米FDA ダパグリフロジンに心不全適応追加を承認
公開日時 2020/05/12 04:50
米食品医薬品局(FDA)は5月5日、英アストラゼネカの米法人AstraZeneca Pharmaceuticals LP社(本社:デラウェア州ウィルミントン)のSGLT2阻害薬Farxiga錠(ダパグリフロジン)について、心不全の適応追加を承認した。糖尿病を合併しない心不全の適応で承認された初のSGLT2阻害薬となった。
今回、適応が追加されたのは、心血管死および心不全による入院のリスクを減少させる目的の駆出率が減少した成人における心不全。対象は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)の機能分類II-IVにおける駆出率の減少を伴う心不全とされる。同剤についてFDAは、優先審査品目に指定していた。
副作用は、脱水、重篤な尿路感染症および外陰部イースト菌感染症(カンジダ症)。また、特に腎障害、低血圧および利尿剤を服用している高齢者は投与に際し、尿量や腎機能の評価が不可欠としている。代謝性アシドーシス(酸血症)もしくはケトアシドーシス(血中における酸の蓄積)の症候・兆候のある患者も観察が必要とした。インスリンと併用する場合、糖尿病や低血糖患者では会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)が発症の可能性があるため、注意が呼びかけられている。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のNorman Stockbridge心臓学および腎臓学部長は、「心不全は、米国の8人に1人の死因となっている重篤な疾患であり、約650万人が罹患している」と指摘したうえで、「生存率を改善し、かつ入院の必要性を減少させる新規治療法を駆出率減少を伴う心不全患者に選択肢を提供する」とコメントした。
Farxigaは、2型糖尿病の食餌療法及び運動療法に加えた血糖コントロールおよび2型糖尿病患者の心不全による入院減少の適応ですでに承認されている。