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厚労省 生産計画や卸の在庫量などマクロな供給量把握へ新たな仕組み検討 増産や限定出荷解除に活用

公開日時 2024/09/17 04:52
厚労省は、供給情報をマクロに把握する新たな仕組みの構築に向けて検討を進める。供給不安が長引く背景に、市場の需給の見通しが立ちづらいことや、日本全体で必要な供給量、競合他社の状況などが把握できない中で、適切な増産や限定出荷解除につながらないことが指摘されている。新たな仕組みにより、製造販売業者の生産計画や卸売販売事業者の在庫量を把握。供給不安を未然に防止するほか、供給不安時には、適正量の増産や限定出荷解除につなげることで、供給不安を早期解消させたい考えだ。

◎製造販売業者の生産計画や卸の在庫数量把握

厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は、9月13日の医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議供給情報ワーキンググループに、供給不安に対処するための情報把握のための新たな仕組みを提案した。新たな仕組みは、製造販売業者の生産量、卸売販売事業者の在庫量・出荷量、需要量として製造販売業者の受注量、薬局等における投薬・調剤量までの情報をマクロの視点で把握するもの。現在議論の進められている“安定供給確保マネジメントシステム”の実効性を下支えする情報基盤を想定する。

平時においては、同一の薬効・成分における製造販売業者の生産計画・生産・在庫・受注・出荷や薬局の入荷(卸の出荷)、投薬・調剤の数量を把握。さらに、卸売販売業者の在庫についての数量を把握することで、限定出荷や出荷停止などの供給不安が発生した際に、医薬品の適正量の増産などに活用することも視野に入れる。把握した情報は、平時と供給不安時、供給不足にわけて整理。薬効・成分単位で数量を集計し、マクロな視点で推移や変化をとらえられるよう、必要な流通関係者に公開する考え。

◎対象は安定確保医薬品と感染症対応医薬品を提案

対象とする医薬品は、費用対効果の視点も踏まえ、安定確保医薬品と感染症対応医薬品(感染症拡大時等において医療現場で必要とされる医薬品)とする考え。薬効・成分単位で医薬品の需給バランスをモニタリングし、関係者に公表することで、市場において需給バランスの調整が働くことが期待できる。供給不安が起きた際にも、製造販売業者が市場における需給見通しや競合他社の数量情報を踏まえ、適正量の増産が期待できる。また、自社に注文が殺到することを回避するために、限定出荷に踏み切る製造販売業者も少なくないが、全体の供給量を把握することで、適切な限定出荷の解除が期待できる。国にとっても、平時からモニタリングすることで、国が供給不安の兆候を早期に察知し、対象となる医薬品の供給状況の把握、関係者への協力要請を迅速に行うことができる。

◎法令上の課題 製販や卸の報告徴収規定、電子処方箋データの活用規定も

新たな仕組み構築に向けて、法令上の根拠規定整備が必要となる可能性も指摘した。製造販売業者の生産計画や卸売販売事業者の在庫量などは報告ベースであるため、報告徴収規定の必要性を指摘。薬局などの処方量、投薬・調剤量は電子処方箋データから把握する考えで、電子処方箋データの活用規定も指摘した。電子処方箋では、DPC包括診療分や電子処方箋が導入されていない医療機関・薬局、自由診療での処方把握が困難であることも課題とされている。

厚労省は、現在検討が進められている“安定供給確保マネジメントシステム”の議論を踏まえて、法令上の手当ての必要性を検討する方針。また、実用化に向けた課題も踏まえ、具体的な検証を進める考えを示している。

厚労省は25年度の概算要求で、「医薬品の供給情報等の把握等の体制整備等事業」として、2億7000万円をデジタル庁が予算計上している。

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