自民・医療政策研究会が緊急要望 2026年度改定で「物価・賃上げ対策不可欠」 診療所への対応求める
公開日時 2025/12/01 04:50

自民党の国会議員でつくる「医療政策研究会」(木原誠二会長)は11月28日、高市政権の掲げる“健康医療安全保障”に向けて、2026年度診療報酬改定での対応を求める緊急要望を片山さつき財務相に手渡した。要望では、医療機関の厳しい経営状況を指摘。26年度診療報酬改定でも「総合経済対策の規模を土台とした上で、さらなる力強い物価高騰・賃上げ対策が不可欠」と主張した。病院だけでなく、診療所の4割が赤字であることも指摘し、「経営状況が厳しい中で、地域医療に貢献している診療所の経営と処遇を安定化させるという観点で対応する」ことも要望した。
◎食材料費のみならず「物価高騰対策を確実に行うべき」 診療所は「一般財源での支援も」
要望では、病院だけでなく、赤字の診療所が急増していることを問題視。24年度診療報酬改定では、賃上げ支援を行ったものの、物価支援は食材料費にとどまっており、「その後の全体的な物価上昇等とあわせて“ダブルパンチ”となっている」と指摘。「近年の物価高騰により賃上げ体力を失うほど経営基盤が弱くなっていることを踏まえれば、物価高騰対策を確実に行うべき」と主張した。診療所については、「各地域の医療提供体制を守り、さらに強靭なものにしていくため、一般財源での支援もあわせてきめ細やかに対応する」ことを求めた。
処遇改善については、現行のベースアップ評価料について実効性で課題があることも指摘したうえで、「ベースアップ評価料等の処遇改善にかかる評価の拡充や見直し」の必要性も指摘した。
財源については、「現役世代の負担抑制に配慮しつつ、税収増・保険料収入増等を機動的に活用し、経済・物価動向等を踏まえた相当分を確保する」ことも要望している。
このほか、毎年改定が議論になる中で、「近年の急激な物価賃金の上昇に機動的に現行の2年に1回の改定にとらわれることなく、現在のインフレ動向にあった毎年度の物価・賃金分の調整を行う」必要性も指摘した。
出席した議員によると、片山財務相は「それぞれの現場の関係団体などからも切実な状況を聞いており、しっかり対応していかねばならないと理解している」と応じたという。