国立大学病院長会議・大鳥会長 次期改定率3.09%を評価 機器更新や建物設備の財源「まだ足りない」
公開日時 2025/12/22 04:51

国立大学病院長会議の大鳥精司会長(千葉大学医学部附属病院)は12月19日の記者会見で、政府が次期診療報酬改定の改定率をプラス3.09%と固めたことについて、「非常に大きな額となった」と評価した。一方で改定要望としては、「高度医療には非常に多くのコストがかっている。その中でも少し傾斜をつけていただきたいというのが要望だ」と述べ、ダヴィンチ手術や移植医療など高度難度医療提供に対する増点を求めた。臨時国会で成立した補正予算に対しては、「事業継続のための緊急輸血として厚労・文科省から約300億円程度の支援を頂いた」としながらも、機器更新や建物設備に必要な財源は「まだ足りない」との認識を示した。
この日の会見では、出席した国立大学病院長から26年度診療報酬改定の「改定率」や補正予算の効果など、高市政権に対するコメントが寄せられた。
◎大学病院長のコメント「職員一同安心している」、「地域医療格差など余力ができる」など
北海道大学病院の南須原康行院長は、「当初は(改定率が)1%と2%の間なんていう噂があったが、それを超えたということで、大変嬉しい。追い風になった」と強調した。旭川医科大学病院の東信良院長は、「(改定率が)3%を超えたということは素晴らしいことだ。職員一同かなり安心していると思う」と述べた。また、「資金がショートするということで、毎日会議で赤字対策や効率化にかなりの時間を使って、職員もかなり疲弊していた」と吐露する場面も。東院長は、「今回の政府対応で一息つけるということならば、本来の研究や教育、地域医療や診療科間の格差などに対策するための余力ができたかなと思っている」と述べた。
東北大学病院の張替秀郎院長は、「補正予算は単発なので、診療報酬でちゃんと上げて頂くことは大事だ。その中身を精査して、我々としてどのぐらい評価をいただいたのか確認したい」と強調した。東京大学医学部附属病院の田中栄院長も同様に、「(改定率)3.09%は近年では高率なのでありがたいと思う一方、やはり高度な医療にどのぐらい診療報酬をつけていただけるのか精査したい」と応じた。
名古屋大学医学部附属病院の丸山彰一院長は、「(改定率が)3%を超えて安心している。機器の更新などが全然追いついていないので、これで追加できたらと思っている」と述べた。京都大学医学部附属病院の髙折晃史院長は、「個人的には非常に驚いた」と強調。「今後もこういう活動を続けていかなければならないかなと思った」とコメントした。
岡山大学病院の前田嘉信院長は、「何十億もの累積赤字がある病院がたくさんある。これは今から返していかないといけない。まだまだ気を抜けない」と述べた。長崎大学病院の尾崎誠院長は、「24年度改定が0.88%だったので、それと比べると大幅な改定で大変ありがたく思う。3.09%の改定だと、なんとか赤字が解消できるかできないかくらい。滞っている機器の購入まで資金が回せる状況にはないのではないか」と述べた。最後に大阪大学医学部附属病院の野々村祝夫院長は、「3%ありがたいが、まだまだ厳しい状況が続くかなと思っている」と述べた。