厚労省 新薬13製品を承認 初のFLT3遺伝子陽性急性骨髄性白血病薬、トラゼンタとジャディアンス配合剤など

公開日時 2018/09/25 03:51
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厚労省は9月21日、新薬として13製品22品目を承認した。この中には、アステラス製薬が承認申請し、先駆け審査指定制度の対象となった初のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病の治療薬ゾスパタ錠(一般名:ギルテリチニブフマル酸塩)がある。また、ファイザーが承認申請し、初の条件付き早期承認制度が適用された医薬品で、ALKチロシンキナーゼ阻害剤に十分な効果を示さない非小細胞肺がん患者向けの治療薬ローブレナ錠(一般名:ロルラチニブ)や、日本ベーリンガーインゲルハイムが2型糖尿病治療薬として承認申請したDPP-4阻害薬トラゼンタとSGLT2阻害薬ジャディアンスを配合したトラディアンス配合錠なども承認された。

新薬として承認された品目は次のとおり。

ロラピタ静注2mg(ロラゼパム、ファイザー):「てんかん重積状態」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。薬効分類:113。

てんかんの重積状態は、発作が繰り返されたり、一定時間以上続いたりする状態を指す。海外の治療ガイドラインでは、同剤が第一選択薬という。日本てんかん学会から、てんかん重積状態の治療薬として開発するよう要望を受けて厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が検討し、開発の必要性が高いと判断、同省の開発要請を受けてファイザーが開発した。

エイベリス点眼液0.002 %(オミデネパグ イソプロピル、参天製薬):「緑内障・高眼圧症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:131。

参天が宇部興産から導入し、共同で開発。選択的プロスタノイドEP2受容体に作用して、房水流出を促し、眼圧を低下させるという。1回1滴、1日1回点眼。

モビコール配合内用剤(マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化ナトリウム、EAファーマ):「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間6年。薬効分類:235。

ポリエチレングリコール製剤で、腸管内の浸透圧制御を行なうことで排便を促す。小児の便秘では、浸透圧性下剤から治療を開始することが原則とされている。同剤は、2歳から7歳未満の幼児、7歳以上12歳未満の小児、12歳以上のそれぞれの用法・用量が設定された。

日本小児栄養消化器肝臓学会から同剤の開発要望を受け厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が検討し、開発の必要性が高いと判断、同省の開発要請を受けてEAファーマと持田製薬が共同開発した。同一製品名で両社が共同販売する。

ベオーバ錠50 mg(一般名:ビベグロン、杏林製薬):「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」を効能・効果とする新規有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

膀胱のβ3受容体に作用し、膀胱弛緩作用で症状を改善する選択的β3アドレナリン受容体作動薬。1回50mg、1日1回投与。米メルクが創製し、杏林が日本での独占的開発・製造販売権を取得し、開発してきた。杏林は泌尿器が重点領域。薬効分類:259。

トラディアンス配合錠AP、同配合錠BP(エンパグリフロジン/リナグリプチン、日本ベーリンガーインゲルハイム):「2型糖尿病(ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る)」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間は残余(2022年12月25日まで)。薬効分類:396。

DPP-4阻害薬トラゼンタ錠(リナグリプチン)とSGLT2阻害薬ジャディアンス錠(エンパグリフロジン)を配合した製剤。配合量はリナグリプチン5mgに、AP錠はエンパグリフロジン10mg、BP錠はエンパグリフロジン25mg。第一選択薬としては用いず、患者の状態が安定し、いずれかの単剤治療で効果不十分な場合に用いる。

NBIと日本イーライリリーで共同販促する。DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤は、田辺三菱製薬のカナリア(2017年9月発売)、MSDのスージャヌ(2018年5月発売)に続く、3製品目。

メトアナ配合錠LD、同配合錠HD(アナグリプチン/メトホルミン塩酸塩、三和化学研究所):「2型糖尿病(ただし、アナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間4年。薬効分類:396。

DPP-4阻害薬スイニー錠(アナグリプチン)とメトホルミン塩酸塩を配合したもので、アナグリプチン100mgに、メトホルミンはLDで250mg、HDで500mg。

DPP-4阻害薬とメトホルミンを配合した薬剤は、これまでにエクメット配合錠(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩、ノバルティス)、イニシンク配合錠(アログリプチン安息香酸塩/メトホルミン塩酸塩、武田薬品)があり、メトアナは3製品目となる。

ベージニオ錠50mg、同錠100mg、同錠150mg(アベマシクリブ、日本イーライリリー):「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:429。

サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害薬。CDK4/6は細胞周期の調節に主要な役割を果たしており、細胞増殖を引き起こすが、同剤はCDK4/6を選択的に阻害して細胞周期の進行を停止させ、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。ファイザーの乳がん治療薬イブランスカプセルに続く、2剤目のCDK4/6阻害薬。

