自維・社会保障協議体 OTC類似薬の負担見直し合意に至らず 両党の政調会長間で調整へ
公開日時 2025/12/18 04:52

自民党と日本維新の会による社会保障制度改革協議体は12月17日、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しについて協議したが、負担割合や対象範囲を巡って両党の隔たりがあり、合意に至らなかった。今後は両党の政調会長に委ねて協議を継続する。なお、金融所得の反映などの応能負担の徹底や、地域フォーミュラリの全国展開、長期収載品の選定療養のさらなる活用などの項目については両党の合意に至った。
◎維新・薬剤費「1分の1負担」要求 自民・患者負担急増を理由に拒否
この日の協議で維新は患者の追加負担額として一定規模の財政効果確保を目的に「薬剤費の1分の1負担」を要求。自民側は患者負担の急激な増加を理由に受け入れなかった。また合意文案についても、維新は制度開始時の具体的な削減規模を記載するよう求めたが、自民の合意が得られなかった。対象範囲については、維新が「OTC医薬品が対応する症状に適応がある医療用医薬品」を前提とするよう求めたものの、折り合いがつかなかったという。
自民の田村憲久元厚労相は「考え方が全く違うわけではないが、今まで1~3割負担だったものが10割負担になると国民負担がかなり増える。自民党としてはのめず、一致できなかった」と説明。維新の梅村聡議員は「合意文に『一定の財政規模』を具体的に示すかどうか。この一点について合意できなかったが、様々な議論ができたことは収穫だ」と述べた。
◎合意文案 公平性確保や保険料負担抑制のため「一定規模の見直し必要」
なお、合意文書案では、見直しの趣旨について「OTC医薬品で対応できる症状であるにも関わらず、他の被保険者の保険料にも負担をかけて医療用医薬品の給付を受ける患者とOTC医薬品で対応している患者との公平性の確保の観点や現役世代を中心とした保険料負担の抑制を図る観点からも一定規模の見直しが必要だ」と記載。「患者の状況や負担能力に配慮しつつ、長期収載品で求めているような別途の保険外負担を求める新たな仕組みを創設し、2026年度中に実施する」としていた。また、リフィル処方箋や長期処方の推進なども盛り込んでいた。
維新はこれまでの議論で、OTC類似薬を保険給付外として原則全額自己負担とする案を主張していたが断念。保険適用を維持した上で患者に追加負担を求める方針に譲歩していた。対象範囲については、「OTC薬と同一成分の医療用医薬品」から段階的に対象範囲を広げるよう求めていた。
両党の連立合意書では、OTC類似薬の薬剤自己負担見直しについて、2025年度中の具体的な制度設計実現を掲げている。
◎応能負担の徹底や地域フォーミュラリ展開などは合意
この日の協議では、金融所得の反映などの応能負担の徹底▽地域フォーミュラリの全国展開▽長期収載品の選定療養のさらなる活用▽生活習慣病の重症化予防とデータヘルスの推進▽新たな地域医療構想に向けた病床削減▽医療DXを通じた効率的な質の高い医療の実現▽介護障害福祉従事者の処遇改善―などについては合意した。