与党 OTC類似薬 保険給付維持も患者に追加負担求める 焦点は対象範囲や患者の追加負担に
公開日時 2025/12/15 04:52
自民・維新の与党は12月12日、OTC類似薬の薬剤自己負担について、保険適用を維持したうえで、患者に追加負担を求める方針で一致した。日本維新の会はOTC類似薬について保険給付を原則全額自己負担とする保険給付外を主張していたが、譲歩した。一方で、対象範囲については両党に依然として隔たりがある。維新は、「OTC薬と同一成分の医療用医薬品」から段階的に対象範囲を広げることを求めている。OTC類似薬の処方を受ける際の患者負担についても「率」とすることには合意しているが、今後具体的な制度論を深める。
◎“OTC薬と同一成分の医療用医薬品”スタートも拡大求める
維新の斎藤アレックス政調会長らは12月12日、木原稔官房長官と面会し、申入れを行った。申入れには、「OTC類似薬など保険給付としての必要性が相対的に低い医薬品等について、必要な受診を確保するとともに慢性疾患を抱える方などに適切な配慮を行った上で、今後の保険適用除外を見据えて、その薬剤費を“特別の料金”として利用者にご負担いただく枠組みを設ける」ことを明記した。自民や厚労省の主張していた保険外併用療養に足並みを揃えたが、「今後の保険適用除外を見据えて」との一文も盛り込むことで制度に含みを持たせた。加えて、「26年通常国会にそのための関連法案を提出した上で26年度中に当該枠組みをスタートすること」を明確に求めた。
対象範囲については、「“OTC医薬品が対応する症状に適応を持つ医療用医薬品”を対象とし、少なくとも“OTC薬と同一成分の医療用医薬品”については確実に26年度中の当該枠組みのスタート時から“特別の料金”の対象に含める」と明記し、段階的な拡大を求めている。
このほか、申入れでは、6月の自民・公明・維新の3党合意を踏まえ、「個別品目に関する対応について、これまでのビタミン剤やうがい薬、湿布薬に関する対応を踏まえ、適正使用の観点から結論を出すこと」も求めている。
維新は、12月4日に高市早苗首相、12日に木原官房長官と申し入れを重ねた。維新の一部議員からは「ここで少なくとも数千億円規模の削減につなげなくてはいけない。維新としては『OTC薬が対応する症状に適応を持つ医療用医薬品』を対象とすることでまとまっていて、トップ(高市首相と木原官房長官)と話を付ければおのずと議論はまとまる」と自信をのぞかせた。
◎金融所得の反映や地域フォーミュラリの議論「だいぶすり寄ってきている」
自民・維新の社会保障改革に関する実務者協議ではOTC類似薬のほか、金融所得の反映や地域フォーミュラリについての議論も進めるが、12日に開かれた自民党の社会保障制度調査会医療委員会で後藤茂之委員長が「だいぶすり寄ってきている状況だ」と話している。
◎26年度改定で維新 「入院と外来のメリハリ付け、配分見直し」 リフィル処方推進を
年末の予算編成に向けて診療報酬改定の改定率をめぐる議論も佳境を迎える。診療報酬本体プラス改定が確実視される中で、維新は、物価・賃上げ対応を行う一方で、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しなど医療・介護保険制度改革の効果に加え、診療報酬の「効率化・適正化」による「マイナス効果」の必要性を指摘した。「病院と診療所の経営状況の違いを踏まえた入院と外来のメリハリ付け、これまでの慣行に基づく医科・歯科・調剤の固定的な配分の見直しを年末に政治の意思として決定し、実現すること」を求めた。
また、リフィル処方の推進の必要性も指摘。「現役世代の通院負担の軽減の観点から、症状の安定している患者に係る一定の医薬品の投与についてリフィル処方箋・長期処方を原則化することを視野に入れ、リフィル処方箋・長期処方に対応している旨の院内掲示を処方箋料の必須要件として導入すること」や処方箋の運用改善なども求めている。