ベージニオ錠、イブランスカプセルとも内分泌療法剤と併用して用いるが、ベージニオ錠は通常、1回150mgを1日2回経口投与で用いる。イブランスカプセルは通常、1日1回125mgを3週連続投与して1週間休薬することを1サイクルとして用いる。

オプジーボ点滴静注240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):240mg製剤を追加する剤形追加に係る医薬品。薬効分類:429。

抗PD-1抗体。PD-1の細胞外領域に結合し、PD-1とPD-L1との結合を阻害することで、がん抗原特異的なT細胞の活性化とがん細胞に対する細胞傷害活性を増強し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

8月21日付で承認された1回240mgの固定用量で用いる適応(従前は体重換算に基づく用法・用量)では、今回追加する240mg製剤により、利便性が高まるとともに、残薬問題の解消も期待される。

1回240mgの固定用量で用いる適応は以下の通り。
▽悪性黒色腫(術後補助療法含む)
▽切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
▽根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
▽再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
▽再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん
▽がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発胃がん
▽がん化学療法後に増悪した切除不能な進行又は転移性の悪性胸膜中皮腫
(承認されているヤーボイとの併用療法でも、1回240mgで使うシーンがある)

ビーリンサイト点滴静注用35μg(ブリナツモマブ(遺伝子組換え)、アステラス・アムジェン・バイオファーマ):「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。薬効分類:429。

T細胞誘導(BiTE)抗体製剤。BiTE抗体は、生体に備わっている免疫システムががん細胞を察知して標的とするのを助けることによって抗がん作用を発揮する。この抗体は、T細胞とがん細胞が架橋するように設計された修飾抗体であり、T細胞を標的細胞の近くに誘導し、T細胞を介した殺作用によりがん細胞をアポトーシスに導くとされる。

臨床上の位置づけは、再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病に対する治療選択肢のひとつとなる。

ローブレナ錠25mg、同錠100mg(ロルラチニブ、ファイザー):「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性または不耐性のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。条件付き早期承認制度が適用された第一号で優先審査。再審査期間8年。薬効分類:429。

非小細胞肺がん患者のうちALK陽性は3~5%で、それら患者に対する治療薬は3製品ある。ローブレナは、それらALK阻害剤が効かなくなった患者の腫瘍に生じた変異(耐性変異)を解明することにより創製された薬剤。1日1回100mgを経口投与。

重篤で有効な治療方法が乏しいこの疾患に対し、日本も参加した国際共同第1/2試験で一定程度の有効性と安全性が確認されたことから、早期に実用化を後押しする「条件付き早期承認制度」の適用となった。製造販売後に全例調査や市販後直後調査など、有効性・安全性の再確認等のために必要な調査等を実施することなどが承認条件となる。

ゾスパタ錠40mg(ギルテリチニブフマル酸塩、アステラス製薬):「再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。先駆け審査指定医薬品。再審査期間10年。薬効分類:429。

厚労省によると、これまでも再発または難治性の急性骨髄性白血病に対する化学療法はあるが、標準的治療法は確立していない。

FLT3遺伝子変異陽性患者に対する治療薬は初めて。同患者は約2100人だが、そのうち再発または難治性はさらに限定される。同剤は、腫瘍の増殖に関与するFLT3を介したシグナル伝達を阻害することで、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。1日1回120mgを経口投与。

フィラジル皮下注30mgシリンジ(イカチバント酢酸塩、シャイアー・ジャパン):「遺伝性血管性浮腫の急性発作」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。薬効分類:449。

急性発作では死亡することもある。これまでの治療薬は静注製剤だったが、これは皮下注製剤であるため、医療機関の受診が難しいケースにおいて自己注射により早期治療を可能にするよう設計された薬剤。これまでの薬剤作用が異なり、急性発作に関与するブラジキニンの作用を、この薬剤のブラジキニン受容体拮抗作用で症状を緩和する。プレフィルドシリンジ製剤で、1回30mg。

この疾患は、C1インアクチベーターの量的または質的な欠損で、身体の様々な部位に浮腫が発生する遺伝性疾患。患者数は数百人とみられる。現時点での標準的治療法は血漿由来人C1インアクチベーター製剤(製品名:ベリナートP静注用)の補充療法。

ジビイ静注用250、同静注用500、同静注用1000、同静注用2000、同静注用3000(ダモクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)、バイエル薬品):「血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:634。

血友病Aに対する治療薬で、半減期延長型の遺伝子組換え第8因子製剤。定期補充療法では、通常、12歳以上の患者で週2回。状態に応じて申請のもとに5日ごと、または週1回の用法・用量が定められている。

