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厚労省 10製品超の効能追加など承認 キイトルーダにTMB-High固形がんが追加、国内初

公開日時 2022/02/28 04:51
厚生労働省は2月25日、10製品超の効能追加などを承認した。抗PD-1抗体キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、MSD)に国内初の「高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形がん」の効能が追加されたほか、同じくキイトルーダとキナーゼ阻害薬レンビマ(同レンバチニブ)との併用療法で腎細胞がん(1次治療)が追加された。

効能追加などが承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元。薬効分類順に記載)

カイトリル注1mg、同注3mg、同点滴静注バッグ3mg/50mL、同点滴静注バッグ3mg/100mL(グラニセトロン塩酸塩、太陽ファルマ):「術後の消化器症状(悪心、嘔吐)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。薬効分類239。
オンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」(オンダンセトロン塩酸塩水和物、丸石製薬):「術後の消化器症状(悪心、嘔吐)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。薬効分類239。

両剤とも厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目で、事前評価済公知申請。5-HT3受容体拮抗型制吐剤。

スプレキュア点鼻液0.15%(ブセレリン酢酸塩、サノフィ):「生殖補助医療における卵胞成熟」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。公知申請。薬効分類249。

GnRH誘導体製剤。今回の追加効能の用法・用量は、「左右の鼻腔に各々1噴霧投与を1回投与(1回あたりブセレリンとして計300μg)とし、通常、採卵の34~36時間前に2回投与するが、患者の反応に応じて、投与回数は1回~4回の範囲で適宜調節する」となる。

In vitro試験及びin vivo試験の結果から、同剤投与時に、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)と同様、血漿中黄体化ホルモン(LH)を増加させることが示されたことから、LHサージ同様、卵胞成熟及び黄体化を誘起することができると考えられている。

ジーラスタ皮下注3.6mg(ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)、協和キリン):「同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類339。

持続型G-CSF製剤。用法・用量は「通常、成人には7.2 mg を1回皮下投与する」と単回投与で済み、連日投与型のG-CSF製剤と比較して投与頻度が低減される。

ネオーラル内用液10%、同10mgカプセル、同25mgカプセル、同50mgカプセル(シクロスポリン、ノバルティスファーマ)
シクロスポリンカプセル10mg「TC」、同カプセル25mg、同カプセル50mg(シクロスポリン、東洋カプセル)
シクロスポリンカプセル10mg「日医工」、同カプセル25mg、同カプセル50mg(シクロスポリン、日医工)
シクロスポリンカプセル10mg「ファイザー」、同カプセル25mg、同カプセル50mg、同細粒17%(シクロスポリン、ファイザー)
シクロスポリンカプセル10mg「BMD」、同カプセル25mg、同カプセル50mg(シクロスポリン、ビオメディクス)
シクロスポリンカプセル 10mg「トーワ」、同カプセル25mg、同カプセル50mg(シクロスポリン、東和薬品)
エンドキサン錠(シクロホスファミド水和物、塩野義製薬)
:いずれも「細胞移植に伴う免疫反応の抑制」を効能・効果とする、その他の医薬品。再審査期間なし。薬効分類:各種シクロスポリン製剤399、エンドキサン421。

各種シクロスポリン製剤及びエンドキサンともに、1月20日に承認された「角膜上皮幹細胞疲弊症における眼表面の癒着軽減」を効能・効果又は性能とする再生医療等製品・サクラシーと併用するためのもの。

トレアキシン点滴静注液100mg/4mL(ベンダムスチン塩酸塩、シンバイオ製薬):「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は慢性リンパ性白血病:残余(26年8月25日まで)。薬効分類421。

1時間かけて点滴静注しているが、今回、10分投与の用法・用量が追加された。

フェマーラ錠2.5mg(レトロゾール、ノバルティス ファーマ):「生殖補助医療における調節卵巣刺激」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。公知申請。再審査期間なし。薬効分類429。

アロマターゼ阻害薬。今回の追加効能の用法・用量は、「通常、成人にはレトロゾールとして1日1 回2.5mgを月経周期3日目から5日間経口投与する。十分な効果が得られない場合は、次周期以降の1日投与量を5mgに増量できる」となる。

同剤がアロマターゼを阻害することにより、血中及び卵巣中のエストロゲン濃度が低下し、下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が促進されることに加え、卵巣中にテストステロンが蓄積することでFSH受容体の発現が増加することによって、卵胞発育が促進されることが報告されている。

キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。薬効分類429。

抗PD-1抗体(免疫療法薬)。腫瘍遺伝子変異量(TMB)は、腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量で、ゲノムコーディング領域1メガ塩基あたりの非同義体細胞遺伝子変異数として示され、10変異/megabase以上の状態がTMB-Highと定義される。

TMB-High を有する固形がんに係る効能・効果で承認された薬剤は国内初。キイトルーダとしては「MSI-High固形がん」に続くバイオマーカーに基づくがん種横断的な効能取得となる。

レットヴィモカプセル40mg、同80mg(セルペルカチニブ、日本イーライリリー):「RET 融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん、RET 遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。

RETキナーゼ阻害薬。「RET 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に続く効能追加。国内のRET融合遺伝子陽性の甲状腺がん患者数は約1690人、RET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様がん患者数は約200人と推測されている。

レンビマカプセル4mg、同10mg(レンバチニブメシル酸塩、エーザイ)
キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD)
:いずれも「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」を効能・効果とし、レンビマは新効能・新用量医薬品、キイトルーダは新用量医薬品。再審査期間はレンビマが残余(24年1月22日まで)、キイトルーダも残余(22年10月18日まで)。いずれも薬効分類は429。

腎細胞がんの1次治療では、▽キイトルーダ/TKIインライタ▽抗PD-L1抗体バベンチオ/インライタ▽抗PD-1抗体オプジーボ/抗CTLA-4抗体ヤーボイ▽オプジーボ/TKIカボメティクス―など、がん免疫療法薬を含む併用療法が数多く承認されており、新たにキイトルーダ/レンビマ併用療法が加わった。
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