大塚ホールディングス（HD）の樋口達夫代表取締役社長兼CEOは2月14日、2022年12⽉期決算説明会に臨み、今期（23年12月期）売上高が、第3次中計（19～23年）の目標値を1000億円超過する1兆8000億円に到達する見通しを示した。また、事業利益も2100億円と中計目標値に届く見通しを示した。

2019年5月に策定した第3次中計では、最終年となる23年の売上目標値を1兆7000億円（医療関連事業1兆800億円（うちグローバル4製品4800億円）、NC関連事業4500 億円など）と設定していた。この日、同社が発表した22年12⽉期決算によると、売上高は前期比16.0％増の1兆7380億円と最終年の目標値を上回った。また、今期は3.6％増の1兆8000億円を見込んでいる。

◎グローバル4製品が好業績を牽引

好業績を成長ドライバーとしてけん引しているのが、グローバル4製品（エビリファイメンテナ、レキサルティ、サムスカ/ジンアーク、ロンサーフ）であり、21年には2年前倒しで中計目標値の4800億円を突破。22年には26.4%増の6192億円を売り上げた。今期は、日本のサムスカが後発品参入の影響で59.3％減の280億円と大幅に減少する見通しだが、4製品合計で2.8％増の6365億円を予想する。これにより、医療関連事業全体も1兆1670億円と中計目標を大きく超える見通しだ。

利益面では、経常的な収益力を示す指標として採用している事業利益（売上収益－売上原価－販売費及び一般管理費＋持分法投資利益－研究開発費）について、中計目標の2000 億円に、ジンアークによる上振れ 250 億円を加算し、目標値を2000～2250億円に設定していた。22年12⽉期決算の事業利益は11.3%増の1749億円となり、今期は20.1％増の2100億円を見込んでいる。

◎樋口社長　米国での医療機器事業に挑戦　自社単独で展開する方針で準備

樋口社長は「グルーバル4製品以降の成長ドライバーの育成にも積極的に取り組んでいく」と強調。コントロール不良高血圧の適応で米FDAに申請中の超音波腎デナベーションシステムについて、「患者に広く使ってもらうために幾つかの段階を着実に進めていく必要がある。その過程で患者アクセスを容易にするため、数年間かけて保険償還を含め環境を整えることが非常に大切だ。米国での医療機器事業への挑戦として現時点では自社単独で展開する方針で準備を進めている」とコメントした。

また、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの適応追加をFDAに申請中（審査終了目標日5月10日）のレキサルティについて「患者だけでなく、家族、医療従事者が抱える大きな社会的課題の解決に向けて、疾患の啓発活動にも積極的に取り組み、早期の製品価値最大化につなげていきたい」と語った。

【22年連結業績（前期比）23年予想（前期比）】
売上収益　1兆7379億9800万円（16.0％増）1兆8000億円（3.6％増）
事業利益　1749億1700万円（11.3％増）2100億円（20.1％増）
営業利益 　1503億2300万円（2.7％減）2100億円（39.7％増）
親会社所有者帰属当期利益　1340億1900万円（6.8％増）1575億円（17.5％増）

【グローバル４製品売上（前期実績）23年予想、億円】
エビリファイメンテナ　1,654（1,303）1,785
レキサルティ　1,691（1,211）1,950
サムスカ　878（920）430
ジンアーク　1,394（1,004）1,575
ロンサーフ　575（461）625
＊サムスカに日本のADPKD適応の売上含む。

【主要製品売上（前期実績）23年予想、億円】
国内エビリファイメンテナ　112（105）115
国内レキサルティ　137（130）145　
国内サムスカ　688（730）280
国内ロンサーフ　71（70）75
ニュープロ・パッチ　99（115）75
アブラキサン　202（287）235
アロキシ　36（146）15
ムコスタ点眼液　55（54）50
ビラノア　132（114）120
INQOVI　106（64）110
ミケルナ配合点眼液　62（52）60
アイクルシグ　64（53）70
ニューデクスタ　284（256）280
国内エビリファイ　75（84）70
国内プレタール　22（25）20
国内ムコスタ　26（24）25
ティーエスワン　71（60）65
国内臨床栄養　927（885）980