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中医協が異例のテレワーク開催 毎年薬価改定「新型コロナで先延ばし厳禁」支払側がクギ

公開日時 2020/04/09 04:52
「緊急事態宣言」が東京都など7都府県に発令された翌4月8日の中医協総会は、異例のテレワーク開催となった。公益委員と診療側委員はWeb会議システムから参加。会場はマスク着用の支払側委員と厚労省の事務局が陣取った。傍聴席はメディアや関係者のみで、隣との距離もソーシャル・ディスタンスとまではいかないまでも、通常の座席配置よりもゆったりした間隔で配置されていた(写真参照)。こうしたなかスタートした、毎年薬価改定の議論は、新型コロナウイルス感染症を理由に議論を先延ばしにしないよう、支払側が釘をさし、早くも火花が散った。

毎年薬価改定は、2016年12月に4大臣合意された、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」で2年に1回の薬価改定の中間年にも全品目を対象とした薬価調査を行い、「価格乖離の大きい品目」について薬価改定を行うとされている。19年度の消費増税改定があることから実質的に毎年薬価改定となるなかで、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針2018)」では、毎年薬価改定の範囲について「市場実勢価格の推移、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響を把握したうえで、20年度中にこれらを総合的に勘案して、決定する」とされている。

◎薬価調査は薬価専門部会で議論

この日の中医協では薬価調査の実施方法について薬価専門部会で議論することについて、診療・支払各側が同意した。昨年のスケジュールでは6月に薬価専門部会・総会で薬価調査の実施について了承。その後、実施の準備を経て、9~12月に薬価調査の実施、集計作業を行い、12月に調査結果の速報値が中医協総会に報告されている。

◎支払側 「しっかり議論する案件」持ち回りでなく平場の議論を

ただ、新型コロナウイルス感染症の拡大が広まるなかで、薬価改定による病院経営への影響や、医薬品卸への薬価調査の負担感の大きさなどがすでに指摘されている。こうしたなかで、支払側は議論を実施すべきと釘を刺した。この日の中医協では、新型コロナウイルス感染症への医療保険上の対応など、緊急性を要する案件について特例的に持ち回りで開催することも了承された。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、開始早々、「薬価専門部会は、一定の開催をして議論することも必要」と牽制した。吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も「議論をしっかりやらないといけない案件」と強調。この日、ウエブ会議で議論が進んだことに触れ、「だんだん手馴れてくる」として、薬価専門部会は持ち回りでの開催ではなく、議論を進める必要性を強調した。

◎診療側 新型コロナで経営影響は甚大 「本当に行うかは薬価専門部会で議論を」要望

一方で、診療側は議論を行うことは了承したものの、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「毎年薬価改定を国として閣議決定したのは、いまから3年以上前。新型コロナウイルス感染が拡大している状況とは前提が全く異なる。国として改めて実施について検討することを要望する」と強調。3年連続の薬価改定の病院経営への影響は「過去にない」と牽制した。さらに、「新型コロナウイルス感染症患者への対応によるコスト増や、逆に感染拡大防止のため長期処方により受診間隔をあけるように努力したことによる収入減等もあり、いつにもまして経営への影響は甚大な状況。期中の薬価改定を本当に行うかは薬価制度部会で議論するよう、要望する」と続けた。

診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常任理事)も、2019年10月、20年4月と短期間で薬価改定が実施された状況に加えて新型コロナウイルス感染症が重くのしかかるとの見解を示した。厚労省の提示したスキームを“平時のもの”と指摘したうえで、「実施を含めて、」慎重な議論をする必要がある。薬価専門部会で議論することは賛同するが、そのなかで議論を尽くしていくべきだ」と述べた。毎年薬価改定の議論にも、新型コロナウイルスの影響が重くのしかかることとなりそうだ。
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