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薬食審・第二部会 新薬9製品の承認了承 ゾフルーザ予防投与は12歳未満かつ20kg未満は不可

公開日時 2020/11/02 04:49
厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は10月30日、新薬9製品の承認を了承した。抗インフルエンザウイルス薬・ゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル、塩野義製薬)にインフルエンザの予防投与を追加することが含まれる。ただ、12歳未満かつ20kg未満の小児への予防投与は不可とした。厚労省によると、耐性ウイルスの発現状況が考慮された結果という。なお、治療目的では20kg未満にも使える。同剤はタミフルなど他の抗インフルエンザウイルス薬と作用機序が異なるため、治療選択肢として残したとみられる。

遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制に用いるオラデオカプセル(ベロトラルスタット塩酸塩、オーファンパシフィック)の承認も了承された。HAEの急性発作治療薬はあるが、HAEの発作抑制を目的とした薬剤は同剤が初となる。同剤は先駆け審査指定品目で、希少疾病用医薬品に指定されている。

■オプジーボとヤーボイ併用療法 NSCLCの1次治療を追加

この日の報告品目は6品目あった。この中には、がん免疫療法薬の抗PD-1抗体オプジーボ(ニボルマブ、小野薬品)と、異なる機序のがん免疫療法薬の抗CTLA-4抗体ヤーボイ(イピリムマブ、ブリストル・マイヤーズ)との併用療法で、非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に用いることが含まれる。免疫療法薬同士の併用でNSCLCの1次治療に使えるのは今回が初となる。

新有効成分含有医薬品は早ければ12月に、効能追加や用法追加などは11月にも正式承認される見込み。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

ゾフルーザ錠20mg、同顆粒2%分包(バロキサビル マルボキシル、塩野義製薬):「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2026年2月22日まで)。

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬で、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する。予防投与も単回経口投与で用いる。ただし、12歳未満かつ20kg未満の小児には使えない。厚労省は耐性ウイルスの発現状況を理由に挙げている。また、同錠10mgにも予防投与の適応はない。

海外では20年10月時点で、予防投与で承認されている国・地域はない。

ラスビック点滴静注キット150mg(ラスクフロキサシン塩酸塩、杏林製薬):「肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変病変の二次感染」の呼吸器感染症を適応症とする新投与経路医薬品。再審査期間は残余(2027年9月19日まで)。

ニューキノロン系合成抗菌薬。細菌のDNA複製に必須のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼIVに対する阻害活性を有する。錠剤が承認されており、今回の注射剤は主に入院加療が必要な患者への投与が想定される。

海外では20年8月時点で、海外で承認されている国・地域はない。

テリルジー100エリプタ14吸入用、同100エリプタ30吸入用、同200エリプタ14吸入用、同200エリプタ30吸入用(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩、グラクソ・スミスクライン):「気管支喘息(吸入ステロイド剤、長期間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合」を効能・効果とする、テリルジー100エリプタの2品目は新効能・新用量医薬品。テリルジー200エリプタの2品目は新医療用配合薬。再審査期間は残余(2025年3月25日まで)。

汎用されている吸入ステロイド(ICS)、長時間作用性吸入抗コリン剤(LAMA)、長時間作用性吸入β2刺激剤(LABA)による3成分配合の吸入薬。現在は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として承認されている。なお、ICS/LAMA/LABAの3成分配合吸入薬で喘息適応を持つ薬剤にエナジア吸入用があり、今回は2番手となる。

海外では20年9月1日現在、喘息に対して米欧で承認されていない。

ルミセフ皮下注210mgシリンジ(ブロダルマブ(遺伝子組換え)、協和キリン):「強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。

ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体製剤。体軸性脊椎関節炎は、主に仙腸関節や脊椎・四肢の腱付着部に原因不明の慢性炎症をきたす進行性の自己免疫疾患。強直性脊椎炎とX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎に大別される。

同剤と同様の抗IL-17A抗体で同様の効能・効果を有する薬剤にコセンティクス皮下注とトルツ皮下注があり、ルミセフは3番手となる。

海外では開発されていない。

オラデオカプセル150mg(ベロトラルスタット塩酸塩、オーファンパシフィック):「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。先駆け審査指定品目。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

低分子の血漿カリクレイン阻害薬。遺伝性血管性浮腫(HAE)は、補体第1成分阻害因子の欠損によりブラジキニンが過剰に産出されて発症する常染色体優性遺伝性疾患。血管性浮腫発作は通常1~5日間持続し、激しい痛みや身体障害を引き起こす。口腔咽頭や喉頭の発作に処置を施さない場合、浮腫が進行し、窒息により死に至る場合もある。同剤は、ブラジキニン産生酵素を特異的に阻害することで、HAEの急性発作を予防することが期待される。

HAEの急性発作治療薬としてはベリナートP静注用やフィラジル皮下注があるが、HAEの発症抑制を目的とした薬剤はオラデオが初となる。なお、鳥居薬品が国内の独占的販売権を持っている。

