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薬食審・第一部会 初の経口腎性貧血薬など7製品の承認了承 がん悪液質用薬は継続審議

公開日時 2019/08/30 03:51
厚生労働省の薬食審医薬品第一部会は8月29日、新薬8製品の承認の可否を審議し、初のがん悪液質治療薬エドルミズ錠(一般名:アナモレリン、小野薬品)を除く7製品を承認することを了承した。7製品の中には腎性貧血で初の経口薬となる低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬エベレンゾ錠(ロキサデュスタット、アステラス製薬)が含まれる。

■がん悪液質用薬エドルミズの有用性に「多くの委員から意見」

エドルミズは継続審議扱いとなった。エドルミズの予定適応症のがん悪液質は、がんに伴う体重減少や食欲不振、筋肉量の減少を特徴とする複合的な代謝異常のこと。がん化学療法への忍容性の低下やQOLの著しい低下が生じ、予後に影響する。

この日の部会では、同剤について意見や指摘が相次いだという。がん悪液質治療薬が世界のどの国・地域でも承認されていないこともあり、例えば、▽どのような指標で有効性評価をすべきか▽各種がん治療薬との相互作用など安全性の確認は十分なのか――といった有用性に関する指摘のほか、▽どのような病状やがん腫のがん患者に投与すべき治療薬なのか▽その対象患者像を踏まえた医療機関への情報提供内容はどうあるべきか――など対象患者や情報提供のあり方でも疑義が出たようだ。

厚労省担当官は部会後に、「有効性、安全性、医療機関や患者さんへの情報提供のあり方など、多くの委員から幅広くご意見があり、再度審議するということで引き取った」と説明した。同剤を承認することに賛成した委員はいなかった。

この日の部会で出た論点を当局で整理し、早ければ10月に予定する次回部会で再び審議する。場合によっては追加試験が求められる可能性がある。同剤はグローバルに開発されている薬剤だが、除脂肪体重(筋肉量)の変化を評価する意義など主要評価項目の考え方で議論になり、開発失敗に至った国もあるという。世界に先駆けて日本で承認される可能性があることも、より慎重な審議となったようだ。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

エベレンゾ錠20mg、同50㎎、同100mg(ロキサデュスタット、アステラス製薬):「透析施行中の腎性貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬と呼称する新クラスの薬剤で、同剤がファーストインクラスとなる。初の経口投与の腎性貧血薬。慢性腎臓病(CKD)患者では、赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが十分に産生されないため貧血がよくみられる。HIF-PH阻害薬は、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで腎性貧血に効果をもたらす。

赤血球造血刺激因子製剤での治療有無によって同剤の開始用量は異なる(未治療の場合は1回50mgで開始、切り替えの場合は1回70mgまたは100mgで開始)が、その後は週3回の経口投与で使用する。以後は患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないようにする。

海外では中国で透析施行中の腎性貧血に対する適応で承認されている。

クリースビータ皮下注10mg、同20mg、同30mg(ブロスマブ(遺伝子組換え)、協和キリン):「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。

線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に対するヒト型IgG1モノクローナル抗体。同剤によってFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症患者で認められる過剰なFGF23の作用を中和することで、これらの患者における低リン血症の改善作用が期待されるという。くる病・骨軟化症に対する初の抗体製剤となる。

海外では19年5月現在、米欧を含む35か国でXLH(X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症)の適応で承認済み。

ブリニューラ脳室内注射液150mg(セルリポナーゼアルファ(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan):「セロイドリポフスチン症2型」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。

セロイドリポフスチン症2型(CLN2)を対象とした初の治療薬。投与経路は中枢神経系に直接かつ広範に分布させるため、脳室内投与が選択された。

セロイドリポフスチン症(CL)は、細胞内で老廃物を分解する機能に障害が生じ、細胞内にリポフスチンという色素が蓄積する遺伝性の疾患。CLN2はCLの1病型。同剤は、同疾患に対する治療のために開発された酵素補充療法薬で、同疾患の患者に欠損しているトリペプチジルペプチダーゼという酵素を補充することで、同疾患の特徴であるリポフルスチンの蓄積を減少させる。海外では19年6月現在、欧米を含む7つの国・地域で承認済み。

トリンテリックス錠10mg、同20mg(ボルチオキセチン臭化水素酸塩、武田薬品):「うつ病、うつ状態」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

