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財政審 春の建議取りまとめせず異例の会長談話を公表 社会保障改革は「後退させず着実に前進を」

公開日時 2020/07/03 04:50
財務省の財政制度等審議会財政制度分科会は7月2日、「今後の財政運営について」と題する榊原定征会長名の談話を取りまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、春の建議を見送ったことによる対応。会長談話では「経済財政と財政健全化の両立に向けて、歳出と歳入の両面から不断に取り組んでいくことが今後も必要」とし、財政規律が緩むことに警鐘を鳴らした。社会保障制度については、少子高齢化が進展するなかで、「社会保障制度の給付と負担のアンバランスを正し、制度の持続可能性を確保することは引き続き待ったなしの課題」と指摘。「社会保障制度の改革をいささかも後退させることなく、着実に進めていく必要がある」としている。

榊原会長は、財政審後の会見で、「本来であれば春の建議に向けてしっかりと議論を進めて骨太や予算編成に向けての提示しをしたかったが実質的にできない状況だった」と会長談話の発出に至った経緯を振り返った。実際、財政審財政制度分科会の開催は、1月以降、この日を除くと、実質的な審議は2回(1月27日、6月1日)のみ。社会保障については、1月に全世代型社会保障検討会議の中間報告を報告した1回のみ。2月以降は新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大による緊急事態宣言などがあったことから、社会保障や地方財政などの分野別の審議が一切行われず、例年同様の建議の取りまとめができなかった。

◎コロナ対策の予算歳出160兆円超え 「一層悪化した財政から目をそらしてはならない」

新型コロナウイルス感染症の対策踏まえた補正後の予算歳出は160兆円を超え、一般会計の基礎的財政収支の赤字は9.2兆円から66.1兆円に拡大している。会長談話では、新型コロナウイルス感染症の拡大が影響を及ぼすなかで、当面の財政運営に当たっては「国民の生命と経済社会を守り、不安を解消していくことが最優先」と指摘。「一層悪化した財政から目をそらしてはならない」と指摘した。低金利環境の継続についても、当然視しないことを求めた。

会長談話はまた、「今後は、経済再生と財政健全化の両立はますます重い課題となる」と指摘した。ポストコロナ時の経済社会の変化を踏まえ、「これまで以上に、ワイズスペンディング・選択と集中を徹底しつつ、経済財政の一体改革を進めていく必要がある」とした。

◎「給付と負担のアンバランスを質す」 制度の持続可能性の確保に意欲


新型コロナウイルス感染症の拡大を経ても“変わらぬ課題”については、「少子高齢化と現役世代の減少」をあげた。2022年に団塊世代が後期高齢者に入り始め、支え手となる現役世代が大幅に減少し始めている。こうしたなかで、「社会保障給付費が大幅に増加し、現役世代の負担は大きく増加する」と指摘。「限られた資源のなかで、真に国民が必要とするサービスに重点化しつつ、社会保障制度の給付と負担のアンバランスを正し、制度の持続可能性を確保することは引き続き待ったなしの課題」として、着実な実施を求めている。
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