大鵬薬品 FGFR阻害薬・フチバチニブ 胆道がんを対象疾患に承認申請
公開日時 2022/07/29 04:48
大鵬薬品は7月28日、自社創製のFGFR阻害薬・フチバチニブ(一般名、開発コード:TAS-120)について、「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子を含む遺伝子再構成を伴う局所進行または転移性胆道がん」を対象疾患に日本で承認申請したと発表した。FGFR2遺伝子の融合またはその他の再構成を検出するためのコンパニオン診断機能を有する医療機器については、シスメックスと共同開発している。
申請は、FGFR2遺伝子の融合またはその他の再構成を有する局所進行または転移性の切除不能な肝内胆管がん患者103例を対象とした第2相FOENIX-CCA2試験データに基づく。
フチバチニブはFGFR1、2、3、4を不可逆的かつ選択的に阻害する経口の共有結合型FGFR阻害薬。選択的かつ不可逆的にFGFR1-4のATP結合部位に結合し、FGFRを介するシグナル伝達経路を阻害することで、FGFR1-4遺伝子異常を持つ腫瘍細胞の増殖を抑制し、細胞死を誘導する。同社は化学療法などの前治療歴がある胆道がん患者を含む、FGFR1-4に遺伝子異常を持つ進行固形がんへの治療薬として開発している。
FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)は血管新生、創傷治癒、胚発生に関与する受容体型チロシンキナーゼファミリーに属し、線維芽細胞増殖因子(FGF)とその受容体(FGFR1-4)は多様な種類の細胞に発現し、細胞の増殖、生存、遊走、分化などを制御している。昨今、複数のがん種でFGF/FGFR遺伝子異常が報告されており、がんのドライバー遺伝子候補として着目されている。
海外では18年5月に 米国FDA より胆管がん治療薬としてオーファンドラッグ指定を、21年4月に前治療歴を有するFGFR2 遺伝子再構成(融合遺伝子を含む)を伴う進行胆管がんに対してブレークスルーセラピー(画期的治療薬)指定を受けた。22年3月には、同剤の承認申請を優先審査指定で米国FDAが受理している。