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薬食審・第二部会 新薬5製品の承認了承 新規の腎細胞がん用薬カボメティクス錠など

公開日時 2020/01/30 04:51
厚生労働省は1月29日、薬食審医薬品第二部会を開き、新薬5製品の承認の可否を審議し、いずれも承認することを了承した。この中には、武田薬品が申請した化学療法歴のない根治切除不能または転移性の腎細胞がんに用いるAXL/MET/VEGFRキナーゼ阻害薬カボメティクス錠(一般名:カボザンチニブリンゴ酸塩)が含まれる。

審議品目とは別に、免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ(同ニボルマブ)に食道がんの適応を追加することが、この日の部会で報告された(報告品目:PMDAの審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの)。1か月程度で正式承認されるとみられる。同阻害薬で食道がんの適応を持つのは今回が初となる。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

カボメティクス錠20mg、同錠60mg(カボザンチニブリンゴ酸塩、武田薬品):「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

AXL/MET/VEGFRキナーゼ阻害薬。VEGFR2などを介したシグナル伝達分子(細胞外シグナル調節キナーゼ等)のリン酸化を阻害することで、腫瘍血管新生及び腫瘍細胞の増殖を阻害し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

今回の効能・効果は、化学療法歴のないファーストラインから使える。通常、成人にはカボザンチニブとして1回60mgを空腹時に経口投与して用いる。

海外では、化学療法歴のない根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対し、米国で17年12月に、EUで18年5月に承認された。なお、化学療法歴のある根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対しては、米国及びEUで16年に承認されている。

レブラミドカプセル2.5mg、同カプセル5mg(レナリドミド水和物、セルジーン):「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間5年10か月。

サイトカイン産生調節作用、造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用等の薬理作用を持つ免疫調節薬。今回追加する適応には、リツキシマブと併用して用いる。

海外では19年10月現在、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(FL)及び辺縁帯リンパ腫(MZL)に係る効能・効果で米国でのみ承認済。FLの効能・効果ではEUで19年11月に承認された。

アレセンサカプセル150mg(アレクチニブ塩酸塩、中外製薬):「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間10年。希少疾病用医薬品。

ALK阻害薬。ALK融合遺伝子陽性の腫瘍に対して、ALKのリン酸化を阻害することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は再発した場合、予後不良となるケースが多く、新たな治療選択肢が待たれていた。ALCLの国内における発症頻度は悪性リンパ腫の1.5~2.0%で、約半数がALK陽性と報告されている。

海外では19年11月現在、今回の効能・効果で承認されている国・地域はない。

ロズリートレクカプセル100mg、同カプセル200mg(エヌトレクチニブ、中外製薬):「ROS1融合遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間5年10か月。

ROS1(c-rosがん遺伝子1)とTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬。ROS1とTRKキナーゼ活性を阻害することで、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制する。

中外の次世代シークエンサーを用いた網羅的がん関連遺伝子解析システム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」は19年12月に、ロズリートレクの今回の適応症に対するコンパニオン診断機能を追加する承認を取得している。ROS1 融合遺伝子を検出することで、同剤の非小細胞肺がんにおける適応判定を補助する。

海外では19年10月現在、今回の効能・効果で米国でのみ承認されている。

ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50mL、同10g/100mL、同20g/200mL(pH4処理酸性人免疫グロブリン、CSLベーリング):「無又は低ガンマグロブリン血症」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(27年3月25日まで)。

患者の状態に応じて投与速度の調整が可能な10%静注用人免疫グロブリン製剤。無又は低ガンマグロブリン血症は、血清中の免疫グロブリンGが量的に不足あるいは質的に問題がある疾患。免疫グロブリンGが全く作られない場合を「無ガンマグロブリン血症」、少しだけ作られる場合を「低ガンマグロブリン血症」と呼ぶ。無又は低ガンマグロブリン血症は、病因により原発性免疫不全症候群(PID)と続発性免疫不全症候群(SID)に大別され、いずれも標準治療はIgG補充となる。

海外では19年1月現在、PIDに係る効能・効果で米国、欧州を含む54の国・地域で承認済み。

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

オレンシア点滴静注用250mg、同皮下注125mgシリンジ1mL、同皮下注125mgオートインジェクター1mL(アバタセプト(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ):既承認の関節リウマチの効能・効果で、「関節の構造的損傷の防止を含む」を追加する新効能医薬品。再審査期間は点滴静注用250mgは残余(22年2月22日まで)、これ以外の製剤に再審査期間はない。

T細胞選択的共刺激調節薬。現在の効能・効果は「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」だが、これを「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」とする。同様の効能・効果を持つ生物製剤にはTNF阻害薬レミケードなどがある。

海外では、関節リウマチの「関節の構造的損傷の防止」に係る効能・効果で、米国で点滴静注製剤は05年12月に、皮下注製剤は11年7月に、欧州では点滴静注製剤は07年5月に、皮下注製剤は12年7月にそれぞれ承認されている。

オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がん」を効能・効果に追加する新効能医薬品。再審査期間は残余(21年10月16日)。食道がんは優先審査品目。

ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(免疫チェックポイント阻害薬)。いずれの適応もオプジーボ単剤で用いる。

MSI-Highを有する結腸・直腸がんに使える免疫チェックポイント阻害薬にはキイトルーダもあり、オプジーボは2番手となる。食道がんに使える免疫チェックポイント阻害薬はオプジーボが初となる。

切除不能の結腸・直腸がん患者のうちMSI-Highを持つ割合は約5%だが、こうした患者は予後不良の傾向がみられるほか、標準治療のフッ化ピリミジン系抗がん剤を含む化学療法の有効性が乏しいことが報告されている。食道がんについては、二次治療で明確に生存期間の延長を示す薬剤はなく、新規治療薬の開発が期待されていた。

海外では、MSI-Highを有する結腸・直腸がんに対して米国で17年7月に承認済。食道がんに係る効能・効果では19年10月時点で、承認されている国・地域はない。
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