長期収載品の負担引き上げ 田村氏「安定供給のバランス考慮」 梅村氏「政策効果も論点」社会保障協議体
公開日時 2025/11/27 04:51

自民党と日本維新の会による社会保障制度改革協議体は11月26日、長期収載品の患者負担見直しなどを議論した。長期収載品の選定療養を巡っては、患者希望で長期収載品を使用した場合に後発医薬品との価格差の4分の1相当を患者負担とする現行制度から「さらなる引き上げを検討する」との方向が示された。自民党の田村憲久社会保障制度調査会長は、「国民負担が増える話であり、後発品の安定供給とのバランスも考えなくてはならない。両党で共通認識をもって議論を進める必要がある」と強調。維新の梅村聡議員は、「(選定療養導入で後発品への置き換え率が)ジャンプアップしたが、それと同じだけの効果が出るのかちゃんと見極める必要がある。政策効果も一つの論点になる」と述べ、次回以降も協議を継続するとした。
◎地域フォーミュラリ推進 「一定のマニュアルを作り環境整備を」
この日は地域フォーミュラリの推進も議論となった。自民・維新・公明の3党合意では、「各地域において地域フォーミュラリが策定されるよう取組を推進する」と掲げられている。ただ、地域フォーミュラリの普及にあたっては、医師会、歯科医師会、薬剤師会など三師会間の合意形成の難しさや、運営のマンパワー不足などの課題も指摘され、国の支出委任事業を活用した運営支援や理解促進に向けたガイドラインによる周知などが解決策として提示された。
会合では、出席議員から、「地域によって後発品の流通状況も異なるため一定の裁量はあるが、国が一定のマニュアルを作って環境を整えるべきだ」などの意見があったという。
◎金融所得の勘案に向けた工程表 保険料反映まで「大まかに5年近くかかる」
医療・介護保険制度における金融所得の勘案については、法整備やシステム構築、法定調書のオンライン提出義務化などを踏まえると、保険料や窓口負担への反映までに「大まかに5年近くかかる」との見通しが示された。特にベンダー側の人手不足を要因として、システムの構築や改修に2~3年程度かかる見込み。維新の梅村議員は「非常に深刻な問題。国のDX全体の課題として考えていかなければならない」と指摘した。
また、厚労省は金融所得にかかる法定調書を活用したスキーム案を提示。新たに設ける法定調書DB(仮称)を税務署や金融機関などの既存のクラウドと連携させ、個人ごとに金融所得と課税所得を合算して保険料などを算定する仕組みを検討している。26年通常国会で高齢者医療確保法の改正を行って具体的な内容を盛り込む考え。