■厚労省 効能や用法追加、バイオシミラーなども承認


厚労省は9月21日、新薬以外の承認として、既存薬への効能・効果や用法・用量の追加も行った。承認された品目は次のとおり。

アドセトリス点滴静注用50 mg(ブレンツキシマブベドチン(遺伝子組換え)、武田薬品):既存適応のCD30陽性ホジキンリンパ腫においてファーストラインで使用できるようにする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2024年1月16日まで)。

エルプラット点滴静注液50mg、同100mg、同200mg(オキサリプラチン、ヤクルト本社)/オキサリプラチン点滴静注液50mg、同100mg、同200mg「サワイ」(同、沢井製薬)/オキサリプラチン点滴静注液50mg、同100mg、同200mg「NK」(同、日本化薬)/オキサリプラチン点滴静注液50mg、同100mg、同200mg「ニプロ」(同、ニプロ)/オキサリプラチン点滴静注液50mg、同100mg、同200mg「DESP」(同、第一三共エスファ)
5-FU注250mg、同1000mg(フルオロウラシル、協和発酵キリン)
アイソボリン点滴静注用25mg、同100mg(レボホリナートカルシウム、ファイザー)/レボホリナートカルシウム点滴静注用25mg、同100mg「オーハラ」(同、大原薬品)/レボホリナートカルシウム点滴静注用25mg、同100mg「ヤクルト」(同、ヤクルト本社)/レボホリナートカルシウム点滴静注用25mg、同100mg「NK」(同、高田製薬)/レボホリナートカルシウム点滴静注用25mg、同100mg「NP」(同、ニプロ)
:小腸がんを対象とする3剤併用療法を追加する新効能・新用量医薬品。

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当と判断され、部会の事前評価を経て公知申請されたもの。そのため既に保険適用されている。再審査期間なし。

ブスルフェクス点滴静注用60mg(ブスルファン、大塚製薬):既存適応である「同種造血幹細胞移植の前治療」「ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫における自家幹細胞移植の前治療」において1日1回の用法・用量を追加(現在は1日4回)する新用量医薬品。再審査期間なし。

ラグノスNF経口ゼリー分包12g(ラクツロース、三和化学研究所):「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果に追加し、用法・用量を定め、12g製剤を追加する新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間なし。

既存製品はラグノスゼリー分包16.05gで適応は、高アンモニア血症に伴う精神神経障害、手指振戦、脳波異常の改善と、産婦人科術後の排ガス・排便の促進。12g製剤はこれらに適応を追加するもの。浸透圧性下剤。用法・用量は成人のみ。

ドブトレックス注射液100mg(ドブタミン、共和薬品)
ドブトレックスキット点滴静注用200mg、同点滴静注用600mg(同、共和薬品)
ドブタミン点滴静注液100mg「ファイザー」(同、マイラン製薬)
ドブタミン点滴静注液200 mgキット「ファイザー」、同点滴静注液600 mgキット「ファイ
ザー」(同、マイラン製薬)
:「心エコー図検査における負荷」を効能・効果に追加し、用法・用量を定める新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、追加する適応の公知申請が妥当と判断され、医薬品部会の事前評価を経て公知申請していたもの。

トラスツズマブBS点滴静注用60mg「第一三共」、同点滴静注用150mg「第一三共」(トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]、第一三共):「HER2過剰発現が確認された乳がん」「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし。

先行品はハーセプチン(中外製薬)。乳がんの用法・用量において、先行品にある2回目以降3週間間隔とする「B法」はなく、1週間間隔の「A法」だけ。ハーセプチンのバイオ後続品は8月20日に発売された日本化薬の製品に続くものになるが、日本化薬の製品は胃がん適応のみ。

トラスツズマブBS点滴静注用60 mg、同150 mg「ファイザー」(トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続3]、ファイザー):「HER2過剰発現が確認された乳がん」「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とするバイオ後続品。再審査期間なし。

先行品はハーセプチン(中外製薬)。乳がんの用法・用量において、先行品にある2回目以降3週間間隔とする「B法」はなく、1週間間隔の「A法」だけで、8月3日の医薬品第二部会に報告された第一三共の製品と同様。ハーセプチンのバイオ後続品は8月20日に発売された日本化薬の製品に続くものになるが、日本化薬の製品は胃がん適応のみ。

アガルシダーゼ ベータBS点滴静注5mg「JCR」、同点滴静注35mg「JCR」(アガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)[アガルシダーゼベータ後続1]、JCRファーマ):「ファブリー病」を効能・効果とするファブラザイム(サノフィ)のバイオ後続品。再審査期間なし。

先行品と同一の効能・効果、用法・用量で、初の国産の酵素補充療法薬となる。

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