海外では、欧米では承認されていない。

ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL、同80mgシリンジ0.8mL、同40mgペン0.4mL、同80mgペン0.8mL(アダリムマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ):「壊疽性膿皮症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

抗TNFαモノクローナル抗体。壊疽性膿皮症は急速に進行する有痛性、無菌性、壊死性の皮膚疾患。国内外で壊疽性膿皮症を効能・効果とする薬剤は承認されておらず、適応外使用の形で薬物治療が行われている。第一選択薬は経口ステロイドで、難治例に抗TNFα抗体製剤などの生物製剤の使用が考慮されている。正式承認されればヒュミラが世界初の治療薬となる。

カルケンスカプセル100mg(アカラブルチニブ、アストラゼネカ):「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬。B細胞に発現するB細胞受容体(BCR)の下流シグナル伝達分子であるBTKと結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害することでB細胞性腫瘍の増殖などを抑制すると考えられている。

再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)に対するBTK阻害薬にイムブルビカがあり、カルケンスは2番手となる。

海外では20年7月時点で、今回の適応で米国を含む15か国で承認済。

ビラフトビカプセル50mg、同75mg(エンコラフェニブ、小野薬品)
メクトビ錠15mg(ビニメチニブ、小野薬品)
:「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は両剤とも5年10か月。

ビラフトビはBRAF阻害薬。メクトビはMEK阻害薬。今回、BRAF遺伝子変異を有する結腸・直腸がんに対して、両剤に抗ヒトEGFRモノクローナル抗体セツキシマブを含む3剤併用療法を可能にする。なお、ビラフトビはセツキシマブとの2剤併用でも使える。

海外では20年7月時点で、BRAF遺伝子変異を有する結腸・直腸がんに対して、ビラフトビは32の国・地域で承認済。メクトビは承認されている国・地域はない。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ゼローダ錠300(カペシタビン、中外製薬):「手術不能又は再発乳がん、結腸・直腸がん」で新用法を追加する新用量医薬品。公知申請。再審査期間なし。

フルオロシチジン誘導体。今回、▽手術不能又は再発乳がんでラパチニブトシル酸塩水和物と併用する場合にC法を使用する▽結腸・直腸がんでオキサリプラチンと併用する場合はC法を使用する▽治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんには他の抗悪性腫瘍剤との併用でC法又はE法を使用する――を追加する。E法は今回新たに加わったもの。

サイラムザ点滴静注液100mg、同500mg(ラムシルマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「胃がん、結腸・直腸がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん」の既承認の適応で新用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余(2023年3月25日まで)。

ヒト型抗VEGFR-2モノクローナル抗体。現在60分かけて点滴投与するが、初回投与の忍容性が良好な場合、2回目以降の投与時間を30分間まで短縮できることを追加する。

また、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)で、EGFR-TKIのエルロチニブまたはゲフェチニブと併用して使えることも追加する。

海外では、投与時間を30分間まで短縮できる用法は米国で承認済。NSCLCに対するエルロチニブとの併用投与は米国とEUで承認済。

オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg、同120mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品) 
ヤーボイ点滴静注液50mg(イピリムマブ(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
:両剤の併用で、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の1次治療に使えるようにする。オプジーボは新用量医薬品。ヤーボイは新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(オプジーボは2021年10月16日まで、ヤーボイは24年6月20日まで)。

両剤ともがん免疫療法薬で、オプジーボはヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。ヤーボイは抗CTLA-4モノクローナル抗体。作用機序の異なる免疫療法薬の併用で、非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に使えるようにするのは今回が初めて。なお、オプジーボは現在、単剤でNSCLCの2次治療以降に使える。

海外では、NSCLCに対する両剤併用療法は米国を含む2つの国・地域で承認済。

ダラザレックス点滴静注100mg、同400mg(ダラツムマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「多発性骨髄腫」を効能・効果とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2027年9月26日まで)。

ヒト型抗CD38モノクローナル抗体。現在、初回投与時に16mg/kgを投与するが、投与時間が長いとの課題があった。そこで今回、初回は分割投与として、1回8mg/kgを1日目及び2日目に投与することを追加する。

海外で20年8月時点で、多発性骨髄腫に対する同剤の初回分割投与は欧米を含む35以上で承認済。

カボメティクス錠20mg、同60mg(カボザンチニブリンゴ酸塩、武田薬品):「がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(2028年3月24日まで)。

AXL/MET/VEGFRキナーゼ阻害薬。VEGFR2などを介したシグナル伝達分子(細胞外シグナル調節キナーゼ等)のリン酸化を阻害することで、腫瘍血管新生及び腫瘍細胞の増殖を阻害し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。現在は根治切除不能又は転移性の腎細胞がんで承認されている。

海外では20年8月時点で、肝細胞がんに係る効能・効果で米国、EUを含む49の国・地域で承認済。
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