米BIO・クラウリーCEO トランプ政権の追加関税を批判 資金力が脆弱な新興バイオ企業を弱体化させる
公開日時 2026/04/06 04:51
米・バイオテクノロジーイノベーション協会(BIO:Biotechnology Innovation Organization)は4月2日(現地時間)、トランプ大統領による特許医薬品等への追加関税に対する声明を発表した。ジョン・F・クラウリー プレジデント兼CEOは、「政権が特定の重要なバイオテクノロジー製品に対する関税免除の必要性を認識していることは評価する」としながらも、「現実には米国の医薬品に対するいかなる関税も、コスト上昇、国内製造の阻害、新たな治療法の開発遅延につながり国家安全保障の強化に何ら貢献しない」と批判した。
トランプ大統領は特許医薬品等に原則100%の追加関税を課し、日本など貿易協定締結国の関税率を15%にすると発表した。同時に、最恵国待遇(MFN)価格で協定締結し、米国内の製造生産拠点等の対米投資を合意した製薬企業に対しては、2019年1月20日まで関税を猶予する方針を打ち出した。
◎新興バイオファーマ「FDA承認新薬の半数を開発」 一方で製造施設の建設は資金不足「リスクは深刻」
これに対し、BIOのジョン・F・クラウリー プレジデント兼CEOは、「米国のバイオ企業(新興バイオファーマ:EBP)は国内投資の拡大に意欲的だが、関税に加え不確実な政策環境や最恵国待遇(MFN)制度の導入に向けた動きが、その目標達成を阻害している」と指摘。「特に新興バイオファーマは、FDA承認医薬品の半数以上を開発しているにもかかわらず、高コスト、長期にわたる開発期間、そして大きなリスクを特徴とする業界において、専用の製造施設を建設するための資金が不足していることが多く、リスクは深刻だ」と訴えた。
「自国第一主義」を掲げるトランプ大統領は、米国内での特許医薬品のサプライチェーン構築を盾に追加関税の猶予を製薬企業にちらつかせ、MFN協定締結と対米投資の交渉テーブルに着かせる狙いを込めている。すでに、ファイザーやアストラゼネカなど欧米系のメガファーマから総額4000億ドルの対米投資を生んでおり、”公認対米投資リスト”の実績をあえて公表することで、日本を含む米国内で売上比率の高い製薬企業に対し、製造生産施設の増強と研究拠点への追加投資と雇用創出を暗に迫っている。これに対し、BIO加盟の新興バイオファーマは、資金力が脆弱であるため、グローバル企業との戦略的アライアンスの停滞や民間からの投資が回らなくなることへの警戒感をこれまで以上に強めているという訳だ。
ジョン・F・クラウリー プレジデント兼CEOは、「関税は貴重な資源を研究開発から逸らし、中国の台頭する産業に対して米国のバイオ産業を弱体化させ、最終的にはアメリカ国民の健康と経済的な幸福を損なう」と表明した。
◎「関税や最恵国待遇は解決策ではない」
BIOの声明では、「我々はバイオテクノロジーへの投資を促進し、新薬開発にかかる時間やコスト、不確実性を軽減し、米国のバイオ製造能力を拡大し、米国のイノベーションが海外で公正に評価されることを保証する長期戦略について政権と協力する用意がある」と述べ、改めて「関税や最恵国待遇は解決策ではない」と念を押した。