各種セロトニン受容体及びセロトニントランスポーター作用を有する新規の抗うつ薬。同剤の作用機序は完全には解明されていないが、5-HT3、5-HT7、5-HT1D受容体アンタゴニスト作用、5-HT1B受容体部分アンタゴニスト作用、5-HT1A受容体アゴニスト作用及びセロトニントランスポーター阻害作用を有し、抗うつ、抗不安、うつ病に伴う認知機能障害に対する改善作用を示すと考えられている。海外では19年4月現在、米欧など83か国で承認済み。

アイベータ配合点眼液(ブリモニジン酒石酸塩・チモロールマレイン酸塩、千寿製薬):「緑内障、高眼圧症(他の緑内障治療薬が効果不十分な場合)」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間は6年。

α2作動薬であるブリモニジンとβ遮断薬であるチモロールはいずれも単剤では承認されている。α2作動薬とβ遮断薬を組み合わせた配合点眼薬は初めて。1回1滴、1日2回点眼で用いる。海外では、ブリモニジンの含有量が日本とは異なる配合点眼液としてカナダで03年12月に承認され、以後、18年12月現在で欧米を含む60超の国・地域で承認済み。

エクフィナ錠50mg(サフィナミドメシル酸塩、Meiji Seika ファルマ):「レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

可逆的かつ選択的なモノアミン酸化酵素B型(MAO-B)阻害薬。中枢においてMAO-Bによるドパミン分解を抑制し、シナプス間隙のドパミン濃度を高めることにより、ドパミンの作用を補強し、パーキンソン病の症状を改善する。レボドパ含有製剤と併用して用いる。同剤は通常、成人に、50mgを1日1回経口投与するが、症状に応じて100mgに増量できる。海外では19年5月現在、パーキンソン病に関する効能・効果で37の国・地域で承認済み。

コララン錠2.5mg、同5mg、同7.5mg(イバブラジン塩酸塩、小野薬品):「洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全。ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

HCNチャネル遮断薬。心臓の洞結節に発現するHCN4チャネルを阻害し、心ペースメーカー電流であるIfを抑制することで心拍数を減少させる新規作用機序の医薬品。心臓の伝導性、収縮性、再分極や血圧に影響することなく、心拍数のみを減少させる作用があるという。

通常、成人には1回2.5mgを1日2回食後経口投与から開始する。開始後は、忍容性をみながら、目標とする安静時心拍数を維持できるように、必要に応じて2週間以上の間隔で段階的に用量を増減する。1回投与量は2.5、5、7.5mgのいずれかとし、いずれの投与量でも1日2回食後経口投与で用いる。

海外では19年6月現在で、慢性心不全に関連する効能・効果で欧米を含む100以上の国・地域で承認済み。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

テリパラチドBS皮下注キット600μg「モチダ」(テリパラチド(遺伝子組換え)〔テリパラチド後続1〕、持田製薬):「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を効能・効果とするバイオ後続品。

先発品は日本イーライリリーのフォルテオ皮下注で、最初のバイオ後続品となる。海外では19年6月現在、EUで承認済み。

ダルベポエチンアルファBS注5μgシリンジ「JCR」、同10μg、同15μg、同20μg、同30μg、同40μg、同60μg、同120μg、同180μg(ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)〔ダルベポエチンアルファ後続1〕、JCRファーマ)
ダルベポエチンアルファBS注5μgシリンジ「三和」、同10μg、同15μg、同20μg、同30μg、同40μg、同60μg、同120μg、同180μg(ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)〔ダルベポエチンアルファ後続2〕、三和化学研究所)
ダルベポエチンアルファBS注射液5μgシリンジ「MYL」、同10μg、同15μg、同20μg、同30μg、同40μg、同60μg、同120μg、同180μg(ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)〔ダルベポエチンアルファ後続3〕、マイランEPD)
:いずれも「腎性貧血」を効能・効果とするバイオ後続品。

先発品は協和キリンのネスプ。協和キリングループからバイオセイム(バイオ医薬品のオーソライズドジェネリック)が登場しているが、これら3剤は初のバイオ後続品(BS)と位置付けられ、一般名は「後続1」「後続2」「後続3」となった。

海外ではJCRのBSは19年5月現在、三和化学のBSは19年6月現在で承認されている国・地域はない。マイランEPDのBSは19年6月現在、韓国で承認済み。

【訂正】トリンテリックス錠の作用機序で、下線部を訂正しました。(19年9月2日10時15分) 
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