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厚労省 流通改善GLを改訂 医療上必要性高い品目「別枠」で単品単価交渉を 仕切価提示は告示後早期に

公開日時 2024/03/04 04:51
厚労省は3月1日、「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」を改訂し、医療・製薬関係団体などに周知した。同日から改訂版を適用した。改訂版ガイドラインでは、医薬品の安定供給確保の観点から不採算品再算定品など、「特に医療上の必要性の高い医薬品」については「価格交渉の段階から別枠とし、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とすること」を明記した。薬価の告示を目前に控える中で、「仕切価の提示は、薬価告示後、早期に行うこと」も流通当事者に周知した。

◎基礎的医薬品、安定確保医薬品(カテゴリーA)、不採算品再算定品など別枠で

改訂流通改善ガイドラインでは、卸売業者と保険医療機関・保険薬局との関係において留意する事項として、「“医薬品の安定供給”を確保する観点から、特に医療上の必要性の高い医薬品として基礎的医薬品、安定確保医薬品(カテゴリーA)、不採算品再算定品、血液製剤、麻薬、覚醒剤及び覚醒剤原料については、価格交渉の段階から別枠とし、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とすること」と明記された。また、「これまでも単品単価交渉を行ってきた新薬創出等加算品等についても、引き続き単品単価交渉を行うものとし、流通改善が後戻りすることのないようにすること」も盛り込まれた。

安定確保医薬品や不採算品再算定品などは医療上必要性が高いにもかかわらず、総価取引が行われており、価格の調整弁とされており、乖離率が大きいことが指摘されていた。一方で、医療現場や医薬品卸からは、不採算品目に該当する品目がわからず、製薬企業に品目を明示するよう、求める声があがっていた。すべての流通当事者に周知することで、医薬品の価値に見合った取引を進める狙いがある。

◎「価格交渉代行業者に依頼するにあたってガイドライン遵守させること」

価格交渉に際しては、「卸売業者は、個々の医薬品の仕切価に安定供給に必要なコスト(地域差や物価上昇等を考慮した人件費や流通コスト等)を踏まえた適切な価格設定を行うとともに、交渉を行う双方が、その根拠と妥当性を説明するなどにより、価格交渉を進めること」と明記した。

そのうえで、「取引条件等を考慮せずにベンチマークを用いての一方的な値引き交渉や取引品目等の相違を無視して同一の総値引率を用いた交渉、取引条件等を考慮せずに同一の納入単価での取引を各卸売業者に求める交渉などは厳に慎むこと」と明記。ボランタリーチェーンなどが増える中で、「価格交渉を代行する者に価格交渉を依頼するに当たっては、価格交渉を代行する者がこうした交渉を行うことがないよう流通改善ガイドライを遵守させること」も盛り込んだ。

◎流通改善GL改訂踏まえ未妥結減算報告制度も見直し 主な取組事項の確認を報告へ

なお、2024年度診療報酬改定では、薬局・医療機関に対し、流通改善ガイドラインの改訂を踏まえて、未妥結減算制度に関連する医薬品の取引状況についての報告制度が見直されている。これまでは、報告時に妥結率に加え、単品単価契約率と一律値引き契約の状況の報告が求められていたが、「医薬品取引に係る状況(報告の前年度の医薬品取引の状況も含む)」、「医療用医薬品の流通改善に向けた取組(流通改善ガイドラインの改訂内容に基づく主な取組事項の確認)」の報告が求められることになる。

◎一社流通を行う製薬企業に説明責任求める 地域ごとの1社流通も該当

いわゆる“一社流通”については、「一社流通を行うメーカーは、自ら又は卸売業者と協力し、その理由について、保険医療機関・保険薬局に対して丁寧に情報提供を行うこと。また、一社流通を行うメーカー及び卸売業者は、その医薬品の安定供給を行うこと」を盛り込んだ。一社流通については、「メーカーが自社の医薬品を卸売業者1社または、同一グループに限定して流通させること」と定義。「地域ごとに担当の卸売業者を1社決めて流通させている場合も該当する」とした。

◎仕切価の提示は、薬価告示後、早期に 割戻し、アローアンスは書面で運用基準明確化を

メーカーと卸売業者との間の交渉については、「仕切価の提示は、薬価告示後、早期に行うこと」と明記。「割戻し、アローアンスの決定は、メーカーと卸売業者との間での十分な協議を踏まえ、書面により運用基準を明確化すること」も盛り込んだ。

◎医薬品特有の取引慣行や過度な薬価差是正、流通取引環境整備で流通改善図る

通知では、現在の医薬品流通について「一定の改善が図られてきたところだが、新たな課題が発生するなど、いまだ抜本的な改善には至っていない」と指摘。厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(有識者検討会)が昨年6月に取りまとめた報告書も踏まえ、「医薬品特有の取引慣行や過度な薬価差等を是正し、適切な流通取引が行われる環境を整備することにより、さらなる流通改善を図っていくため、流通改善ガイドラインの改訂を行った」と改訂に至った背景を説明した。

なお、日本の薬価制度は市場実勢価格主義を貫いており、流通関係者による透明な市場実勢価の形成に努めることが必要であり、毎年薬価改定が導入される中で、「これまで以上の流通改善の推進、薬価調査のための環境整備が必要」としている。

通知は、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官と厚生労働省保険局長の連名で発出。医療関係団体、製薬業界など、流通当事者に対して周知された。



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