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厚労省・井内医療課長 21年度薬価中間年改定「財政当局と協議、決定」 支払側・カテゴリー別データ要求

公開日時 2020/12/03 04:52
厚生労働省保険局の井内努医療課長は12月2日の中医協薬価専門部会で、2021年度に実施する薬価中間年改定について、「財政当局と協議しながら、新型コロナウイルス感染症の影響も勘案して予算編成過程で十分に検討し、決定する」と方針を示した。この日は、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)が薬価改定を実施した場合の医療機関経営への影響についてのシミュレーションを求めた。一方、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、新薬・長期収載品・後発品などカテゴリーによる取引状況などについてのデータを求めた。今後は、こうしたデータや、改めて実施される業界ヒアリングなどの意見を踏まえ、薬価改定の範囲で議論が加速することになる。

◎乖離率は例年と同水準 妥結率、単品単価割合も例年とそん色なし

厚労省はこの日の中医協薬価専門部会に、薬価本調査(2020年9月取引分)の乖離率が約8.0%だったことを報告した。中間年改定の前例に当たる2018年の乖離率(7.2%)よりは若干高いものの、投与形態別や薬効群別での乖離率は例年と同水準となっている。妥結率や単品単価の割合なども、例年とそん色はないことが報告された(関連記事)。

◎支払側・吉森委員「コロナで注目すべき数値の変化は外形上、見当たらない」

支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「特段コロナで注目すべき数値の変化は外形上、見当たらない。今年度の薬価調査は、2021年度の薬価改定に資するものだ」と述べた。そのうえで、薬価改定のルールについて早急に議論を開始すべきとの見解を示した。

◎診療側・松本委員 コロナの感染者急増「外形的な数値だけでは捉えきれない影響が」


一方、診療側の松本委員は、新型コロナ感染症の第3波により、「新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は増加傾向が加速しており、まさに医療崩壊の一歩手前まで来ている」と説明。「最も優先させるべきは、医療提供体制を崩壊させないこと。薬価改定について議論する際にもそういった点に十分留意し、慎重に検討すべき」と訴えた。そのうえで、薬価調査の結果については、「外形的な数値だけでは捉えきれない影響が確実にある」との見方を示した。

松本委員は、「今後の検討を深めるために、薬価改定を行った場合の医療機関等の経営への影響を把握していく必要がある。一定の範囲で薬価改定を行った場合、薬剤費の削減総額がこれに当たると考える。今回の調査結果を踏まえて仮に薬価改定を実施した場合、どの程度の影響が生じるのか、いくつかの場合分けをしてお示しいただきたい」と要望し、厚労省側も応じる構えを示した。

◎「乖離率」主張の診療側 「乖離額」を含めてカテゴリーでの検討求める支払側


改定範囲については、「乖離率」を主張する診療側と、「乖離額」を含めてカテゴリーでの検討を求める支払側で意見が分かれた。診療側の松本委員は、「中間年改定の目的は、個々の医薬品の価値に注目したうえで、市場実勢価格との乖離を是正すること。仮に薬価改定を実施する場合、対象を判断する際は乖離額ではなく、乖離率に注目して判断すべき」と述べた。

今後の焦点となるのが、カテゴリーでの乖離率の考え方だ。支払側の吉森委員は、「国民負担の軽減が図られるよう、より多くの製品が対象となるような線引きも考えるべき。薬価の水準が高いため相対的に乖離率が小さくなりがちな先発品、逆に乖離率が大きくなりがちな後発品など、カテゴリーにわけて別々の基準を定めるなど、医薬品の特性に応じたルールの設定などを検討すべき」などと述べた。支払側の幸野委員は、新薬や長期収載品、後発品などカテゴリーごとの乖離率を明確にしたデータの提示を厚労省側に求め、厚労省側も検討すると応じた。

◎村井専門委員 “カテゴリーチェンジ”の卸経営への影響に言及

この日の議論で、専門委員の村井泰介氏(バイタルケーエスケー・ホールディングス代表取締役社長)は、医薬品卸の経営状況悪化の理由の一つとして、「カテゴリーチェンジに伴う販売構成の変化による最終原価率の上昇」をあげた。村井委員は、降圧薬など生活習慣病領域のブロックバスターが特許切れし、抗がん剤などスペシャリティ領域の製品が増えてきている、いわゆる“カテゴリーチェンジ”の影響に言及。具体的には、抗腫瘍薬(乖離率:5.1%)や生物学的製剤(乖離率:3.3%)などのウエイトが高まっているとしたうえで、これらの製品は「乖離率も小さいが、仕切価も高い」と述べた。

村井委員はまた、「我々の立場から見ると、販売原価率が上がった。上がった原因は、個別商品の仕切価というよりも、カテゴリーの販売構成が変わって上がってきていることが大きかったのではないか」とも述べた。また、累次の薬価改定の影響で、「薬価が下がったにもかかわらず、仕切価が上がったものもある」と指摘した。こうした変化についてコロナの影響があるか問われた村井委員は、「カテゴリーチェンジはここ数年始まってきているので、コロナで特に増幅されたとか進んだとかいうことではない」と明確にコロナの影響を否定した。

◎新薬創出等加算の累積控除 支払側は推計値の提示求める 診療側は「反対」姿勢

もう一つ、焦点となるのが新薬創出等加算の累積加算額の控除だ。幸野委員は控除額の推計値の提示などを厚労省側に求めた。一方、支払側の松本委員は、「中間年改定で行うべきではない。反対する」と反発した。

このほか、診療側の有澤賢二(日本薬剤師会常務理事)は、新型コロナの影響を勘案し、薬価調査の客体数を減らして実施したことによる正確性に疑問を投げかけ、「品目ごとのばらつき」を指摘した。専門委員の赤名正臣委員長(エーザイ常務執行役)も、「全数調査と比べ、市場実勢価との誤差は生じることも留意すべき」と同調した。

今後、製薬業界側の意見陳述の場も想定されるなかで、「今回の調査結果を踏まえてもなお、コロナを特別に配慮する必要があるのか等については、定性的な説明はいただいているが、具体的なエビデンスに基づいて説明いただければ」と支払側の吉森委員が注文をつける一幕もあった。
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