日本医療政策機構 血液疾患領域における政策提言公表 病院が損失被らない収益構造 国内製造拠点整備を
公開日時 2026/04/14 04:53
日本医療政策機構(HGPI)は4月13日、政策提言「血液疾患領域における政策提言―患者・当事者中心の医療エコシステムの構築に向けて―」を公表した。血液疾患は、分子標的薬、二重特異性抗体、CAR-T細胞療法などの画期的な治療法が実用化される一方で、診療水準の地域格差是正や地域医療機関との連携体制がいまだ十分でないと指摘される。特に、2040年に向けて血液がんの新規罹患数は大幅に増加することが見込まれることから、血液疾患領域での医療エコシステム構築が重要視されていた。今回の政策提言では、医療連携体制、患者コミュニケーション、医療DXと情報連携、制度的支援と研究開発の切り口で政策提言を明文化した。
◎病院経営層から「実施を控えるよう圧力がかかるケース」あると指摘
提言内容から制度的支援に関する項目をみたい。政策提言では、血液疾患医療の提供においては、現行の診療報酬・保険制度が必ずしも適切に対応できていないとの課題があることを指摘している。CAR-T療法などの高度医療については、DPC制度のもとで重症有害事象発生時に大幅な赤字となるリスクがあり、病院経営層から「実施を控えるよう圧力がかかるケース」もあるとも指摘する。さらにCAR-T細胞療法に関する手技の診療報酬は自家末梢血幹細胞移植術の診療報酬制度が準用されているが、実施に必要な人員・設備等の医療提供体制にかかるコストは現行の診療報酬ではカバーされない部分があるとし、高度医療を担う専門医療機関が経営的に持続可能となるような制度設計が求められていると紹介している。
◎CAR-T療法等の高度医療について、医療機関が損失を被らない収益構造の実現を提言
その上で政策提言では、「地域連携・多職種連携等の連携体制の構築を支えるため、血液疾患の特性を踏まえた診療報酬上の評価を体系的に整備」する必要性を指摘した。また、CAR-T療法等の高度医療について、医療機関が損失を被らない収益構造を実現するとし、「DPC制度における高度医療の評価見直し、合併症発生時の追加コストへの対応、他院からの紹介を積極的に受け入れるインセンティブの付与」などを検討課題にあげた。
また、「保険適用に関するローカルルールの実態を把握し、全国統一的な運用を推進する」と提言。具体的には、「レセプト分析や患者調査の実施が望まれる」としたほか、血液疾患の標準的モニタリング検査については、全国で同様の運用がなされることが期待されるとした。オンライン診療の活用により全国統一的な運用を促進することも、患者負担軽減の有効な手段とした。
◎がん登録・レジストリの研究活用促進や財政基盤の強化を
一方で研究開発に関する政策提言では、がん登録・レジストリの研究活用促進や財政基盤の強化も求めた。「造血幹細胞移植やCAR-T療法の長期フォローアップに不可欠な患者レジストリについては、公的資金投入の拡充が喫緊の課題」と強調。患者レジストリについては公的資金投入の拡充が喫緊の課題とした。イノベーションを適切に評価する薬価制度のあり方にも触れた。「再生医療等製品の特性を踏まえた市場拡大再算定ルールの見直しも重要な課題」とし、さらに「検査の開発・製造・運用にかかるコストを適切に反映した価格評価の仕組みの整備」も求めた。
◎CAR-T細胞療法等の再生医療等製品の国内製造拠点の整備推進も提言
CAR-T細胞療法等の再生医療等製品の国内製造拠点の整備推進も提言した。一部、国内製造に向けた一部変更承認の動きも見えてきたが、政策提言では、①海外製造への依存に伴う供給途絶リスクの低減、②製造コストの削減:国際輸送コストの低減、製造プロセスの効率化・自動化、③国際競争力の強化:医薬品開発製造受託機関(CDMO)の国内整備による再生医療産業全体の競争力強化、④次世代治療への基盤整備:iPS細胞由来の細胞治療製品の実用化を見据えた、再生医療全体を支える産業基盤の構築-なども盛り込んでいる。