーク 81(76) 160
エフィエント 70(64) 150
レザルタス 78(85) 140
ユリーフ 52(56) 100
オムニパーク 62(71) 120←修正前100
第一三共エスファ品 265(173) 非開示
ワクチン事業 167(161) 非開示
 
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