国立がん研究センター 欧州・豪州中心のユーイング肉腫の国際共同第3相臨床試験 アジア地域から初参加
公開日時 2026/07/15 04:50

国立がん研究センターは7月14日、小児・AYA世代に多いユーイング肉腫の国際共同第3相臨床試験に日本が参加すると発表した。欧州、豪州を中心とした合計14か国の研究機関・医療機関が参加する国際共同試験「INTER-EWING-1」で、アジアから初めて国立がん研究センター中央病院が参加する。試験は、初発のユーイング肉腫の患者を対象に、VDC-IE療法へのレゴラフェニブの追加など4つの治療戦略の有用性をランダム化比較試験によって検証する。試験は「先進医療B」のもとで実施。日本国内での保険収載を目指す。
ユーイング肉腫(Ewing sarcoma, EWS)は小児からAYA世代かけて好発する肉腫で10代での発症が全体の約3分の2を占める。骨原発が80%、軟部組織原発が20%、転移のない限局性が75%、転移性が25%で、国内の発生数は年間約50人。現在の標準治療はVDC-IE療法だが、限局性EWSの治療成績は、3年EFS(Event-Free Survival:無増悪生存期間)が67%であるのに対し、肺転移例の3年EFSは30%にとどまる。また、局所療法を行う際の放射線治療の適切な線量が定まっていないなどの課題もある。
今回実施する国際共同第3相臨床試験「INTER-EWING-1」は、希少がんで大規模臨床研究の実施が困難ということから欧州と豪州など14か国が参加して始めたもの。国立がん研究センター中央病院が参加するほか、北海道大学病院も参加に名乗りを上げており、今後は順次参加施設を8施設まで拡大する予定。
◎レゴラフェニブ併用多剤化学療法など4つの治療戦略をランダム化比較試験で検証
試験の対象は、年齢が2歳以上で初発の骨・軟部組織発生のユーイング肉腫またはEWSR1-FLl1遺伝子再構成が陰性で"Ewing-like tumors"と診断される円形細胞肉腫の症例。試験デザインは、①レゴラフェニブ併用多剤化学療法、②切除不能例に対する根治的放射線療法、③切除例に対する補助放射線療法、④維持化学療法-の4つの治療戦略に関する有用性をランダム化比較試験によって検証し、国際的な標準治療の確立を目指す。登録期間は2030年3Q頃まで。追跡期間は3年間。予定登録患者数は試験全体で900例。主要評価項目はEFS。
◎岩田氏「日本の小児・AYA世代がんや希少がん領域の研究・診療基盤を国際水準で強化」
同試験は先進医療Bの制度下で実施することにしており、臨床試験の結果をもとに日本国内での保険収載を目指す方針だ。記者会見した国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科の岩田慎太郎氏は、「日本における小児・AYA世代がんや希少がん領域の研究・診療基盤を国際水準で強化するとともに、その領域の薬剤開発の加速と将来の保険適用に向けたエビデンスの創出、ドラッグ・ラグの解消を目指す」と強調した。